経営者じゃないけど経営学の資格取得を目指してみる。




 

経営学とは経営者のための学問?

経営学という言葉を聞くと、「経営を志す者のための学問」という一言が思い浮かびますが、それはたしかに間違いではありません。

 

しかし、経営者、経営陣ではなくとも経営について学ぶことは企業人として大きく視野が広がるのではないかと考えます。

 

僕は経営者ではなく都内の名も無きWeb制作ディレクターですが、自分の持ち場である対クライアント、協力会社との関わり、自社組織といった3つの場面において不要な知識かといったらそうでもありません。

 

様々な場面のあらゆるプロジェクトは経営に包括されています。

 

根本でもあり全容でもある経営を知ることは、単純に現在における自分の仕事を俯瞰することができ、深化と視野の拡大につながるほか、社会人である以上、この分野に精通することで事の運びがだいぶ変わってくると思います。

 

なぜ経営学を学ぶのか?

経営学という学問に興味を持ったのはいつの頃かは憶えていませんが、個人的な理由は4つあると思っています。

  • Webディレクターという立場から
  • コーポレートサイト制作のため
  • 自分の組織をよく知るため
  • 書籍からの影響

 

Webディレクターという立場から

例えばWebディレクターという職業に就くと、クライアントの経営者や経営陣と接する機会が多くなります。

 

直接的ではない場合もありますが、Web担当者を通じてその存在感と影響は大きく、間接的にステークホルダーとして関わってきます。

 

もちろん「Webディレクターだけが」というわけではなく、営業にとってもそれは言えるでしょう。

 

経験上、Webサイトの改修や制作を依頼してくる企業は当然営利的な事業課題の改善といった目的のほかに、その企業の内部事情も含まれていることがほとんどです。

 

経営コンサルタントでなくとも、その組織の事情に共感できないと良いディレクションはできません。

 

制作要件を聞くだけなら誰でもできますが、共感するための知識がないと円滑なオリエンと信頼関係、そして後の情報設計にも大きく影響してきます。

 

また、自社の経営者、経営陣という観点からではなく、ディレクターとしてマネジメント・組織学に興味を持ったのは必然的だったと思います。

 

コーポレートサイト制作のため

前述の「Webディレクターという立場から」の延長みたいなものですが、企業の顔であるコーポレートサイト(企業サイト)制作の依頼をいただくことがあります。

 

コーポレートサイトは一昔前までは紙媒体の会社案内パンフレットを単純にホームページにしただけのものが散見されていました。

 

つまりどちらかというと一方的な情報媒体に見受けられましたが、今の時代当然のごとくユーザー・顧客視点を大事にしなければなりません。

 

UX(CX)はユーザーの行動やインサイトを知るためにWebサイト制作において非常に有効な方法ですが、100%ユーザーファーストに固執すると仮に良いコンバージョンが取れたとしても、企業にとって生産性を落とすことになりかねません。

 

コーポレートサイトの例ではありませんが、あるクライアントの事業部門がWebサイトの立ち上げを依頼してくる場合、更新、カスタマーサポートなどの運用面でリソースが全く足りていないことがあります。

 

その事業部門の体制は全社的にはらんでおり社内政治の影響といった事情があるはずです(それらは自社からも感じ取れることと思います)。その考慮はWebサイトを公開してからでは遅いのです。

 

とりわけコーポレートサイトの改修にはビジネスモデル、コーポレートガバナンス(企業統治)を理解する必要があり、また前述の顧客/運用事情などを加味した上でデザインを施す必要があります。

 

自分の組織をよく知るため

現在所属している組織において、僕は経営陣でもなけれなミドルマネジャーでもなく、小さなWeb制作チームの名も無きディレクターです。

 

今まで上司や組織に不満を感じる場面は少なくありませんでしたが、コミュニケーションの観点から、相手への尊敬の気持ちを考えると彼らの意思決定には必ずしも多くの要素があったのだと思います。

 

それがまさに、経営陣でもなければミドルマネジャーでもない一般社員が踏み入れたことのない経営の事情と方針なのです。

 

そこへの理解を深めることにより、自社で執行され(て)る意思決定に対しての意思疎通、共感を得て、自分の役割意識や意義を認識できるようになると思います。

 

当然、それでも意思疎通、共感ができない場合もあると思います。その時は組織を変えるのもお互いのためになることでしょう。そういった意味では就職/転職にも役立つ知識だといえます。

 

書籍からの影響

読書が好きなのでよく本屋に行くのですが、経営(学)のコーナーが設けられているのに気がつきます。

 

当初、経営学を学ぶためではなく、これまでに自分の仕事の効率化や最適化のために必然的にドラッカーを始め、経営、戦略、マネジメント、組織デザインといった類の本を好んで読んできましたが、普段の業務上での失敗や成功の経験からも経営学の類の知識はにわかについていたものの、学校などで経営学として学んだことはなく、しっかりと自分の枠組みに入れ体型的に学ぶためでもあります。

 

経営学という学問を通過する前と後では、今まで読んできた前述の類の本を別の観点からインプットできるような気がします。

 

それこそ既知ではなく未知の知識に。




 

経営学の資格はなにがあるのか?

資格の取得が目的ではありませんが、僕は自分に甘い部分があるので、試験という目に見えるゴールがあると走りやすい。

 

そもそも日本にMBA以外に経営学に関する資格があるなんて知りませんでした。

 

ネットで調べてみたら、経営に関する資格がぞろぞろと見つかりましたが、自分にマッチするものは以下の2つに絞られました。

 

「中小企業診断士」

どんな資格か

有名な国家資格らしいです。資格を取得すると、中小企業の経営課題の診断・助言を行う専門家として経営コンサルタントとして業務に就くことができます。

 

第1次試験にて「経済学・経済政策」「財務・会計」「企業経営理論」「運営管理(オペレーション・マネジメント)」「経営法務」「経営情報システム」「中小企業経営・中小企業政策」 の7科目を経て、第2次試験合格後にようやく中小企業診断士として経済産業に登録されます(登録有効期間は5年)。

 

受験料/手数料(個人)

  • 第1次試験:13,000円
  • 第2次試験:17,200円

 

所感

もし将来的に、時代の潮流的にも自分がWeb制作業務から離れたこと考えると、経営コンサルタントとしてのナレッジが身につくことはとても魅力的に感じます。

 

しかし、国家資格だけに道のりは長く、今の自分には努力だけでなくかなりの覚悟が必要と思っています。

 

勉強にかかる費用も人によっては上記受験料以外に5万〜20万〜30万はかかると言われています(下記の記事参照)。

 

中小企業診断士に合格するのに費用はどれくらいかかるのか?

 

「中小企業診断士」詳細ページ
https://www.j-smeca.jp/index.html

 

「経営学検定/マネジメント検定」

どんな資格か

初級・中級・上級があり、経営の基礎知識、マネジメントの体系的知識、ビジネスの構想力と戦略策定が学べるとのこと。

 

採用や昇格試験や経営幹部養成、社内研修・評価など、企業が実際にこの資格の取得を導入しているそうです。

 

近年では中級の合格基準が更新され、「IT経営」と「経営法務」が加わり、現代のビジネスに合った試験範囲となっています。

 

受験料(個人)

  • 初級:4,700円
  • 中級:6,800円
  • 上級:8,400円

 

所感

初級から上級までのどのステップも自分が身につけたい方向性とマッチしていると思いました。

 

個人で受ける場合の受験料もさほど高くない。と思いきや、公式テキストと必要であれば過去問題集の金額が別途発生します。

 

初級の場合、2,808円の公式テキストが1冊ですが、中級ともなると2,592円のテキストが4冊。

 

それぞれの過去問題集は1,080円ですので、受験料だけで予算を考えない方がいいと思います。
とはいえ、「中小企業診断士」よりは経済的に優しいですが。

 

2019年の試験の日程として、6月30日に初級と中級の試験が実施されるみたいです(受験の受付期間は4月1日(月)~5月20日(月))

 

「経営学検定/マネジメント検定」詳細ページ
https://www.mqt.jp/about.html

 

まとめ

目指す資格は「中小企業診断士」「経営学検定/マネジメント検定」の2択に絞りましたが、現在の自分の立場的に「経営学検定/マネジメント検定」で経営学を学んでみようと思いました。

 

時間的にも経済的にも後者がマッチしていると思うし、「中小企業診断士」は経営コンサルタントを目指すその時でも遅くはないのかと結論に至りました。

 

仮に将来「中小企業診断士」を目指す時になったとしても、「経営学検定/マネジメント検定」「中小企業診断士」の出題範囲とかぶるらしく、理解を深化させることができるはずです。

 

なにはともあれ、2019年の個人目標として経営学の世界に踏み入れてみようと思います。