『オイコノミア ぼくらの希望の経済学』で楽しく経済学が学ぶ。




 

経済学は人生の役に立つ

大学生の頃に経済学部を専攻(中退)していた社内のWebデザイナーに「経済学の授業は楽しかった?」と聞いたら、「難しくてつまらなかった」という答えが返ってきました。

 

ぼくも学生時代は経済学に対し、敷居が高い学問という印象が強かったです。

 

今までWeb制作の仕事をやってきて、当初はビジュアルデザインやコーディングといった技術面を磨くことに必死でしたが、Webに限らず制作物・成果物のクオリテイを突き詰めていくと、人によっては心理学や行動経済学などに行き着くことがあります。

 

現在はぼくも経済学に興味を持つひとりですが、きっかけはWeb制作のスキルアップのプロセスで興味を持ったのではなく、意外にもお笑い芸人が出演しているこのテレビ番組でした。

 

経済学が好きになった番組

オイコノミア
http://www4.nhk.or.jp/oikonomia/

 

オイコノミアは、2018年現在、水曜の夜22:00〜22:43にNHK Eテレで放送されているテレビ番組で、吉本興業のお笑いコンビ、ピースの又吉直樹が毎回いろいろな経済学者とともに様々なテーマを経済学的視点の角度から考察しながらわかりやすく紹介しており、毎週水曜日を楽しみにしています。

 

オイコノミアの本

2012年から続くこの番組は本も出版されており、先日再読。


オイコノミア ぼくらの希望の経済学

 

この本に登場する経済学者の先生は大竹文雄氏、安田洋祐氏、川口大司氏、安藤至大氏の4名。

 

2012年から2013年までの放送の中から、番組同様に又吉直樹と各経済学者の先生とのかたっ苦しくない対談形式になっており、12章分の話が収録されています。

 

又吉直樹のゆるい自虐的ボケと、先生方の一歩引いた絡みが微笑ましくて読んでて楽しい。

 

幸福、就活、スポーツ、携帯電話、貯金、恋愛、結婚、給料、格差、保険、少子化、最後に人生設計といった12のテーマにおいて、それぞれの行動にあらゆる盲点・やるべきことが経済学を通じて気づくことができます。

 

例えば、就活。

経済学観点での就職活動

就活と婚活は似ている

結婚は、一般的には理想の女性を求める「男性」と、同じく理想の男性を求める「女性」という関係性。

 

就活も、採用する「企業」と、採用される「求職者」の二方向の関係です。

 

これから長い付き合いとなる結婚(入社)をするには、まずは就活というデートを重ね、お互いのことをよく知り合い、結婚(採用)というゴールにたどり着く。

 

デートは主に男性が二人で楽しく過ごせるよう、そしてお互いのことを知ろうといろいろな工夫をしますが、その工夫にこそ経済学が役に立つように思います。

 

情報の非対称性

「この企業は本当に残業がないのか?」

もしくは、

「この求職者は本当に真面目に働いてくれるのか?」

片方に正しい情報の共有がなければ、当然のごとく採用は成立しません。

このように双方の持つ情報に差があることを経済学用語で「情報の非対称性」と呼ばれています。

 

チープトーク

企業は自社採用サイトや求人サイトで、良い職場環境や将来的な方針をアピールし、逆に求職者は履歴書・職務経歴書や面接などで、自己の強みをアピールします。

 

しかし、情報の非対称性問題を解消できたわけではなく、まだこの状態ではお互いが「本当のことを言っているのかな?」と完全なる信用にはつながっていません。

 

これはゲーム理論(相手の手打ちを読んで自分の得点を高くし、いかに失点を少なくするにはどうするかという理論)の専門用語チープトークにあたります。

 

シグナリング

では、どうやったら少しは信じてもらえるのか。

 

例えばWeb制作会社を志望している求職者側を例にすると、「日頃からプライベート学習をしています!」というチープトークを裏付ける行動結果を示せばいいのだと思います。

  • 資格を持っている。
  • 独自ドメインの自サイトを運営している。
  • 読んだ本や勉強会のレビューをしている。

 

など、日頃、時間とお金を消費して自己投資している証拠を提示するといった、本気度を見せることでシグナリングという効果があります。

 

まとめ

上記はほんの一例ですが、このように経済学は働き方、ビジネス、私生活など日常や未来でのあらゆる人生の選択肢にも関わってくる役に立つ学術であることがわかります。

 

最後に、残念なことに2018年3月21日(水)をもって6年間続いたオイコノミアは最終回をむかえるそうです。

 

またいつか復活してほしいし、2014年から2018年にかけて放送された内容のオイコノミアの第二弾の本も出版してほしい。

 

なにはともあれ、又吉さんや出演した経済学者さん、番組スタッフさん、大変お疲れさまでした。