Webディレクターが読んだ2018年に出版された本




 

去年の年末に投稿したWebディレクターが読んだ2017年に出版された本という記事がなかなか好評だったので、今年も振り返ってみた中から2018年に出版され読んでみた、先見的な書籍、マネジメント、JavaScript、マーケティング、コミュニケーション、デザイン、ロジカルシンキング、ミーティング、CS(カスタマーサクセス)、ブランディング、リクルーティング、経済学などの本をつたない感想を添えてまとめてみました(順不同)。

 

今年は、出版社の知り合いが増えたことや、女房役のWebデザイナーの子が読書に目覚めたこともあり、色んな書籍を拝借させてもらったおかげで経済的にも助かった一年でした。

 

そして、しつこいようですが、Webディレクターにおすすめの本という訳でなく、いちWebディレクターが、ただ読んだ本になります。

 

Webディレクターが読んだ2018年出版された本

ティール組織


ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現

ティール組織とは、階層のない全体性を持った組織。

著者のフレデリック・ラルーは、組織のフェーズを「レッド」、「アンバー」、「オレンジ」、「グリーン」、「ティール」の5段階に分別。

グリーンまでの4段階には、経営者と社員、上司と部下といったお馴染みの階層がありますが、ティールには基本的にそれらが存在しない。

すなわちティール組織は、一人ひとりがセルフマネジメントできる存在になることが必要と提唱されている。

日頃、セルフマネジメントに重要性を感じて行動している人にとっては興味深い世界観だと思う。

 

未来の年表2


未来の年表2 人口減少日本であなたに起きること (講談社現代新書)

仕事上での提案やアイデア発想のネタ探しとして軽い気持ちで購入した前書同様、ビジネスにつなげるための良いネタ本であると同時に、あまりの日本の深刻な状況に絶句。

最近の自分の言動はこの本の中の言葉が基準なっていることに気づく。

久しぶりに会社の人間だけでなく、家族にも勧めたくなる本となりました。

 

スラスラ読める JavaScript ふりがなプログラミング


スラスラ読める JavaScript ふりがなプログラミング (ふりがなプログラミングシリーズ)

ディレクター職がメインの僕はJavaScript初心者レベルなのですが、本屋さんで立ち読みしたとき、「この本なら今度は挫折しなそう」という気がして衝動買い。

コードに細かくふりがながふってあるだけでここまで理解しやすなるのか。

オライリージャパンから出版された『デザインの伝え方』の著者が、プライベートの時間に本業のデザインから離れクラシックカーのリペアをしているのを知って、僕もこの夏、なにかを本業とは別の分野の研究や学習をし直そうと思っていた矢先に見つけた入門書。

 

デザインリーダーシップ


デザインリーダーシップ – デザインリーダーはいかにして組織を構築し、成功に導くのか?

同じシリーズの『デザイン組織のつくりかた デザイン思考を駆動させるインハウスチームの構築&運用ガイド』が面白かったので購入。

デザイン会社の経営者や組織にデザイン部門を抱えている経営者・マネージャーにもおすすめですが、上司とそりが合わない現役デザイナーにも、双方合意による組織デザイン構築をしていくならおすすめ。

 

ミーティングのデザイン


ミーティングのデザイン エンジニア、デザイナー、マネージャーが知っておくべき会議設計・運営ガイド

上記『デザインリーダーシップ』と同じシリーズの第3弾。

弊社の別部門のデザイナー(女性)が自チームのミーティングを改善しようと購入したものを拝借。

この本のおかげで、デザイナーとしての彼女の本能に働きかけ、観察・改善・スムーズさ・成果を意識したファシリテーションを行うようになったそうです。

 

おもてなし幻想


おもてなし幻想 デジタル時代の顧客満足と収益の関係

自社が顧客ロイヤリティ向上のために基準としていたCX/CSがそもそもの間違い。

本書によると、「お客様の問題は全て解決しましたでしょうか」の決まり文句は実は最悪という。

バイアスほど、時間と労力を無駄にしていることはないと改めて痛感する一冊。

 

マーケティングリサーチとデータ分析の基本


マーケティングリサーチとデータ分析の基本

図解も使われながら最新のマーケティングリサーチ・データ分析事情が解説されている初学者向けの入門書。

手法論だけでなく、仮説、検証、分析の大切さというか、見失いがちだったり、そもそも備わっていなかったリサーチ・データ分析の「意味」も理解できると思う。

玄人はわざわざ購入するまでもないけど、読む機会があったらそれはそれで初心に立ち返れる。

 

カスタマーサクセス


カスタマーサクセス――サブスクリプション時代に求められる「顧客の成功」10の原則

去年、馬田隆明氏の『逆説のスタートアップ思考』という本で初めて知ったCS(カスタマー・サクセス)という言葉が、ついに網羅された本が出版されたかと読んでみた。

所有者の行動や価値は「モノ」から「コト」。「所有」から「利用」へと変化。個人的には車やAdobeのアプリケーションがそれに当てはまる。

それでは、多くの消費者に対価を支払ってもらって、サービスを一度利用してもらったら、それでWin-Winの関係か?

カスタマー・サクセスとは何か。読み物感覚で気楽にそれがインプットできます。

 

要点で学ぶ、リサーチ&デザインの手法100


要点で学ぶ、リサーチ&デザインの手法100

正直、聞いたこともない知らない手法がたくさんあった。僕はWebディレクターなのだし100個もあれば当たり前か。

解説と図版が見開き2ページ毎に端的にまとめられていて読みやすい。

網羅性があるので図鑑感覚で読み進め、今の自分の案件にマッチした手法を深掘していくのに良いかも。

 

ブランディングの科学


ブランディングの科学 誰も知らないマーケティングの法則11

「かのP&Gに影響を与えたマーケティングの名著が遂に発売。コトラーなどのマーケティング主流派に異論を唱え、新しい視点からマーケティングやブランドの育成方法を提案する。コトラーを超える最新マーケティングの神髄。」

上記の触れ込みに惹かれました。

あらゆる定説が否定されているので、マーケティング初学者はある意味読まない方がいい気がします。

 

「きめ方」の論理


「きめ方」の論理 (ちくま学芸文庫)

1980年に東京大学出版会から出版され絶版となっていたものが、ちくま学芸文庫から文庫化。

選挙、仕事、今日の夕飯。人生、常にあらゆることを決定していかなければならない。

物事を決定していくにはどんな手順を踏み、そしてどんな手法があるのか。

 

論破力


論破力 (朝日新書)

この本の触れ込みの一部である「あの時ああ言えばよかった」と、あとになって思うことは未だにありますが、テレビ番組の影響か、勝ち負けにこだわる印象の「論破」という言葉自体があまり好きではない。

しかし、「ジャッジする人に向けたプレゼン」という意識にさすがひろゆき氏だと思いました。

 

ビジネスフレームワーク図鑑


ビジネスフレームワーク図鑑 すぐ使える問題解決・アイデア発想ツール70

課題解決、市場分析、業務改善など7つのシーンに役立つフレームワークが70点。

「ロジックツリー」「ファイブフォース分析」「SWOT分析」「4P分析」「STP」「PDCA」などなど。

上記『要点で学ぶ、リサーチ&デザインの手法100』同様、図鑑感覚で楽しめ、今の自分に必要なフレームワークを深掘していくのに良い。

会員特典のPowerPoint形式のテンプレートつき。

 

[買わせる]の心理学


[買わせる]の心理学 消費者の心を動かすデザインの技法61

成果・効果に執拗にこだわるようになったWebデザイナーから拝借。

心理学を応用した手法の説明と実際のデザイン例集。

UIデザイナー、これからマーケティングを勉強しようと思っているデザイナには特にわかりやすく有用。

 

プレイス・ブランディング


プレイス・ブランディング — 地域から“場所”のブランディングへ

地域ではなく、場所(place)。

『未来の年表』を読んだあと、東京一極集中について重要性を感じ、地元学、コミュニティデザイン、地域ブランディング等をあらためて調べていた頃に目に止まった本。

ロベルト・ベルガンティが提唱した「意味のイノベーション」が紹介されている『デザインの次に来るもの』と併用して読むと、日本の中小企業や地方が今後どうデザインしていくかのあり方が見えてくる。

 

採用ブランディング


「無名×中小企業」でもほしい人材を獲得できる 採用ブランディング

優秀な人材を採用したい。その前に企業は人材を招き入れる準備、コンセプトは固まっているのか。

採用は、戦略であり、マーケティングであることを理解した。

 

現代経済学


現代経済学-ゲーム理論・行動経済学・制度論 (中公新書)

経済学と聞くと昔から敷居の高い学問のイメージがあり、Web制作を通じて行動経済学が好きなり今に至る。

しかし、行動経済学はどちらかというと心理学的な面白さと印象が強い人が多いのでは。

ゲーム理論、マクロ経済学、行動経済学、神経経済学など、現代の様々な経済学を俯瞰してまとめられてる最新の入門書。

 

1分で話せ


1分で話せ 世界のトップが絶賛した大事なことだけシンプルに伝える技術

端的に。論理的に。1分でまとまらない話は何時間かけても伝わらない。

ロジカル・シンキングのマスターはハードルが高いと思っている人にもおすすめ。

 

「ない仕事」の作り方 (文春文庫)


「ない仕事」の作り方 (文春文庫)

なんてブルー・オーシャン戦略なタイトルだろう!?と手にとったのが3年前。

誰もが聞いたことがある「ゆるキャラ」を作ったのは、著者である自称「1人電通」のみうらじゅんさん。

もはや、誰が言い出したかわからないくらいゆるキャラを一人歩きさせた戦略とは。

糸井重里さんとの対談を追加収録し文春文庫から文庫化。

究極やさしい入門本『スラスラ読める JavaScript ふりがなプログラミング』




 

ディレクターがJavaScriptを基礎から学びなおす

組織の都合もあるけど、Web制作を俯瞰的に見れるよう自分のキャリアアップのためにもディレクターへシフトしたものの、Webデザイナー時代にもっと経験を積んでおけばよかったと今でも思うプログラミングスキル「JavaScript」。

 

考え方は人それぞれ違うかもしれませんが、僕の場合Web制作の仕事をしていくうえでディレクターになった今でも時折JavaScriptをマスターしたいという衝動にかられます。

 

以前、オライリージャパンから出版された『デザインの伝え方』の著者が、プライベートの時間に本業のデザインから離れクラシックカーのリペアをしているのを読んで、僕もこの夏、なにかを本業とは別の分野の研究や学習をし直そうと思っていました。

 

『デザインの伝え方』の著者Tom Greeverは、クラシックカーを弄り通して、当時のエンジニアから多くのことを楽しみながら学び、本業へフィードバックしており、クリエイティブな仕事をしている身としてこのライフスタイルに共感しました。

 

本業のWeb制作に活かせるかはわかりませんが、普段にらめっこしているパソコンやスマホから離れ、別の分野に没頭するために、はんだごてとニッパーでも買って鉱石ラジオをスクラッチ開発してみようかと思った矢先、ふらり立ち寄った本屋で面だしされていた、ある一冊の本のタイトルが目に止まりました。

 

スラスラ読める JavaScript ふりがなプログラミング

というわけで、ディレクター職がメインの僕はJavaScript(以下、JS)初心者レベルなのですが、本屋さんで『スラスラ読める JavaScript ふりがなプログラミング』という本を見かけて立ち読みしたとき、「この本なら今度は挫折しなそう」という気がして久しぶりに衝動買い。


スラスラ読める JavaScript ふりがなプログラミング (ふりがなプログラミングシリーズ)

 

別に他分野にこだわらなくても同じWeb制作の分野で身近に関わっているコーダーやフロントエンジニアのスキルの一環を学ぶのも必ず本業に役に立つ。

 

さらに、2020年度から小学校でプログラミング教育が必修化されることが明示されたことにより、自分の子どもの勉強を見てあげられるのでは?

 

と、自分に言い聞かせ、鉱石ラジオのスクラッチ開発は来年の夏休みに先送りにし、再びパソコンの画面に戻ってきました。

 

著者はリブロワークスさんで、監修は、ネット上でもフォローさせていただいているGoogleやMicrosoftを渡り歩いた日本を代表するエンジニアの及川卓也さん。

 

終始ふりがながふってあることでソースの意味を理解。

過去にもこのような教材があったのか知りませんが、この本はタイトルの通り、本書内にある全てのサンプルプログラミングのソースコードに、もれなく「ふりがな(ルビ)」がふってあるのが最大の特徴。

 

最終章まで繰り返し付きまとう「ふりがな(ルビ)」のおかげで、覚えが悪い初心者の僕でも本書をもとに学習し終わった頃には演算子、関数、変数、式の書き方や基本的なルールなどを頭に叩き込むことができました。

 

読み下し文によってさらに理解への補完に。

変数、演算子などの単語ひとつひとつに細かくふりがながふってありますが、英単語の様に、ふりがな部分だけを繋げて読んでも日本語の文法としてはおかしい状態です。

 

よって、ふりがながふってあるサンプルのプログラムの下には、「読み下し文」も記載されていて、プログラミングコードの式の理解をさらに深めることができます。

 

今思えば、もしこの読み下し文が無くふりがなだけだったら理解し難かったと思います。

 

ソースコードのサンプルをダウンロード。

1章〜5章までに本書内で出てくるサンプルのプログラムコードがダウンロードできます。

 

最初にダウンロードしたものの、僕は2ヶ月間ゆっくり時間をかけてこの本で実習したので、結局最後まで使うことはありませんでした。

 

ですが、時間が無い中どうしても記載通りに書いてるのにプログラムが動かない/エラーになる、または、4章(Chapter4)までは、テキストエディタに書いたプログラムをGoogle Chromeのコンソールを利用して動作確認をするのですが、最終章の5章(Chapter5)では、実際にHTMLファイルを作成して動かすので、うまくいかない時に差分用としてあると便利です。

 

JavaScript ふりがなプログラミングを読んで

実際のプログラムの書き方の前に、1章ではJavaScriptとはどんなものかの話から始まります。

 

JSのバージョンであるES5とES6の説明もあり、基本的に今後移行しつつあるES6に基づいて章が続きますが、ES6では対応できない書き方についても別の章で解説されています。

 

また、本書の読み進め方とJSを書くとための準備として、Web屋にお馴染みにChromeデベロッパーツールのコンソールと、テキストエディタ(Atom)を推奨していますが、僕の場合、動作を確認するためのコンソールはChromeを使いましたが、エディタは日頃から慣れ親しんでいるAdobeのBraketsを使用しました。ここら辺は使い慣れたツールでいいと思います。

 

どの章にも後半にエラーメッセージの読み解き方が紹介されており、制作実務でバグっているときに、社内の新米Webデザイナーとデベロッパーツールをにらめっこしてても理解できないことがあり、いちいちベテランに来てもらってたこともあったので、これは僕にとって良い勉強材料になりました。

 

1章の中盤、実践学習からは、いよいよ文字列の表示の書き方から始まり、その後、演算子を使って簡単な計算(四測計算)の書き方に進みます。

 

「またか」と思いました。

 

JSの個人的なイメージとして、ひと昔前は入力フォームの様にユーザーに何かを入力してもらった結果を素っ気なく表示したりといった印象でしたが、最近だとスライドショー、モーダルウィンドウ、その他スクロールエフェクトなどの華やかな動きの役割を担うプログラムの印象が強いので、以前学んだときも足し算掛け算などのこういった地味な計算から学ぶのが非常に退屈だった記憶があります。

 

しかし、「+」「-」「×」「÷」といっ演算子の使いこなしが今後重要になることを理解してきて考え方が変わりました。以前購入した技術書やネットスクールで学習をしていた頃は、この地味な計算式から覚えなければならない退屈感から挫折した記憶があるのですが、本書は2名のキャラクターイラストがストーリーを展開しており、図版や優しい色使いのせいか、緊張感なく基礎の大切さが伝わりました。

 

ちなみに、最初はエディタの入力保管機能は使わず、慣れるまで直打ちの繰り返しを徹しました。そのおかげで各章の最後のドリル問題にて、自然にコードが打てるようになりました。

 

やっぱり、何かを覚える時には書く(打つ)って大事だと思います。

 

初心者とはいえ、for文の条件分岐、while文などのループ、配列のarrayなどは、WordPressのPHPをいじっていた経験もあり比較的に理解しやすかったけど、やっぱりエッセンスというか、基本を理解していなかったので、この本でJSやプログラムの原理が学べて充実した夏の自由研究を終えました。

 

当然この本は、僕の様なディレクターではなく、これからJavaScriptを学ぶWebデザイナー、フロントエンドエンジニアの初学者におすすめです。

 

誤植について

JS初心者の僕が読み進めていると、どうしても理解できない部分があり、調べて見たら数ページに誤植があることに気づきました。

版元のインプレスブックスのサイトから確認できるので、つまずく前に確認することをおすすめします。

インプレスブックス紹介ページ
https://book.impress.co.jp/books/1117101139

 

今回紹介したJavaScriptの姉妹本で、Python版も出ていました。


スラスラ読める Pythonふりがなプログラミング (ふりがなプログラミングシリーズ)

 

番外編:ディレクターにJavaScriptの知識は必要か?

「ディレクターはコーティングしてはいけない」という言葉を耳にすることがあるけど、その通りだと思います。

 

ディレクターの仕事は、あくまで「なるべくプロジェクトを円滑に完遂することが基本」なので役割として不当に思うし、そもそも複数のプロジェクトの舵取りの片手間にコーディングをやる暇がない。

 

一人でWeb制作の1から10を担った経験がある人なら尚更わかると思うけど、それはかなり荷が勝つことです。

 

しかし、JSに限らずPHP、HTML、CSSの知識はディレクターといえども持っていて不都合は当然ないどころか役に立ちます。理由は以下の2つ。




 

クライアントの前ではっきり可否

上流工程のクライアントとの会議において、目前のクライアントは遠慮なく技術的な質問をしてきます。

 

ディレクターだろうが、デザイナーだろうが、コーダーだろうが、なんだか知らないけどクライアントにとっては目の前にいる人間はWeb制作者に見えています。

 

PHPなどのバックエンドプログラムにもいえることですが、オリエンの時点でアサインするメンバーはほぼ決めているので、費用感や技術レベルを会議の場である程度は把握していますが、あまりに複雑で多くのパターンを要する条件分岐の要望があった際に、「この予算でこの仕様は可能か?」との質問にその場で答えられないことが多々ありました。

 

「多分大丈夫です」「宿題にします」「勉強します」とその場を切り抜けたり、その場で直接エンジニアに電話や、こっそりSlackなどで聞いたりすることもありますが、やはり即答できてミーティングを円滑に進められることが望ましいと思います。

 

プログラム上のトラブルの早期対応

納品後にプログラム上のなにかしらのトラブルが発見された時に、協力会社のコーダーにいちいち時間を作ってもらうより、その場で自分で解決策をみつけたほうがよほど早い場面もあります。

 

ただ気をつけなければならないのは、自分で直せるからといって毎回自分で作業しないこと。

 

矛盾しているかに思えますが、ディレクターには他にやらなければならない優先事項が多々あるのでタスク優先度としては低い。あくまで緊急時。エラーの原因の究明まで終えルことができたら、あとは極力エンジニアに任せた方が良い。

 

そういった意味では、前述の通り本書に書いてあるエラーの読み解き方はとても参考になります。

 

なにはともあれ、この本は社内のデザイナー達に共有しようと決めるくらいJavaScriptの入門書として良書です。




フルスタックWebディレクターへの指標『Webディレクションの新・標準ルール』




 

特定分野の研究は深く掘り下げるクセがあるにも関わらず、Webディレクターを始めるにあたりこの手の標準ルール本からWebディレクションを学ぶという選択肢はなぜか今までなかった。

 

ここまでなんとなく歩いてはきたけど、口コミの評判が良かったこともあり、去年(2017年)『Webディレクションの新・標準ルール 現場の効率をアップする最新ワークフローとマネジメント』を購入して、やっと最近一通り読み終える。

 

うんざりするWebディレクターのスキルの広さ

目次を読むと、あらためてWebディレクターという仕事も”身につけるべき”と思われるスキルがたくさんあるんだなーと思いつつ後ずさりしたくなる。

 

当然わくわくしながら読み進める人もいるでしょうが、たぶん、この本を手に取る人はこれからWebディレクターを始めようという人が多いと思うので、この目次の項目数の多さにおののいてしまう人もいるのではないか・・・。

 

今思えば、自分が今まで標準ルール本からWebディレクションを学ぶという選択肢がなかったのは、こういった理由だったのかもしれない。

 

しかし、そういった人もちょっと考え方を変えれば、この本は普段持ち歩くに等しい良書となる。

 

この本に書いてあるスキルを全て体得してフルスタックなWebディレクターになるのだという考え方を一時的に捨てれば。

 

「ディレクションの目的と役割」「企画」「設計」「制作・進行管理」「運用・改善」と全5章にわたり、一人前のWebディレクターになるための必要不可欠な知識が完全といっていいほどコンパクトにまとまって網羅されている。

 

最初から読み進めれば読み進めるほど、たしかにどのスキルの習得もはっきり言って捨てがたい。

 

が、エッセンシャル思考の本を読んだときにも書いたけど、ここはあえてどんどん切り捨てる。




 

Webディレクターの守備範囲は人それぞれ

どんどん切り捨てると言っても、好きなところだけを読んであとは無駄という意味ではない。

 

Webディレクターも組織の環境によって役割の守備範囲がだいぶ変わる。

 

  • ほとんどの工程を内製できるWeb制作会社
  • 企画立案がメインの上流工程を主体としたマーケティング会社
  • メーカーのマーケティング部門、並びにインハウスWeb制作部隊
  • 印刷・製版会社の中のWeb制作事業部隊

 

自分のバックグラウンドも大きく影響するが、周囲の環境によって守備範囲が変わるのは物理的にも避けられない。

 

特に、比較的にWeb制作のリテラシーが高くないと思われる印刷・製版会社では、組織と自分(たち)との狭間で根本的な考え方の違いで苦悩と奮闘の日々を送ることになることが想定される。

 

ポジティブな行動として組織改革が考えられるが、そこに労力を費やす余裕はこの本を読んでいる時点ではきっとない。

 

人それぞれに合った効率的な読み方

したがって、その環境・案件に適用するスタイルを確立するためには、今の自分に絶対的に必要な知識からチョイスして読み進めることをおすすめする。

 

チョイスをしたら、その分野を別の本なり、勉強会なり、ネットなりでもっと深く掘り下げていけばいい。

 

当然、最初から最後まで一読しても面白くて有用な内容だけど、もはやWeb制作会社だけにWebディレクターがいるわけではない現在において、こういったチョイス方法は相応かと思う。

 

本書CHAPTER 1でも、事業会社の社内ディレクターの役割と必要なスキルセットも紹介されているほどだし、しつこいようだが、Webディレクターは受託会社だけに存在するわけではない。さらにUXなどの人間中心設計についても科目として取り上げられているあたりが、今回の標準ルールに「新」をつけた理由のひとつなのだろう。

 

繰り返しになるけど、この本は立派なWebディレクターになるために必要な知識が完全といっていいほどコンパクトにまとまって網羅されているので、現在のWebディレクションに関するスキルセット内容を俯瞰的に把握できるという点もこの本の特徴のひとつ。

 

そういった意味では、一人前のWebディレクターへの道を計画的にロードマップを立てるのにも使えると思った。

 

好きなところから読み進め、何かの壁にぶつかった時に開けば助け舟にもなるかもしれない。


Webディレクションの新・標準ルール 現場の効率をアップする最新ワークフローとマネジメント

 

この記事で紹介しているのは『現場の効率をアップする最新ワークフローとマネジメント編』です。

 

『システム開発編 ノンエンジニアでも失敗しないワークフローと開発プロセス』というのもあるので、気をつけてください。


Webディレクションの新・標準ルール システム開発編 ノンエンジニアでも失敗しないワークフローと開発プロセス

 

とはいえ、この開発編も非常に気になりますが。

 

本質を押さえてから

と、ここまで偉そうに書いてきたけど、本書の冒頭に以下の文章がしっかりと書いてある。

 

(省略…)では、上記(様々な技術や知識を要すること)を満たすため技術に長けたフルスタックなWebディレクターでなければならないのか?もちろんできればそれに越したことはないが、それがWebディレクターの本質ではない。……

 

前述のようにどこから読み進めるべきかは人それぞれだが、サブタイトルに「現場の効率をアップする最新のワークフローとマネジメント」とあるように、物事(プロジェクト)を円滑に進行することに重点を置く思考こそが、やはりWebディレクターが最初に身につけるべき最優先事項なのではと思う。

 

必要なテクニックが多く網羅されているともいえるのだが、「ディレクターはこうあるべき」という思考はとても大事で、本質を捉えてから多くのことを学んでいってっも遅くはない。

 

むしろ、このエッセンスを理解していないと、のちに多くのスキルを身につけていく過程で自分が何者だかわからなくなるという、急に自分探しの旅に出なくてはならなくなるという恐れがある(自分がその傾向にあった)。

 

ちなみにまったく別の本のだけど『ディレクション思考』という本はWebディレクターのエッセンスを刷り込むのに大変おすすめ。

 

初歩的な問題から効率化を図るテクニックまで

最後になって気になる内容についてだが、各科目についてははっきり言ってAmazonのなか見!検索を見ていただいた方が手っ取り早い。そこで目次も見ることができる。

 

本質を理解したうえでも、いざWebディレクターとして実際に走り始めてるとミクロな部分ですぐに壁にぶち当たる現実。

 

  • キックオフミーティングの開催はいつ?
  • どのサーバーを選べばいいのか?
  • 工数計算の算出法は?
  • MacだからExceでドキュメントを作ったことがない・・・
  • DNSって?公開のタイミングがわからない・・・

 

上記のような初歩的な問題から、「見込み案件の見極め」「運用後の課題管理」「商流のパターン」「Webサイトの検収の見極め」といった、さらに効率化を図るテクニックやリスクマネジメントまで。

 

そういったリアルな現場で直面した時に役にたつ対処、習得しておくとディレクションがさらに効率よくなる知識が、見開き2ページ単位で具体的に紹介されている。

 

僕は最初この本を知り合いから借覧していたが、現在はKindleで購入しMacBookでいつでもどこでも引けるようにしている。




Webディレクターの必須スキルを見極める『エッセンシャル思考』




 

Webディレクションのスキルセットの多さに悩んでいたころに読んだ「エッセンシャル思考」を再読しました。

 

初めてエッセンシャル思考を読んだ動機

Webディレクターに専念していくうちに、覚えなければいけないことが沢山あると思うようになり、早く一人前にならなくてはいけない!という焦りと、全てのスキルを体得できるのか?いや、むしろ何ひとつまともに体得できないのではないか?という不安に満ち、気持ちに余裕がなくなっていた時期がありました。

 

  • Web制作全般の知識
  • サーバー・ネットワーク全般の知識
  • コミュニケーション能力
  • マーケティング
  • プランニング
  • リーダーシップ
  • プレゼンスキル
  • アクセス解析
  • ライティング
  • 経営知識
  • UXデザイン
  • マネジメント
  • SEO
  • SEM
  • ドキュメント作成スキル
  • デザイン

 

上記のように、やがて大枠のカテゴリーから飛び出し、もはや重要項目のひとつとして独立し、圧倒的な人手不足に煽られながら、その後もキーワードは膨れ上がっていきました。

 

そしてこれらのキーワードはひとつの立派な惑星へと成長し、太陽系のように常に頭の中を順繰り周回することになり、

 

「マーケティング覚えなければ…。」

「いや、アクセス解析を先に覚えければ…。」

「いやいや、要件定義書を作れようにしなければ…。」

「あ、そうだ、マーケティングも覚えなければいけなかったんだ…。」

 

と、こんな感じに。さらに、

 

「ステークホルダーが役員だらけなので経営学も…。」

 

といった具合に、太陽系はおろか宇宙のように無限に膨張し始める始末。

 

貪欲に知識を手に入れること自体は現在も以前も苦ではなかったけど、この時は明らかに全てが散漫な状態。

 

その時に本屋さんで、

 

エッセンシャル思考は、単なるタイムマネジメントやライフハックの技ではない。本当に重要なことを見極め、それを確実に実行するための、システマティックな方法論だ。エッセンシャル思考が目指す生き方は、「より少なく、しかしより良く」。

 

と書いてある本の帯に目を奪われた。

 

これが、数年前に初めてこの本を読んでみようと思った動機。


エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする

 

エッセンシャル思考とは

「エッセンシャル」とは、本質的であり、絶対に欠かせないこと。

 

エッセンシャル思考は、少ない労力でより良い成果を出すこと。

 

そのためには、

 

  • 普段の業務や生活から多くのタスクを削ぎ落とす。
  • 降りかかる多くのタスクの増幅を予防する。
  • 一番重要なこと(エッセンス)を見極める。
  • その大きな成果や価値に向かって突っ走る。

 

そういったエッセンシャル思考になるための徹底した考え方、習慣、行動の方法論を応用することができ、この時は非常に役に立ちました。

 

今思えば、ここ数年よく聞く「断捨離」にも通じる、ミニマリスト的な思想にも近い。

 

クローゼットにある今後着るか着ないかわからない服へのバイアスの払い方についてのたとえ話なども文中に出てくるし。

 

そして、このエッセンシャル思考を応用して、頭の中で周回する惑星たちにストップをかけてみました。




 

Webディレクターの商品価値(本質)

エッセンシャル思考を踏まえ、Webディレクターという役割の本質を見極め、絞り込む。

 

文中に、Linkedinのディレクターが行なった「逆プロトタイプ」という手法が紹介されていました。

 

やって(作って)結果を素早く検証するプロトタイピングの逆、どんどんやらないことで、それらが現在必要なことであったかを検証する方法。

 

自分も、やらなければいけないと思っていてことをやめてみたら、案外やらなくて大丈夫だったことに気づかされるのでは。

 

いっぱしのWebディレクターがマスターしなければならないと思われるスキルセットをリストアップして検証してみたところ、マーケティングはマーケター、アクセス解析はアナリスト、UXはUXデザイナーというようにディレクターでなくとも賄える本職種がはっきりとわかってきました(最初からわかっていた筈だったのに)。

 

なんとも当然な結果に驚いた。何かをとるなら何かを捨てなければならないトレードオフというシンプルな考え方。

 

そして最後にどうしても捨てきれなかったのがプロジェクトのマネジメント。

 

進行力と管理力こそがWebディレクターの商品価値

 

自分はディレクターとして、メンバーをアサインするということを忘れ、全てのスキルを一気に体得しようとしていたことに気づく。

 

この本の章毎に常々要約されているエッセンシャル思考の人と非エッセンシャル思考の人との比較を見ると、自分はもろに非エッセンシャル思考型の人間だったのでありました。

 

Webディレクターには付加価値も必要

とはいえ、進行管理一辺倒のWebディレクターでは売れっ子ディレクターにはなれない。また、自分がWebディレクターの守備範囲のことで迷子のなったのはなぜか?

 

進行管理は円滑に進められることがなによりも好ましい。そのためにプロジェクトマネジメントを学び、スケジュールの引き方、要件定義、ステークホルダーの重要性などを学ぶ。ここまではなんとなくディレクターっぽい。

 

しかし、事業戦略のためのマーケティングツール「Webサイト」制作のディレクションを円滑に進めて行く中で、クライアントやマーケターとやりとりするためのSEOを含むマーケティングの知識が必要になってくる。

 

クライアントとディレクターが実装したい機能があれば、エンジニア、PM、PLに説明ができて、さらにフィードバックを理解するための技術知識が必要となってくる。

 

これらに事例はすべてディレクターの商品価値である進行管理を円滑に進めて行くために生まれる付加価値であると考えます。

 

この付加価値の必要性は、担当する案件の目的、予算、スケジュール、スコープによって決まります。

 

世間のディレクターがあれもできてこれも詳しいからといって、あらゆる付加価値を一挙に習得しようとせず、やらないことを切り捨て、まずが本質をしっかり習得することが大事だと思いました。




オライリーの『デザインの伝えかた』はディレクターも読むべき




 

プログラミング系の技術書でエンジニアにおなじみのオライリー出版のUXデザイン本シリーズ。

 

ステークホルダーにデザインの意図を正しく伝え、承認や合意を得ることは最適なUXを実現する

 

序盤はUXがもたらした近年のデザインの役割変化についてを振り返り、そして有効なコミュニケーションがデザインの決定過程においてどれほど必要不可欠なのか理解を深めてから、内容の濃い本題へと突き進んでいく。

 

Webサイトやアプリの制作を依頼をしてくるのはクライアントだったり自社の役員だったり。

 

他にも、一緒にプロジェクトのゴールへと向かうエンジニアやプロジェクトマネージャーなど、避けようのないステークホルダー(非デザイナー)たち相手に、デザインの専門家であるデザイナーが事業課題解決のためのデザインの意図をどう伝えることができるのか?

 

多くの修羅場をくぐってきたデザイナーである著者のTom Greever(トム・グリーバー)は、緊迫したステークホルダーとの戦略会議をS会議(ステークホルダー会議)と称し、非デザイナーとの接し方、考え方、会議に向けての準備や予防策、その場での対処法やステークホルダーの分析などを自身の豊富な経験の中から実例を交えてS会議の成功法を解説していきます。

 

1章にて、若き日のTom Greeverが、ある企業への就職活動で、マーケティング担当副社長との最終面接のやりとりの場面が印象的でした。

 

副社長は、

 

私が新しいプロジェクトを始めて、あなたに発注しようか検討しているとします。あなたなら最初に何を訪ねますか?

 

という質問に対し、Tom Greeverは、

 

印刷物ですか?ウェブサイトですか?カラーですか?白黒ですか?〜省略、そのウェブサイトあるいは印刷物は、何ページになりますか?納期は?

 

に対し、副社長は、

 

それでは困りますね。一番最初に尋ねるべきは『何を伝えたいか』でしょう

 

この『何を伝えたいか』という核心的な一言こそが、デザイナーのエッセンスなのかなと思いました。

 


デザインの伝え方

 

1章の実例と一言を念頭に置いて読み進めると、後に続く本題であるステークホルダーとの有効なコミュニケーションの具体的な実例や解説が全て紐付けられながら理解できると思います。

 

この本は、対ステークホルダー対策というだけではなく、デザイナー自身が自分の役割の一つとしてコミュニケーションの大切さを認識でき、「基本的にクライアントやステークホルダーはわがままで面倒臭い」という印象を持っている人は、読み終えるとだいぶ考え方が変わってくると思います。

 

自分が中心となって先導していくプロジェクトであっても、それは単に立場上の役割なだけで、ステークホルダーからしてみればデザイナーもステークホルダーなわけで、自分だけが正しいという考えではいけない。という忘れがちだったスタンスにも気づく。

 

一歩会社を出れば、ステークホルダーもデザイナーと同じ人間。

 

非デザイナーがデザインに触れる機会といえば、インターネットやスマートフォンが登場する以前は、駅や電車内の広告、好きな美術展やライブのポスターやチラシ、書籍の体裁などでしたが、今やWebサイトにアプリといった日頃の生活や人生に欠かせないUIツールを操作しながら毎日デザインに触れているといえます。

 

なので、いまの時代は非デザイナーでも自分が触れてきたUIデザインの経験がそのまま意見となりやすいのだが(それは悪いことではない)、やはりコンバージョンへの導線や、プロジェクトの目的を見失いがちになってしまうのもクライアントであり、ステークホルダーであり、非デザイナーであり、さらに言えば同じ人間。

 

戦略的で意図的なデザインに対してのステークホルダーのブレを軌道修正し、合意や承認を得るのに必要なのがデザインを伝え方である。

 

ここまで読んでいただければ、Webディレクターの方が読んでも面白い本だと思ってもらえると思います。

 

Webディレクターにとって女房役とも言えるデザイナーとの接し方、そのデザイナーのデザインに合意し、クライアントへの説明やその場での軌道修正に挑むことを考えると、Webディレクターにもおすすめです。

 

ちなみに、別の方の書評でも書いてありましたが、この本は翻訳がとても丁寧で分かりやすく、ステークホルダーへの具体的な発言例などの語彙は、そのまま実戦でも使えるようになっています。

 

数あるUX/デザイン系のオライリー本の中でもかなりの良書。




Webディレクターが読んだ2017年に出版された本




 

本は年間に何十冊も何百冊も読んではいませんが、Webディレクターという職業柄のせいか、ディレクション、UX関連、デザイン、ライティング、チューニング、コミュニケーション、思考法など、気づいたら多岐にわたるジャンルの本に手をとりました。

 

その中から、今年2017年に出版され、読んでみた本をまとめてみました(順不同)。

 

Webディレクターが読んだ2017年出版された本

 


Webディレクションの新・標準ルール 現場の効率をアップする最新ワークフローとマネジメント

デザイナ同様、数年前に比べてWebディレクターの守備範囲が広がったように思えます。

しかし、もっとも心がけるエッセンスは昔から依然変わっていないようです。

重要なのはマネジメントとコミュニケーション。

この本ではWebディレクターが担うべき最新の標準ルールを知ることができ、もちろん基本的なことを知ることができます。

これからWebディレクターを志す人や、最近の動向を確かめる理由ですでにWebディレクターをやっている人が読んでも有用。

 

 


デザインの次に来るもの

日本でも話題になった「デザイン思考」以外の考え「意味のイノベーション」の価値が紹介されています。

また、デザインの黎明期から、ヨーロッパを中心に近年のデザイン・デザイナーの定義についても触れており、ビジネスにおいてデザイン・デザイナーの重要性を知ることができます。

 

 


Webフロントエンド ハイパフォーマンス チューニング

ディレクターになってから技術書を購入することはめっきり減りましたが、それでもWeb制作に携わる人間としてはWebサイトのパフォーマンス向上の知識を持ち合わすことは大事。

計測ツールの使用方法、JS、CSSのチューニングテクニックなど、Webサイトを幅広く網羅されている。

 

 


逆説のスタートアップ思考 (中公新書ラクレ 578)

スタートアップの正しい解説に始まり、その本質が「逆説」や「反直観的」という言葉の中に隠されています。

ベンチャーと混同している人にとっても、スタートアップの正しい解説から始まるので、起業家でない人でも、著者が主張する素晴らしいスタートアップ思考への理解が深まると思います。

また、UXの考え方に近い、CS(カスタマーサクセス)の重要性についても言及されています。

 

 


発想法 改版 – 創造性開発のために (中公新書)

ブレストなどによって導き出された多くの発想を整序して、問題解決に結びつけていくための手法、KJ法の本。

KJ法は、文化人類学者であり、著者の川喜田二郎のイニシャルから取られた世界中で活用されている。

新版ではないが、続・発想法にも続く。

 

 


未来の年表 人口減少日本でこれから起きること (講談社現代新書)

今、世界中が注目している日本の少子高齢化問題。

仕事上での提案やアイデア発想のネタ探しとして購入して読んだものの、あまりの深刻な状況に絶句した。

「自分も日本のためになにかをしなければならない」という気持ちのさせられた。

 

 


大人の語彙力ノート 誰からも「できる! 」と思われる

 

 


仕事で必要な「本当のコミュニケーション能力」はどう身につければいいのか?

 

 


スタンフォード式 最高の睡眠

 

 


MBA100の基本

 

 


MBA生産性をあげる100の基本

 

番外編:Webディレクターが読んだ2016年後半〜に出版された本

今年2017年に読んだ本で、よく見たら2016年に出版されていた本です。

 

 


デザインの伝え方

 

 


ストーリーマッピングをはじめよう

 

 


人工知能―――機械といかに向き合うか (Harvard Business Review)

 

『逆説のスタートアップ思考』から学ぶ




 

タイトルから見てとれるようにスタートアップに関する本ですが、そのスタートアップの本質が「逆説」や「反直観的」という言葉の中に隠されています。

 

ベンチャーと混同している人にとっても、スタートアップの正しい解説から始まるので、起業家でない人でも、著者が主張する素晴らしい思考へと読み進めやすいと思います。

 

実際、起業をする予定がないWeb制作畑の僕も読んで良かったと思いましたし、知り合いのマーケターも絶賛していました。

 

スタートアップの成功に必要な様々な要素の中で、本書は「アイデア」「戦略」「プロダクト」の3つに焦点を当てており、3章の「プロダクト」で、個人的に共感する考え方が紹介されていました。

 

逆説や異端という言葉は音楽や漫画が好きだった学生時代の頃から意識しており、大勢が熱中している既に世にありふれたモノやコトには興味が湧かなく、ニッチでマニアックでマイノリティなアンダーグラウンドなモノ・コトの方が新鮮でオリジナリティがあり面白さを感じ、さらにそれらが徐々に大衆に広まっていき、メジャーになっていく様を見て優越感に浸っていた性格の悪い時期がありました。

 

3章の「プロダクト」では、多数の「好き」より少数の「愛」を。という扉で始まり、スタートアップではスケールしないことを勧めています。

 

規模を拡大せず、未成熟でも製品・サービスをローンチしてしまい、創業者や開発者たち自ら早期の段階で検証に入り、大切な注意点を発見し、ブラッシュアップする。

 

そして、ある意味で共感者・ファンとも言える初期の少数ユーザー・カスタマーとも近い距離で接することができ、企業と製品・サービスに対する信頼の獲得と絆を深めることができる。

 

やがて少数のユーザー・カスタマーはエバンジェリスト(支持者)となり、美しい波紋状の広がりを見せる可能性があると思いました。

 

ではニッチなモノを作ればいいのか?というわけでもありません。

 

スタートアップにアイデアは重要な出発点となりますが、そのアイデアは「考え出す」のではなく「気づく」ものだと説いています。

 

これはスタートアップ思考に限らず、モノ・コトを作ることに関わる全ての人にとっても大事なことだと感じました。

 

序文で、「この考え方は企業全般に当てはまるものではありません」という注意が書いてありますが、この逆説のスタートアップ思考の知識・考え方は、様々なことに応用できることだと読み進めるうちに気づきました。

 

就職活動前の新卒者、起業家のみならず、全てのビジネスパーソンにオススメの本。

 

また、文中でも紹介されていましたが、著者の馬田隆明氏はスライドも公開しており、こちらも必見です。

 

 




 

UXデザインセミナー『UX Bridge vol.2』に行ってきました。

『UX Bridge vol.2』に行ってきました。



 

追記:2017年11月18日
スピーカーをされた伊東氏、布目氏のスライドを追加しました。

 

追記:2017年11月1日
スピーカーをされた右田氏、宮下氏、佐伯氏のスライドを追加しました。

 

2017年も終わりに近いですが、ようやく今年初のUXデザイン系のセミナーに行けました。

 

BtoB/BtoBtoCサービスにおけるUX勉強会『UX Bridge vol.2』

 

UXデザインに対して価値観が高くない新入社員のひよっこWebデザイナーを連れて行くのが最大の目的でしたが、人気のイベントだけあって自分だけが抽選に当選。

 

最近UXデザイン系のセミナーは盛んに行われているので、日程が合えば今度こそ連れて行こう。

 

参加した動機

前線でご活躍されているデザイナー、フロントエンジニア、プロダクトマネージャーの方々の視点で、取り組みや考え方、UXデザインがビジネス上でどのような価値をもたらしているか?といったお話が聞けるとのことで興味が湧きました。

 

自分自身のためでもあるのですが、やはり自分が所属する組織・チームの各役割のメンバー達に、自分の立ち位置からUXデザインの価値を知ってもらいたかった。

 

残念ながら結果的に行けたのは僕だけでした。しかも天候も体調も最悪な2017年10月25日に。

 

サービスの転換期とUX改善

プレイド 右田氏:サービスの転換期とUX改善

右田氏は、自社サービスの大規模UX改善の失敗談と軌道修正の経験を具体的に紹介されていました。

 

(余談ですが、個人的に、失敗〜軌道修正にプロジェクトの美学を感じます)

 

機能もクライアントも多様になりUIが散見したので、UIのサマリー要素を強化したものの、「社内に改善の意図がしっかりと伝達されていなかった」「大幅な画面構成の変更」「ユーザビリティテストの未実施」などにより、改修後に混乱を招いたそうです。

 

組織・チームが行動の目標に対し共通認識を持ち、ドッグフーディング、メンバー間でズレをすり合わせ、ユーザーテストをしっかり試みて現在も改善中とのこと。

 

セルフユーザビリティテストは、自チームでも実施していますが、当初は「デザイン思考はチームみんなで仲良くやる」という個人的な印象のもと、みんなで和気あいあいと代わる代わるデバイスを操作しながら進めてザルになってしまい失敗した経験があります。

 

右田氏も提言していましたが、声が大きい人の固定観念で左右が決まってしまい、声の小さい人の貴重な意見や考えが埋もれていくことを注意喚起していました。

 

それにしても失敗談はとても価値があると改めて思いました。

 

右田氏のスライド

 

これまでとこれからの広告UX

Repro 宮下氏:これまでとこれからの広告UX

宮下氏は、YouTubeがスキップできない30秒動画広告を2018年に廃止することや、Chromeが広告ブロック機能の追加をすることを取り上げ、広告においてのUXでは、ユーザー体験を妨害されるような広告はマイナスなることを指摘。

 

また、これからの広告UXの特徴として、ネイティブ広告、広告内でゲームができるプレイアブル広告、ダイナミックリターゲティングなどを挙げていました。

 

ユーザーの目的遂行に「待った」をかける広告が排除される。
アドテクノロジーの進化に注目。

 

以前に読んだことがある「子どものUXデザイン ―遊びと学びのデジタルエクスペリエンス」という本にも、8〜10歳くらいの年齢から広告を嫌い、信用しなくなり、子どもはエクスペリエンスを見捨てる可能性があると指摘されていました。

 

子どものUXデザイン ―遊びと学びのデジタルエクスペリエンス

 

自分もスキップできない動画広告やポップアップするような強制的に足止めを食らうインタースティシャル広告が死ぬほど嫌いですが、適度に目的の邪魔にならない広告ならばいいのかなと思います。

 

結局はユーザーのその時の気分。

 

単純な行動理論では予測できない感情の起伏も考えられるので、広告のUXは難しそうなイメージが残りました。

 

宮下氏のスライド

 

UXとCS(カスタマーサクセス)

弁護士ドットコム 佐伯氏:UXとCS(カスタマーサクセス)

佐伯氏は、デザイナーの立ち位置から見たUXについての心境の変化から説明されていて、UIを通した狭義的なUXにフォーカスしがちだったとのこと。うちのWebデザイナーもその傾向にありました。

 

UXの考え方について、IDEOのティム・ブラウン著:「デザイン思考が世界を変える」に記されている、ボストン→ニューヨーク→ワシントン間を走る高速列車サービスの交通改善のCX、カスタマージャーニーの重要性を例として挙げていました。

 

デザイン思考が世界を変える
著:ティム・ブラウン
(ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

 

僭越ながら、僕もこの本で色々なことに気づかされ、かなり影響を受けました(3冊買って人に配るくらい)。

 

そのCXやカスタマージャーニーと話が繋がりますが、本題にあるCSとはカスタマーサポートではなく、カスタマーサクセスのこと。

 

カスタマーサポート

ユーザーから問い合わせが来た時に対応する受動的な「リアクティブ」

カスタマーサクセス

調査やデータ分析をして、問題が起きそうなところに能動的に働きかける「プロアクティブ」

 

上記でどちらがUXの考え方に近いかといったら後者。

 

たしかに、CS(カスタマーサクセス)は、UXと同意義に感じました。

 

CS(カスタマーサクセス)のことを詳しく知りたいという方に、馬田隆明氏のスライドを読むことを勧めておりました。

Takaaki Umada presentations | SlideShare

 

セミナーでは紹介されていませんでしたが、馬田隆明氏の著作物で、「逆説のスタートアップ思考」という本もおすすめです。

 

逆説のスタートアップ思考
著:馬田 隆明
(中公新書ラクレ 578)

 

「サービスのUXに課題を感じたらCSを思い出す!」

 

なるほど納得しました。

 

佐伯氏のスライド

 

コンセプト設計におけるUXデザイン

ProfitMakers 布目氏、伊東氏:コンセプト設計におけるUXデザイン

何年か前に、Schoo(だったか)でWebディレクターの田口真行氏もおっしゃっていたのを思い出しましたが、

 

「UX」は、バズワードになるずっと以前から、当たり前のように行われてきたこと。布目氏もこのように述べていました。

 

そして以下、業務の緊急やりとりが発生し、講義に集中できなくなる・・・。

 

さらに体調が悪化。

 

なんとかメモれたのがこれ。

 

よくあるWEB系事業の設計

模倣するサービスの調査→UX設計→UI設計

本来あるべき事業の設計

CI設計→コンセプト設計→UX設計→UI設計

 

製品自体にも、パッケージにも、什器POPにも、販路にも、コンセプトは最後まで付いてくるもの。それは、WEB系のサービスにも言えるでしょう。

 

 

感想・まとめ

登壇者の話は各々20分程度ですが、無料でここまで具体的で様々な内容を聞けてお得だなと思いました。

 

UXデザインの概念に関しては登壇者の方々は共通認識を持たれていましたが、各々のUXデザインにおける取り組み、失敗談、改善方法、専門的なフィールドに絞った知見を得ることができ、とても勉強になりました。

 

【先着枠追加】UX Bridge vol.2