タイトルから見てとれるようにスタートアップに関する本ですが、そのスタートアップの本質が「逆説」や「反直観的」という言葉の中に隠されています。
ベンチャーと混同している人にとっても、スタートアップの正しい解説から始まるので、起業家でない人でも、著者が主張する素晴らしい思考へと読み進めやすいと思います。
実際、起業をする予定がないWeb制作畑の僕も読んで良かったと思いましたし、知り合いのマーケターも絶賛していました。
スタートアップの成功に必要な様々な要素の中で、本書は「アイデア」「戦略」「プロダクト」の3つに焦点を当てており、3章の「プロダクト」で、個人的に共感する考え方が紹介されていました。
逆説や異端という言葉は音楽や漫画が好きだった学生時代の頃から意識しており、大勢が熱中している既に世にありふれたモノやコトには興味が湧かなく、ニッチでマニアックでマイノリティなアンダーグラウンドなモノ・コトの方が新鮮でオリジナリティがあり面白さを感じ、さらにそれらが徐々に大衆に広まっていき、メジャーになっていく様を見て優越感に浸っていた性格の悪い時期がありました。
3章の「プロダクト」では、多数の「好き」より少数の「愛」を。という扉で始まり、スタートアップではスケールしないことを勧めています。
規模を拡大せず、未成熟でも製品・サービスをローンチしてしまい、創業者や開発者たち自ら早期の段階で検証に入り、大切な注意点を発見し、ブラッシュアップする。
そして、ある意味で共感者・ファンとも言える初期の少数ユーザー・カスタマーとも近い距離で接することができ、企業と製品・サービスに対する信頼の獲得と絆を深めることができる。
やがて少数のユーザー・カスタマーはエバンジェリスト(支持者)となり、美しい波紋状の広がりを見せる可能性があると思いました。
ではニッチなモノを作ればいいのか?というわけでもありません。
スタートアップにアイデアは重要な出発点となりますが、そのアイデアは「考え出す」のではなく「気づく」ものだと説いています。
これはスタートアップ思考に限らず、モノ・コトを作ることに関わる全ての人にとっても大事なことだと感じました。
序文で、「この考え方は企業全般に当てはまるものではありません」という注意が書いてありますが、この逆説のスタートアップ思考の知識・考え方は、様々なことに応用できることだと読み進めるうちに気づきました。
就職活動前の新卒者、起業家のみならず、全てのビジネスパーソンにオススメの本。
また、文中でも紹介されていましたが、著者の馬田隆明氏はスライドも公開しており、こちらも必見です。