小林健二 個展『Crystal Specimen-結晶標本』魅惑の鉱石たち。

小林健二 個展『Crystal Specimen-結晶標本』



 

2019年4月26日(金)、中野ブロードウェイの4階にあるGALLERY リトルハイまで鉱石ラジオなどで知られるアーティスト小林健二さんの展示会 『Crystal Specimen-結晶標本』に行ってきました。

 

GALLERY リトルハイ

 

小林健二さんの展示会へは、2017年に開催された『Kenji KOBAYASHI Solo Exhibition』ぶり。

 

アーティスト小林健二さんの作品というと、絵画、造形、音楽、映像、鉱石ラジオなど多岐にわたる作品群がありますが、今回の展示のメインはずばり結晶。

 

148点にも及ぶ小林健二さんが育て上げた魅惑の結晶たちが無数に鎮座していました。

 

小林健二の無数の鉱石

 

中野ブロードウェイに通い続けて早20数年。仕事や家庭で忙しく年々ブロードウェイに足を運ぶ機会が減っているとはいえ、行けば隅々まで練り歩く僕ですが、何気にリトルハイに踏み入れたのは今回初めて。

 

リトルハイは過去に井口真吾さん、空山基さんなどの個展も開催されていたと知って非常に後悔。今後はまめにチェックしなければと思いました。

 

GALLERY リトルハイ看板

 

さて、そのリトルハイの敷地をまたぐと早速無数の輝きが目に飛び込んでくる。

 

 小林健二『Crystal Specimen-結晶標本』

 小林健二『Crystal Specimen-結晶標本』

 

148点にも及ぶ、地球の至宝たち。

 

小林健二『Crystal Specimen-結晶標本』鉱石

小林健二『Crystal Specimen-結晶標本』鉱石

 

上の水色の結晶をながめていると、次第に神秘的な塔塚に見えてくる。

 

小林健二『Crystal Specimen-結晶標本』鉱石

小林健二『Crystal Specimen-結晶標本』鉱石

小林健二『Crystal Specimen-結晶標本』鉱石

 

 

それぞれが自己主張している多彩な結晶たち。呼吸をしている植物のよう。




 

小林健二『Crystal Specimen-結晶標本』鉱石

小林健二『Crystal Specimen-結晶標本』鉱石

小林健二『Crystal Specimen-結晶標本』鉱石

小林健二『Crystal Specimen-結晶標本』鉱石

 

たむらしげるさんの作品の風景に登場しそうなニョキニョキ育ったクリスタルたち。

 

小林健二『Crystal Specimen-結晶標本』鉱石

 

真っ二つ?に別れたきれいなV字の結晶は、決して仲がわるくなったのではなく、平等に分け与えることの象徴なのだ。きっと。

 

小林健二『Crystal Specimen-結晶標本』鉱石

 

上の鉱石は、絵画の中に描かれている「窓」に見えてきた。そしてその先には見えるのはまた窓。いつまでも遠くを見つづけることが大切なのだと考えさせられた。

 

小林健二『Crystal Specimen-結晶標本』鉱石

 

撮影がへたっぴなので画像だと毒々しく見えけど、岡本太郎さんの作品みたいに生命感にあふれている真っ赤な結晶でした。

 

小林健二『Crystal Specimen-結晶標本』鉱石

小林健二『Crystal Specimen-結晶標本』鉱石

小林健二『Crystal Specimen-結晶標本』鉱石

 

この辺りから、盆栽を眺めている時と同じ気分に気づく。
そして、あらためて地球人でよかったと気づく。

 

小林健二『Crystal Specimen-結晶標本』鉱石

 

レモンスカッシュが飲みたくなるような黄色い鉱石群に目を奪われていると、ギャラリーのスタッフさんが特殊な紫外線のライトを鉱石の上から照らしくれた。

 

小林健二『Crystal Specimen-結晶標本』鉱石

 

感動。これには他にいらしたお客さんと一緒に驚いた。

 

小林健二『Crystal Specimen-結晶標本』鉱石

 

真っ暗闇の中で見たらさぞ素晴らしい光景だろうと思った。

 

そして、今回の展示会は結晶だけでは終わらなかった。そう、あの神々しき天体・・・。

 

小林健二『Crystal Specimen-結晶標本』鉱石

 

出ました。土星が住んでいる黒い箱(と、いつも僕は勝手に呼んでいます)。

 

小林健二『Crystal Specimen-結晶標本』鉱石

小林健二『Crystal Specimen-結晶標本』鉱石

 

しかも今回は2機。覗き込むと土星は生きているかのようにゆっくりと自転していました。しかし、この土星生成装置は一体どうやって制作されているのだろう?

 

物販コーナーには小林健二さんのアートブックなどが多数。

 

小林健二『Crystal Specimen-結晶標本』物販

小林健二ポストカード

 

黄色い封筒に入っているのは鉱石を撮影したポストカードのセット。

 

感想

小林健二さんとは同じ星に住み、同じ時代に生きているのに、なぜか作品を通じて地球と宇宙、神と人間、今と昔を行き来しているような不思議な関係性を体感してしまう。

 

今回、個性のある結晶たちからは、生命力と、舐めたら甘そうな懐かしさをもらった気がする。

 

Crystal Specimen -結晶標本-

会期

2019年4月26日(金)~5月7日(火)
12:00~19:00(最終日17:00まで) 休廊なし 入場無料

場所

GALLERY リトルハイ(中野ブロードウェイ4F)
東京都中野区中野5−52−15 中野ブロードウェイ 4F

HP

GALLERY リトルハイ

KENJI KOBAYASHI ART WORK




展覧会「インド・タラブックスの挑戦」@板橋区立美術館

世界を変える美しい本 インド・タラブックスの挑戦



 

インドの出版社タラブックスの展覧会があると知り、2017年11月26日(日)板橋区立美術館へ、「世界を変える美しい本 インド・タラブックスの挑戦」に行ってきました。

 

インド・タラブックスの挑戦のチケット

 

タラブックス

4年前だったか。僕が初めてタラブックスの出版物と出会ったのは、原題:The Night Life Of Treesを吉祥寺のタムラ堂さんによる日本語版仕様にした『夜の木』を手に取ったのが最初。

 

夜の木の絵本

『夜の木』

 

シルクスクリーン印刷によるなんとも美しく、そしてインクの匂いなのか、お香のようなエキセントリックな香りが漂う素敵な大判の絵本。

 

タラブックス(Tara Books)は、南インドにある、”手作り”の絵本の出版社。

 

『夜の木』が一部の人たちで話題となり、僕も当時SNS上などで”同じ穴の狢”の方々と情報交換をしていた時期がありました。

 

なにが”手作り”かというと、まず印刷の技法が、一枚一枚を人の手で刷るシルクスクリーン印刷。さらに製本もすべて手作業。

 

シルク印刷が味わいある綺麗な仕上がりとはいえ、オフセットやデジタルなど印刷技術が発展するこの時代に、手間の掛かるシルクスクリーンを採用し、なぜ世界中を魅了し、そして知れ渡ったのか。

 

世界を変える美しい本 インド・タラブックスの挑戦

板橋宿区立美術館の入り口

 

板橋区立美術館へは、2015年のイタリア・ボローニャ国際絵本原画展以来。

 

板橋区立美術館の階段

 

展示室に続く二階への階段は、板橋区立美術館ならではのわくわく感が倍増する施し。

 

タラブックスの歴史

 

タラブックスの歴史は94年まで遡ります。

 

『夜の木』の歴代の表紙

『夜の木』の歴代の表紙

 

圧倒的な『夜の木』の歴代の表紙たち。

 

『夜の木』の原画

『夜の木』の原画

 

そして『夜の木』の原画群19点。紙にペン、インク、アクリルなどで描かれています。

 

『水のいきもの』初版

 

2011年に出版された、『水のいきもの』初版。原題:Waterlife

 

『水のいきもの』の原画

 

同じく『水のいきもの』の原画6点。こちらも紙にペン、インク、アクリルで描かれています。

 

『母なる神の布』木版

 

『母なる神の布』の木版。

 

タラブックスの原画

タラブックスの原画

タラブックスの原画

タラブックスの原画

 

他にも全然知らない作品が多数展示されており、新たな発見と本展覧会の網羅性に圧巻。

 

板橋宿区立美術館の館内

板橋宿区立美術館の館内

 

『インド・タラブックスの挑戦』グッズ

『インド・タラブックスの挑戦』グッズ

 

展示室の下、一階(半地下)の物販コーナーでは、本展覧会のグッズが充実していました。

 

『夜の木』トートバッグ

『インド タラブックス』物販

『インド タラブックス』物販

 

『夜の木』のTシャツや、トートバッグは無条件でかっこいい。

ほかにタラブックスのトートバッグや、手ぬぐい、ミスプリントを素材にした缶バッジ、カード各種、シルクスクリーン印刷の展覧会ポスター、などなど、おそらく、ここでしか手に入らないタラブックスヘッズにはたまらない物ばかりでした。

 

僕の戦利品

『夜の木』カード

 

数ある濃い品揃えの中から、一番思入れ深い『夜の木』のカードのみを購入。

 

そして本展覧会のチラシを持って帰りたかったけど、館内のどこにも無い。

 

美術館の方に聞いてみたら、初日で無くなってしまったそうです(初日ってこの日の前日だぞ!)。

 

インド・タラブックスの挑戦のDM

 

しかし、見兼ねた美術館の方からDMをいただきました!

本当にありがとうございました。

 

感想

作品の素晴らしさは、タラブックスのことをすでに知っている人にとっては紛れもないことであり、また、この展覧会に足を運んでいない人に、この記事の画像などを通じて少しでもそれが伝われば幸いと思います。

 

タラブックスが十数万部級のベストセラーを生み出している理由の一つに、作家、画家、デザイナー、編集者、刷り師など一つのチーム全体が、独自の価値観と独自のやり方で仕事をしていることだと感じました。

 

たとえば子ども向けの本の場合は、男の子と同じ数だけの女の子もいるということを忘れないこと。主人公になれるのは男の子だけではありませんから。(ギータ・ウォルフ)

 

読み手のことを考えて、本を作るのは当たり前のことかもしれませんが、タラブックスはその人にとって価値がある絵本を制作するという社員全員のマインドセット、そして素晴らしい趣向をこらした作品に仕上げ、世界を魅了する手法でまい進するクリエイター集団だと認識しました。

 

初めて『夜の木』を知り、手に取り、タラブックスの世界に足を踏み入れ、熱中した一連の体験。

 

これは、僕がやっているWeb制作の仕事でも大事なことと改めて痛感しました。

 

今回小さな子どもと一緒に二人で行って、ゆっくり観れなかったということもあり、会期中にもう一度行こうと思います。

 

そのあとまたブラッシュアップができれば。

 

タラブックスの挑戦 垂れ幕

 

世界を変える美しい本
インド・タラブックスの挑戦

会期:2017年11月25日(土)から2018年1月8日(月・祝)まで
開館時間:9時30分~17時(入館は16時30分まで)
休館日:月曜日(1月8日は祝日のため開館)、12月29日〜1月3日
場所:板橋区立美術館
詳細ページ:http://www.itabashiartmuseum.jp/exhibition/ex171125.html
住所:東京都板橋区赤塚5-34-27
巡回開催:愛知県刈谷市美術館 2018年4月21日~6月3日

 

タラブックスのことがわかる関連書籍


世界を変える美しい本 インド・タラブックスの挑戦

 


タラブックス インドのちいさな出版社、まっすぐに本をつくる

 


夜の木

 




 

カワイハルナ 個展『海を見る』を見に行く。

カワイハルナ 個展「海を見る」



 

海が見たい。

 

カワイハルナさんと本個展を知ったのはいしいひろゆきさんのツイッターのタイムライン。

 

DMに描かれていた海が見える風景の一部に惹かれました。

 

この日は内林武史さんの展示とハシゴだったのですが、偶然にもお二人のテーマの一環が「記憶」で、感慨深くなりそうななにかを予感。

 

PARK GALLERY(末広町)
PARK GALLERY(末広町)

 

会場である秋葉原のパークギャラリーへ行くのは初めて。公園横にある素敵な佇まい。

 

いざ。

 

カワイハルナ 個展「海を見る」

カワイハルナ 個展「海を見る」@PARK GALLERY

カワイハルナ 個展「海を見る」@PARK GALLERY

カワイハルナ 個展「海を見る」@PARK GALLERY

 

こじんまりとした空間に、存在感がある8点の風景が並ぶ。

 

作品:風が通る場所
作品:風が通る場所

 

夏っぽい青空の中、壁にタオルが掛けられ、関係性が感じられない物が点々と存在する意味不明な風景。不思議と穏やかな風を感じながらここで寝っ転がりたくなる。

 

作品:風が通る場所
作品:風が通る場所

 

なんか奥行きを感じると思ったら、背面に画用紙、手前に透明アクリル板の2レイヤー構造。中央のオブジェに自然の影がついている。

 

作品:海のあれこれ
作品:海のあれこれ

 

「海はどこ?」とよく見たら丸い穴の向こうが海になっていました。

 

作品:三角が横たわる部屋
作品:三角が横たわる部屋

 

不思議なインテリアはキューブリックの映画「時計じかけのオレンジ」の一幕を思い出す。

 

作品上:なかに海を 作品下:夢の中
作品上:なかに海を 作品下:夢の中

 

カワイハルナさんが創造する世界はとても心地よさを感じる。作中によく登場するカーテンやタオルみたいな布で、清潔感と風を表現されているからだと思う。

 

作品:曲面のなか
作品:曲面のなか
作品:円と板
作品:円と板
作品:部屋を横切る丸太
作品:部屋を横切る丸太

 

力学や物理学が好きな方なのだろうか。整合性をとりたくなり考えこみながら見入ってしまう。

 

ポップでシュルレアなランドスケープ。

 

戦利品

カワイハルナDMといしいひろゆきのZINE

 

カワイハルナさんの物販はなく今回の個展のDMと、いしいひろゆきさんのZINEを購入。

 

ですが、会期中に発注すると、受注生産で今回の個展で展示されている原画のポスター(原画実寸)を3,000円で購入できるそうです。

 

カワイハルナ 個展「海を見る」@PARK GALLERY

 

そういえば、本個展に行くきっかけとなったDMに描かれていた絵はどこだ?

 

と思ったら、いちばん最初に観た「風が通る場所」の作品に似ている。しかし、雲やタオルの形が若干変わっているし、無いはずのオブジェクトが「風が通る場所」にはある。

 

最初は「きっと未完成の状態でDMに使用したのだろう」と思ったけど、そうではない。どちらも同じ記憶であり、同じ風景。どちらも完成品。と、解釈しました。

 

これからもますますカワイハルナさんの展示に足を運びたいと思いました。

 

カワイハルナ個展「海を見る」
http://park-tokyo.com/post/165279496681/kawaiharuna
PARK GALLERY
東京都千代田区外神田3-5-20
会期:2017/10/11(水)~2017/10/22(日)
時間:13:00~20:00
休館:月曜日・火曜日




内林武史 展 Takeshi UCHIBAYASHI exhibition [alu]

内林武史 展 Takeshi UCHIBAYASHI exhibition [alu]



 

先月の小林健二さんの展示会に続き、10月18日にギャラリー椿へ内林武史さんの展示会に行ってきました。

 

内林武史さんの展示は、同じくギャラリー椿GT2で2年前の2015年に開催された「Another Planet*」以来。

 

その「Another Planet*」では、初めてご本人とお会いし、不思議なオブジェ(装置)を丁寧に紹介してくださって、オブジェ(装置)のスイッチが切り替えるたびに現実から夢の世界へと切り替わる体験をさせていただきました。

 

残念ながら今回はご本人にお会いすることができず。

 

しかし、今回も普段の生活では味わえない世界が用意されていました。

 

Takeshi UCHIBAYASHI exhibition [alu]

ギャラリー椿GT2の一部屋目
ギャラリー椿GT2の一部屋目

 

GT2の一部屋目。さっそく所々に何かが発光しているのが目に飛び込み、外の京橋の喧騒を一瞬で忘れる。

 

『alu』は「在る」、「或る」などの”ある”
光、音、色、匂い…脳裏に刻み込まれた記憶。
初めてみる光景に懐かしさを憶える、
そんな感覚で楽しみ頂けたらと思います。
-内林武史さんの説明文より引用-

 

説明文を読んでGT2のメインルームを一周。

作品:内包された機械と空気
作品:内包された機械と空気

 

裸同然で閉じ込められたシステムと空気は、この菅の中でともに永遠の存在となった。

 

作品:D.L.C model:1817 No.397
作品:D.L.C model:1817 No.397

 

やっぱ発光する鉱石を見ると落ち着く。「ここに来た」と実感する。

 

作品:月の軌道と。
作品:月の軌道と。

 

今回、僕が見入ってしまった作品の一つ。遠い記憶の断片が額装された空間の中で今でも時が流れているよう。

 

作品:機械の脳と宇宙の砂
作品:機械の脳と宇宙の砂

 

右上の丸い窓の中では鉱石が緩やかに点滅していました。

 

作品:Ishmedail
作品:Ishmedail
作品:Ishmedail
作品:Ishmedail

 

鉱石の研究にひたすら没頭できそうな空間。お気に入りの鉱石を持ち出しノクターンビュリズムを決め込みたくなる。

 

GT2奥の小部屋
GT2奥の小部屋

 

幻想っぷりがさらに増した、薄暗いGT2の奥の小部屋に移動。

 

作品:引き出しに流れる時間
作品:引き出しに流れる時間

 

「引き出しに流れる時間」なんて素敵な作品名だろうと立ち止まった。

普段、いつも目の前に見えている風景には無意識に時の流れを感じていますが、当然引き出しの中でも時間は流れている。

 

作品:対話する菌類の標本
作品:対話する菌類の標本

 

「生物の標本」と考えると薄気味悪いけど(笑)、昔出会ったキノコとこうして今も一緒に過ごせたら素敵だと思いました。

 

作品:星の棲む灯台
作品:星の棲む灯台

 

作品:alusola
作品:alusola

 

菅や額に収められていることにより、現実とは切り離されているけど過去の曖昧な記憶はこれから大切に保管されていく感じがしました。

 

作品:build-SQ 01〜02
作品:build-SQ 01〜03

 

幼少の頃、寂しさを感じる夜に窓を開けると灯りがついている建物を見て安心した気持ちになったことがあります。

 

作品:build-SQ 01〜03

 

バックに映る建物の光と影がきれいなランドスケープ。

 

作品:いちばん近い星(スイッチ)
作品:いちばん近い星(スイッチ)

 

GT2の奥の小部屋との境界線にあるスイッチ。

これを押すと・・・

 

作品:いちばん近い星

作品:いちばん近い星
作品:いちばん近い星

 

大きな星(恒星?)の鉄塔に灯りが!

 

作品:いちばん近い星
作品:いちばん近い星

 

鉄塔の脇にクレーンで吊るされている土星。

 

作品:いちばん近い星
作品:いちばん近い星

 

幻想的な現象。

 

団地やクレーンや鉄塔といった風景は、内林武史さんのアトリエがある東雲の風景にリンクしているようにも感じました。

 

 

遠い記憶をこういった形でアウトプットできるなんて素敵すぎる。

 

幼少の頃、母と行った広い原っぱのあの公園は一体どこだったのだろう?
夜中に目を覚ました時に台所にいたあの怪人はなんだったのだろう?
僕にはそういった子供の頃の曖昧な記憶がいくつもあります。

 

夢だったのか?
現実だったのか?
空想だったのか?

 

どうしても思い出せません。

 

普段、仕事で必要な知識をインプットし、忘れないように言葉に出したり、文章にしたり、議論を交わしてみたりして記憶を少しでも持続させようとしています。

 

当然それらは今仕事で必要なことばかり。

 

だけど、今回の内林武史さんの展示で思ったことは、現在の記憶も忘れたくないだけど、幼少の頃の遠い曖昧な記憶もこれ以上忘れたくない。それも今の自分には必要なのだと。

 

内林武史さんが具現化した「風景」に訪れて、僕はそう思いました。

 

内林 武史 展 DM

 

内林武史 展 Takeshi UCHIBAYASHI exhibition [alu]
http://www.gallery-tsubaki.net/2017/takeshi_uchibayashi/info.htm

2017年10月7日(土)〜10月21日(土)
11:00 AM〜6:30 PM
日・祝 休廊




小林健二 展『Kenji KOBAYASHI Solo Exhibition』

Kenji KOBAYASHI Solo Exhibition



 

2017年9月9日(土)、鉱石ラジオなどで知られるアーティスト小林健二さんの展示会に行ってきました。

 

ギャラリー椿へは、2015年の内林武史さんのAnother Planet以来2年ぶり。

 

【僕と小林健二】

鴨沢祐仁 展 – KITAHARA collection –でも書きましたが、以前、僕は宮沢賢治や稲垣足穂といった幻想文学作家が好きになったと同時に、いつしや同じような世界観を持つアーティストを追いかけるようになりました。

 

小林健二さんの存在を知ったのはもっとそれ以前で、97年に筑摩書房から出版されていた「ぼくらの鉱石ラジオ」という本を中野のタコシェで購入したのがきっかけでした。

 

 

宮沢賢治、稲垣足穂、鴨沢裕仁は、文章や絵でその不思議な魅惑の世界に僕を連れてってくれましたが、小林健二はご自身の作品を発表するだけでなく、自分で育てる鉱石や、自分で組み立てる鉱石ラジオといった製品(キット)を同氏が設計・監修をする銀河通信社から発売し、「体験」も僕に与えてくれたのです。

 

(体験といえば、内林武史さんも展示会で作品に触れさせてくれたり操作をさせていただきました。)

 

そして人生初の小林健二さんの展示会へ。

 

ギャラリー椿

 

【Kenji KOBAYASHI Solo Exhibition】

小林健二さんの作品は鉱石ラジオだけではなく、絵画、造形、音楽、映像、装置!?など多岐にわたり発表しており、その作風はどれも不思議で幻想的な世界です。

 

今回、ギャラリー椿のサイトで告知されていた、青く発光している土星が中に入っている装置?みたいなものが当初のお目当てでしたが、全ての作品に魅了されました。

 

展示物は新旧の作品が展示されており、アートブックのAIONやMEEMに掲載されている作品、そして初お披露目の作品もありました。

 

小林健二展示会1

小林健二展示会2

 

ギャラリーのメインスペースの長編の壁には、おそらく新作と思われる立体感ある作品がずらり。

 

小林健二作品1

小林健二作品2

小林健二作品3

小林健二作品4

 

小林健二さんの作品というと、「土星」や「鉱石」が発光するオブジェというイメージが個人的に強かったのですが、まるで高度な古代文明の遺跡で発掘されたような神々しい作品群も待ちかまえていました。

 

小林健二作品5

 

幾何学的な紋章にはどんな意味があるのでしょうか。

 

小林健二作品7

 

↑UFO?

 

小林健二作品8

小林健二作品9

 

これらの作品を見ているうちに、00年代に活躍していたイタリアの実験音楽宇宙兄弟My Cat Is An AlienのRoberto Opalio(ロベルト・オパリオ)の作風を思い出しました。

 

もしかしたら、Roberto Opalioも小林健二さんに影響を受けていたのではないでしょうか。

 

小林健二作品6

小林健二作品10

小林健二作品11

小林健二作品12

 

ページ最上部の作品とともに、つなぎ合わせた板に描いた神秘的な絵画は圧巻でした。

 

小林健二作品13

 

ギャラリーのメインスペースを超え、GT2と呼ばれるスペースへ。

 

ギャラリー椿GT2

小林健二作品14

 

メインスペースで展示されていた新作たちが進化する前の作品群。

 

小林健二作品15

小林健二作品16

 

特殊な樹脂で製作されているらしいです。進化前も良すぎる。

 

小林健二作品17

 

紫色のダイヤ型の空間をのぞくと、奥行きがある小さな一つの世界が存在しているかのように思いました。

 

小林健二作品18

 

↑巨大な作品。氏が10代の頃に製作した作品も展示されていました。

 

最後にGT2をさらに奥に進んだ部屋は、今までとは違う空間。

 

9年前?以前にギャラリー椿で行われた展示会のDMに使われていた石膏?らしき大きな作品。↓

 

小林健二作品19

 

そして、青く発光している土星が住んでいる黒い箱。

 

小林健二作品20

 

わがままを言ってギャラリーのスタッフさんに部屋を暗くしてもらい撮影。土星は水平ではなく不思議な動きで自転していました。

ホログラムによって映し出されているのかと思ったら、明らかに物体として自転しています。どうやってランダムな回転をさせているのか僕の頭脳では想像がつきませんでした。

 

小林健二作品21

 

うまく撮影できませんでしたが、この丸い大きな窓をのぞくと、ここにも青く発光する土星が自転しながら住んでいます。左下の小さな窓には鉱石が入っており、気づくと色が変化していました。

 

しかもこの大きな装置、鉱石ラジオだったのです!

 

小林健二作品22

 

【感想】

様々な技法で生み出される小林健二さんの作品は、ひとつひとつが神秘的な空想の世界に連れていってくれるのですが、どこか現実味も感じるのが魅力です。

 

自然と化学の法則、鉱石と土星の距離、現在と過去と未来の時系列など、現実で想像され、創造された独自の世界観。

 

これらの作品、この世にありえない風景や物体は、実はどこかに実在していたのではないか?と思うと楽しくて仕方がありませんでした。

 

ギャラリー椿のスタッフさんがとても親切に作品や小林健二さんのことを説明してくれるので、最近小林健二さんに興味を持った方にもオススメの展示会です。

 

9月16日(土)PM5:00からは、小林健二さんのイブニングトークがあるそうです。行けたら行きたい。

 

Kenji KOBAYASHI Solo Exhibition

 

Kenji KOBAYASHI Solo Exhibition
会期
2017年9月9日[土] – 9月30日[土]
9 September – 30 September 2017
11:00 AM – 6:30 PM
日・祝 休廊
*初日、作家在廊(PM5:00~)
http://www.gallery-tsubaki.net/tsubaki.html
http://www.gallery-tsubaki.net/2017/Kenji_Kobayashi/info.htm

 

ギャラリー椿:アクセス
http://www.gallery-tsubaki.net/access.html




 

鴨沢祐仁 展 – KITAHARA collection –

鴨沢祐仁 展 - KITAHARA collection -

鴨沢祐仁展、奥の原画

 

2017年8月4日、横浜市にあるMERRY ART GALLERYへ「鴨沢祐仁展 – KITAHARA collection -」に行ってきました。クシー君やレプス君の原画はもちろん、銀河鉄道の夜の原画や生前最後の作品、氏の愛用品などが展示されていた鴨沢祐仁の不思議な世界観を体験してきました。

【僕にとっての鴨沢祐仁】

鴨沢祐仁の展示会が開催されると知って、まず最初に「やっとこの日が来たか」と思いました。

 

鴨沢祐仁さんは、漫画家/イラストレーター/グラフィックデザイナーとして活躍された方で、70年代の漫画雑誌ガロで漫画家としてデビュー。その後、様々なメーカーの広告などのデザイン、CDジャケットのイラストなどを手掛け、多くの人にそのファンタジックな世界観が広まったのだと思います。

 

僕はいつしか宮沢賢治、稲垣足穂の世界観が本格的に好きになり、同じ世界観を持つ小林健二、たむらしげる、内林武史といった現在もご活躍されている作家を追いかけるようになりました。その中の一人として、鴨沢祐仁さんも必然的に好きになったのです。

 

当時の僕はWebデザイナーとして働いていましたが、職場環境が最悪な時期で、いわゆるデスマーチという納期はあるけど作業の終わりが見えないような残業まみれの日々を送っていました。心が病みかけたちょうどその時期、鴨沢祐仁さんの漫画やイラストと出会って、救われた気がしたのです。

 

クシー君の漫画

 

タバコをくわえた少年と兎、ロボット、頭が土星の紳士、寂しさを感じさせない夜の風景、どこかファンタジックな街角の風景。

 

それは、現実と非現実のはざまのような世界。まさに「夢の中」のような世界。平和で暖かさを感じる世界。僕は熱中しました。

 

現実逃避だったのかも知れません。ですが、確かに救われた気がしたのです。

 

そして、僕が鴨沢祐仁さんのファンになったのは2008年の他界後。ネットで調べると他界後も氏のイベントは何度か行われており、いつか鴨沢祐仁のイベントが開催されたら絶対に行こうと思っていたのです。

 

【素敵なMERRY ART GALLERY】

横浜市にあるMERRY ART GALLERYへは初めて行きました。

 

みなとみらい線の元町・中華街駅6番出口から地上に出た瞬間、いきなり視界に広がるアメリカ山公園の庭園風景にビックリしました。

 

アメリカ山公園

 

アメリカ山公園を抜けて、右手に外人墓地を眺めながら山手のハイソな街なみを歩き、MERRY ART GALLERYに到着。

 

横浜MERRY ART GALLERY

 

東京の場末に住んでて、毎日都心で仕事をしている僕にとって、MERRY ART GALLERYに到着するまでの普段とは違う風景は、これから体感する不思議な鴨沢ワールドと現実世界の境のように思えました。

 

ギャラリーの中に入ってすぐに受付があり、そこで入場料500円を払い、靴を脱いでいざ。

 

平日の早い時間だったので、独占状態。そして、畳一畳分幅の奥に長いギャラリースペースに息を飲みました。もうまるで銀河鉄道の車中。

 

MERRY ART GALLERYの内観

 

この空間演出はヤヴァい…。

 

「千と千尋の神隠し」のような気分というか…、とにかく現実から完全に遮断されたことを確信しました。

 

【そして鴨沢ワールドへ】

左側から奥へと進み、往復しながら展示物を見てまわりました。

 

ガラスのショーケースを覗くと、氏が愛用していた品々や、写真がありました。奥さんの写真?かと思ったら、若き日の長髪時代の鴨沢祐仁さんでした。実は美男子だったのです。

 

鴨沢祐仁展ショーケース

 

鴨沢祐仁さんの作品にはたまにロボットが登場しますが、ショーケース内に展示されていたASIMOのフィギュアを見て、現代盛んなロボット開発にも注目していたのかなと思いました。他界してからもうすぐ10年になりますが、現在のAI技術の発達を知ったら、きっと興奮されるのではないでしょうか。

 

僕の大好きなビックリ水族館の原画もありました。
(下の写真左)

 

ビックリ水族館の原画

 

銀河鉄道の夜も、もちろんありました。

 

銀河鉄道の夜

 

北原照久氏の事務所で描いた、生前最後の作品であり、本展示会で一番サイズが大きい作品。このシンメトリーの不思議な技法で描かれた絵で一番足を止めました。

 

鴨沢祐仁生前最後の作品。

 

折り返すと、購入可能なジークレーがずらっと並んでいます。

 

鴨沢祐仁ジークレー

 

展示名にもなっていますが、これらの展示物は全て北原照久氏のコレクション。今回の展示会が開催されたことに感謝いたします。

 

【鴨沢祐仁展の戦利品】

残念ながら、図録やグッズの販売はありませんでした。

 

唯一の販売物はジークレーのみで、僕にとっては高価だったため手に入れることはできず、DMを記念に持って帰りました。

 

鴨沢祐仁 展 - KITAHARA collection - DM

 

スタッフさんにグッズのことを尋ねたら、「ここから近くにある「ブリキのおもちゃ博物館」の物販コーナーに鴨沢さんのポストカードがあるかも」という情報をいただき、早速足を運びました。

 

ブリキのおもちゃ博物館

 

館内は旅行客でごった返し。北原照久さんがいらしたので、握手したかったのですが、お忙しそうだったので断念。

 

鴨沢祐仁さんのポストカードありました!しかも108円!5〜6種類ありましたが、あえてこの1枚にしました。何故かと言うと、

 

鴨沢祐仁ポストカード

 

久しぶりに訪れた今日の横浜山手は、時おり雨がパラついたり晴れ間が現れたりの曇り空。不安定な天気、横浜山手の街並み、そしてウキウキした気持ちにフィットしたのがまさにこの絵だったので。

 

鴨沢祐仁 展 – KITAHARA collection –
http://merry-art.jp/category/now/

MERRY ART GALLERY本館
2017年7月22日(土)~8月27日(日)
※会期中 月曜日 休館日 11:00~19:00

アクセス
http://merry-art.jp/access/

 

【追記:2018.4.5】

没後10年を追悼して、鴨沢祐仁さん初イラスト集『Xie’s Club Book 〜鴨沢祐仁イラスト集〜』が、2018年5月23日にP-VINE ブックスから発売するようです。


XIE’S CLUB BOOK ~鴨沢祐二イラスト集~

楽しみすぎますね。




 

横尾忠則 HANGA JUNGLE 展

横尾忠則 HANGA JUNGLE 展



 

15年ぶりの極彩色な非現実的世界へ。

 

2014年に行きそびれた「谷中安規展」のリベンジも兼ねて、町田市立国際版画美術館まで行ってきました。

 

横尾忠則さんの展覧会に来たのは現代美術館で行われた「森羅万象」以来だからおよそ15年ぶり。

 

久しぶりにあの非現実的な世界観を体験したかったのと、新作を含む大御所様のほぼ全ての版画作品が展示されると聞いて行くしかないと思っていました。

 

 

来てよかったー!!と、いきなり強烈な作品群。

 

 

以下、画像は順不同です。




 

 

神秘的な世界観の作品は前田常作さんを思い出す。

 

 

70年代、横尾先生は入院生活や親交関係にあった三島由紀夫氏の死によって精神的に辛い時期を過ごしたそうです。

 

その辛い世界から抜け出すために、桃源郷的な作風を数々と生み出しました。

 

 

さらに70年代といえばヒッピーカルチャー。作品からは、それらのバックグラウンドも強く感じます。

 

 

そしてTadanori  Yokooといえば……

 

 

妖しくてアングラなErooos!!!

 

横尾先生の総天然色な作品イメージからかけ離れた落ち着いた作品もありました。

 

奥様をモデルにデッサンした「Yasue」シリーズや、女性の後ろ姿シリーズの「Hair」「Head」など。

 

 

Y字路が特にそうですけど、横尾先生の多様なパターン化したシリーズものは飽きがこなく楽しめる。

 

いっけん版画とは思えない仕事、そしてまさに密林に迷い込んだような作品点数のボリューム感。

 

 

(まあ、もう出口なんか見つからなくてもいいや)

 

 

さらに横尾先生といえば予想外な展開のコラージュ作品。

 

 

昔からこの女達のシリーズ好き。

 

 

よ〜く見るとたくさんの切手。

 

 

寺山修司や唐十郎、土方巽などのアングラ感満載のポスター。今回「天井桟敷」は展示されてなかったなー。

 

 

最後にスタンプを押して帰りました。

 

 

一言で感想を言うと「サイケデリック!」若かった15年前から良くも悪くも成長していない自分。

 

シルク、木版、銅版、オフセット……あらゆるプリント手法を駆使し、横尾忠則だからこそ創造できる超版画の世界。

 

以前、色校正会社の知り合いが「横尾さんは色や刷りにとても厳しかった」と言ってたのをふと思い出した。

 

印刷業界の人がビビるくらい、今回の展覧会でその極道っぷりをもろに感じます。

 

自分がしたいことをしていれば評価などは気にならない。評価を気にしている段階ではまだ自分がしたいことが本当にできていない証拠だと思う。

 

横尾忠則さんのこの言葉は本当に好きで、今の自分の仕事にも生きている。

 

展覧会公式カタログが我らが国書刊行会から出ています!
掲載点数のボリュームはもちろん、1ページに大きく印刷された迫力あるページも多く充実した内容。

横尾忠則全版画 HANGA JUNGLE 公式カタログ

 

【横尾忠則 HANGA JUNGLE 展】
会期:2017年4月22日(土)~6月18日(日)
会場:町田市立国際版画美術館
休館日:月曜日
時間:平日 10:00~17:00 (入場は16:30まで)
土・日・祝日 10:00~17:30 (入場は17:00まで)
Webサイト

 

次の巡回先は神戸にある横尾忠則現代美術館です。
2017年9月9日(土)~12月24日(日)




 

「ロシアの装丁と装画の世界」展

「ロシアの装丁と装画の世界」展



 

ここへ来るのはきくちちきさんの「ねこのそら原画展」以来約2年ぶり。

 

ロシアの素敵な装丁・装画の本達が集まった「ロシアの装丁と装画の世界」展を観に、高円寺にある絵本の古本屋さん「えほんやるすばんばんするかいしゃ」へ行ってきました。

 

えほんやるすばんばんするかいしゃ

 

一階の展示スペースに足を踏み入れた瞬間、ズラーっと目に押し寄せて来るロシア語の書物群。

 

 

50年代〜80年代までの旧ソ連時代の書物群。

 

(全く関係ないですけど、旧ソ連時代といえばブルガーコフの「犬の心臓」が好きです)

 

本の厚さもサイズもバラっバラ。そして「読んでくれ」と言わんばかりにワクワクする様々なデザインの表紙がズラリ。

 

ロシアの本

 

その統一感の無さと、圧倒的な未知の情報量が「まず何を」「どうすればいいのか」が解らなくなる程の興奮を覚えました。

 

これらは一体何の書物なのか?どの本も手に取って中身を確認したくなる衝動に駆られる。

 

いっけん、絵本?児童書?小説?アートブック?と思いきや、実はガイドブックみたいなのもありました。

 

 

中には、幻想的なイラストが描かれている本もありますが、ロシア語の文章で埋め尽くされている本もあります。

 

ロシア語を全く知らない僕には、パラパラ読んでも理解できない内容。

 

でも、この展示の魅力は、中身の内容(情報)ではなく、自分が気になった表紙から感じとる個人の「自由な想像」にあると思います。




英語ならともかく、ロシア語で書かれた予想できないタイトルだけど、素敵なフォントスタイル。

 

アート系のジン?かと思いきや中身はガイドブック?(笑)みたいな期待を裏切られる楽しみ。

 

あれは結局、何の本だったんだろうと解らないまま帰る楽しみ。

 

入り口から正面の棚は「見返しが素敵な本」という素敵なコーナー。

 

見返しが素敵な本

 

表紙よりもグッと惹かれる絵やパターンデザイン、テクスチャの見返しもありました。

 

今はWeb制作の仕事をしているけど、以前は印刷・製本の仕事をやっていた事があるので、”くるみ方”まで気になってしまいました。

 

そして装画コーナーの方がまた気になりだし、戻るの繰り返し。

 

因みに、展示物の本は自由に手に取る事ができ、気に入った本は購入もできちゃいます!

 

全ての本を確認したわけではありませんが、お値段は数百円から数千円程度(一部抽選販売)。

 

店主様の話によると、今日の展示物はごく一部らしく、出番を待っている本達がまだまだあるそうです。なので、訪れるたびに別の本が並んでいる可能性がありますね。

 

さらに嬉しい事に本展示会の図録も販売されていました。
これから見るのが楽しみです。
※この図録に関してはまた別の機会に書こうと思います。

 

「ロシアの装丁と装画の世界」図録

 

撮影も自由で、気楽に楽しめる展示ではありますが、主催された店主様から色々なお話を聞いた時、この展示会に対しての熱い思いと尽力を感じました。

 

とても面白いコンセプトで貴重な展示会。

 

グラフィック系のDTPデザイナーさんは特に楽しめるはず。

 

会期中に行けたらもう一度行きたい。

 

買いそびれた本があるので。

 

あのよく解んないガイドブックみたいなヤツ。

 

「ロシアの装丁と装画の世界」
http://blog.goo.ne.jp/nabusuraynohe

  • 会場:えほんやるすばんばんするかいしゃ(東京都杉並区高円寺南3-44-18 1階)
  • 会期:2017年5月20(土)〜2017年6月11(日)
  • 営業時間:14時~20時
  • 定休日:水曜

 

【追記 2017年6月18日】

「ロシアの装丁と装画の世界」が巡回することになったそうです!
http://blog.goo.ne.jp/nabusuraynohe/e/8d60b3f7ca5014cfc94bb165831d5463

 

「ロシアの装丁と装画の世界」巡回展
会期:2017年 6月30日(金) ~ 7月19日(水)
時間:11:00~19:00
定休:木曜
場所:紙片
広島県尾道市土堂2-4-9  あなごのねどこの庭の奥
http://trokkisk.wixsite.com/teraokakeisuke/blank