BtoB/BtoBtoCサービスにおけるUXをテーマにした勉強会『UX Bridge vol.5』に行ってきました。
去年の『UX Bridge vol.2』では、新人のデザイナーを連れて行くことが一番の目的でしたが、本人は補欠から繰り上がらず落選。叶わず。
しかし、今回は、去年連れて行けなかったデザイナーと、今年入社したばかりの新人デザイナーの2名を連れて参加することができました。
参加した動機
- 前回同様、前線で活躍しているデザイナー、フロントエンジニア、プロダクトマネージャーといった様々な役割の方々の視点で、UXデザインの取り組みや考え方、ビジネス上でどのような価値をもたらしているか?といったお話が聞けること。
- 自分が所属する組織・チームの各役割のメンバー達に、自分の立ち位置からUXデザインの価値を、僕の言葉ではなく、外部の方々からの言葉で知ってもらいたかった。
良いUXデザインをする為に必ず必要とされる事
業務では主に自社サービスのUXとUIの改善業務を担当しているUI/UXデザイナーの大村真琴氏。
良いUXデザインをする為に必要とされる事とは、スタッフエクスペリエンスとのこと。
要は、ユーザーに対するUXを向上させるためには、まず自チームや組織に対してエクスペリエンスデザインを施してから、ユーザーに良いUXを提供する。
大村氏は、テモナ株式会社に参画した際に初めてそれに向き合ったそうで、組織、人、文化、業務フロー、思考というキーワードをあげ、スタッフエクスペリエンスを実施した例を紹介していました。
ディレクターとはUXにおける問題点・課題点をすり合わせ、双方に学びや意思疎通、共通認識を増やす話のほかに、エンジニアとのコミュニケーションをピックアップしていました。
以前のエンジニアさんは、改善指示に対し黙って従う傾向にあり、ここにUX/UIのことを知れる絶好の機会をエンジニアが逃していると危惧していたとのこと。
実案件の中で改善指示を出す際は(おそらく)プロジェクトの背景やゴール、UIを改善することの意図を説明し、勉強会などを行わなくとも意思疎通や共通認識を高めることができたそうです。
とても良いアイデアだと思ったのは、セルフユーザビリティテストの実施方法。
プロジェクトチーム以外の社内の人たちにセルフユーザビリティテストを実施する際、「バグコンテスト」という告知ポスターを作成。セルフユーザビリティテストを社内イベント化し、他部門の人たちには業務以外のタスクが増えるといった印象を払拭したアイデアはいつか真似したいと思いました。
エンジニアがUXをロジックで考えてみる
株式会社サイバーエージェント AdTech Studioの折原レオナルド賢氏は、エンジニアらしいロジカルな視点で管理画面の改善にあたった話などをされていました。
A〜Eまでページを遷移するタスクがあった場合のタスク完了までのユーザーの迷い度を、
- N:ユーザーがタスク実行中に閲覧した異なるページ数(ユニークビュー)
- S:ユーザーがタスク実行中に閲覧したページ数(ページビュー)
- R:ユーザーがタスクを完了するための最短ページ数
- L:迷い度
として数式に表し、複数あるタスク完了までの各ルートの迷い度を導きだす話が印象的でした。
その他にも、カードソートの集計にクラスター・デンドログラム(たぶんクラスター分析)の説明など、個人的には折原氏の登壇が一番興味深く、もっと詳しく話を聞きたいと思いました。
UI/UX カイゼンチーム始めました
株式会社SmartHRから、デザイナーの渡邉氏、フロントエンドエンジニアの渡邉氏の同じ苗字の2名が登壇。
UX/UIに強いメンバーでカイゼンチームを立ち上げた経緯に、
- プロダクト専任のデザイナーがいない。
- エンジニアがBootstrapでUIを決定していた。
- 当時のリソース・フェーズだとそれが正解。
といったことをあげてて、同行したWebデザイナーと自チームでのあるある話すぎておもわず笑みがこぼれた。
様々な改善例を紹介していた中で、会員登録へのタスクが斜格的すぎて、会員登録までの道筋案内の問い合わせがユーザーから殺到した時の改善例がグッときました。
ドロップダウンメニューに隠れていた会員登録へのリンクをグロナビに置いただけでは問い合わせは減らなかったが、最終的に罫線で区切り、並列から分類したことにより問い合わせが激減した成功例。
マイクロコピーじゃないけど、こういった細部のちょっとした修正で改善される成功例はつくづく素晴らしいと思う。
もちろん両名とも試行錯誤の努力と情熱が前提にあるのですが、僕は色んな知識を蓄えすぎて難しく考えすぎるクセがあるのだと今回の話で認識できてよかった。
感想
今回もデザイナーとエンジニアの視点から色んな考え方や取り組みを聞けて面白かったのですが、UXというよりも比較的UIやユーザビリティの話が多いという印象を受けました。
しかし、ワークフローやチームビルディングにおいて、やはり自分たちの環境だけが恵まれていないというわけではなく、どの組織も様々な課題を抱えており、その問題解決への素晴らしい工夫を聞けて収穫になりました。
同行した新人デザイナー達にも、自チームの問題や、Webサイトの改善に対して意欲が湧いているのが帰り道に感じられた。