グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ

MARKETING

マーケターが「グレイトフル・デッド」の本を?

 

デッドヘッズが「マーケティング」の本を?

 

北区王子の古本屋、山遊堂さんの音楽書籍コーナーでこの本のタイトルが目に飛び込んできた時は、一瞬頭が混乱したと同時にすぐ手に取っていました。

 

「グレイトフル・デッド」にも「マーケティング」にも興味がある僕は、この本を日本に紹介した糸井重里さんの序文を読んですごく興奮しました。

 

そしてそのままレジへ。




グレイトフル・デッドと自分

グレイトフル・デッドとはヒッピーサイケの大御所的バンド。

 

僕も若い頃は長髪でそれっぽいファッションをしていた時期があり、デッドのレコードやCDも聴いていましたが、決して熱狂的なデッドヘッズ(グレイトフル・デッドの熱狂的なファンの事)という訳ではありませんでした。

 

でも、グレイトフル・デッドの音源を買っていただけでなく、当時乗っていたバイクにデッドベア(グレイトフル・デッドの子熊のキャラクター)のステッカーを貼っていたり、Tシャツも着ていました。

 

今思えば90年代、遠く離れたここ日本で当時若かった僕もグレイトフル・デッドが敷いていたマーケティング・プランに導かれていたのかも知れません。

 

グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ

サイケデリックな装丁デザインのこの書籍は紛れもなくマーケティングの実用書です。

 

とはいえ、AIDMAやAISASといった消費者行動理論、4P理論といったお硬い説明はありません。

 

グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ
「グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ」 デイヴィッド・ミーアマン・スコット (著), ブライアン・ハリガン (著), 糸井重里 (監修), 渡辺由佳里 (翻訳) 出版社:日経BP社

 

(2017年5月現在)6年前の2011年に日経BP社が発行・日経BPマーケティングが発売したこの本は、ビートルズやローリング・ストーンズほど知名度が高くないグレイトフル・デッドというバンドのビジネスの成功法が記されており、その手法はどれも現代のWebマーケティングと一致しているのです。

 

流行り廃りの流れが速いこの業界の実用書は数年経てば内容が廃れている可能性が高く、僕は1年〜2年以上前の実用書にはなかなか目を向けないのですが、好奇心で手に取ってみたら、現在でも全くを持って通用する内容でした。

 

各章は、「グレイトフル・デッドの成功法」「超有名企業やサービスの事例」「結論」でコンパクトにまとめられています。

 

今を時めくGoogle、Amazon、Dropbox、MySQL、マクドナルド等といった超有名企業やサービスの手法・事例は、グレイトフル・デッドが70年代から先駆けて実行していたのです!

 

  • ライブの素晴らしさ=質の高いコンテンツ
  • ビートルズと真逆な戦略=競合との画期的な差別化
  • ライブ録音の自由とオフィシャルリリース=フリーミアム

 

などなど(以上の手段はほんの一例)




感想

どれもマーケティングをやっていく上で大切な事ばかりですが、小手先のテクニックだけではなく、一番大切なのは消費者(ファン、リピーター)に対して誠実に想う気持ち。これは、今のSEO対策の根本的な考え方と似ていると思いました。

 

この本を読んで、人によってはマーケティングの本質を感じ取ることもできますが、マーケティングのみ焦点を当てた内容だけではなく、デザインの仕方、ビジネスそのもの考え方、企業人としての誠実さ、働き方、生き方まで考えさえられます。

 

6年前の本ですが、Webマーケティングをこれから学びたいと思っている方に充分おすすめです。

 

グレイトフル・デッドの渋い写真や、アーティスティックなイラストも載っていてデザイン性が高く、エッセイ感覚な文体で気楽に読める実用書。

 

プロジェクトマネージャー・マーケター・Webディレクターさんとかだけでなく、これからUI/UXを武器にしたいと思っているWebデザイナーさんにも有効かつ読みやすい書籍だと思います。

 

今回たまたま古本屋さんで購入しましたが、Amazonでも購入可能な様です。