年末になってやっと今年(2017年)発売された書籍のことを書きます。
デザイナーとは、色やカタチを成形する人なのか。
デザイナーとは、問題を解決する人なのか。
といったジレンマに陥る昨今、ビジネスにおけるデザイン・デザイナーの定義は広くなっており、その重要性は日本の多くの中小企業に浸透しきれていないのが現状(ネタバラしすると、それは我が国だけの問題ではない)。
さらに僕のまわりではデザイナー達が自身自分の肩書きの意味に解釈の違いがあり、自分の守備範囲はどこまでなのか?と戸惑っている様子も見受けられます。
デザインとは?デザイナーとは?というような本は時代々々で出版されてきましたが、この本は近年のビジネスにおけるデザイン・デザイナーの状況がまとめられており、そこには当然のごとくデザイン思考の話も出てきます。
その日本でも注目されてきているデザイン思考は果たして万能なフレームワークなのでしょうか。
UCD(人間中心設計)が包括するデザイン思考が機能しにくい条件を踏まえ、ミラノ工科大学のロベルト・ベルガンティ教授の著書『デザイン・ドリブン・イノベーション』で提唱された概念であり、デザイン思考とは対をなすデザイン戦略「意味のイノベーション」という価値の詳しい解説がされています。
当初、デザイン思考以外でのデザインマネジメントに興味が湧きこの本を読んでみたのですが、先述したように近年のデザインの状況・デザイナーの動向や、なおかつ、アーツ・アンド・クラフツ運動、ドイツ工作連盟、バウハウスといったデザインの歴史・変遷にも触れているので、やはりデザイン・デザイナー自体の力に興味があり、デザインのことを知りたいと思っている中小企業の起業家・経営者といったビジネスパーソンに向けかと思います。
もちろん、ビジネスやイノベーションと、デザインをすでに横並びに考えている人たちにも有用な内容ですし、違った視点でレビューすると下記のこんな人たちにオススメです。
- 一応なんとかデザイナーだけどデザイン・デザイナーのことを深く知りたい人。
- デザイン思考ってどうなの?と思っている人。
- Webディレクター(僕)。
最終章では著者の一人、 八重樫文氏がこの本のタイトル「デザインの次に来るもの」に対しての説明で幕を閉じていますが、そこにはデザイン云々、企業人として当たり前に持つべき視点が込められていて深くうなずきました。
余談ですが、うちに会社見学にくる若いデザイン専門学校生に、バウハウスやデザイン思考のことを聞いても知らない人たちばかりで毎回ビックリしています。
デザイン専門学校では、センスの磨き方とかツールの使い方といった小手先のテクニックしか教えていないのでしょうか。