2018年3月6日(火)、デザイナーファーストな組織デザイン方法。というセミナーに行ってきました。登壇者はこの業界では有名なチームに所属する方々ばかり。
デザイナーファーストという言葉自体はまだ馴染めないけど、今後デザイナーが日本に増え続けて欲しいと感じています。
理由の一つとして、少子高齢化問題におけるシルバー・イノベーション(高齢者向け技術革新)を起こす足がかりに、デザイナーの人口増加が好ましいと個人的に思っているからです。
デザイナーという肩書きではなくても、デザイナー的資質を持ち合わした人や、イノベーティブな人を評価するような価値観を備えた人が増えれば、日本企業の99.7%を占める中小企業にもデザイナーの価値が浸透し、楽観的な言い方をすれば「暮らしやすい世の中」になるのでは?と予測しています。
そして、僕が所属する組織にもデザイナーという肩書きの人が何人も在籍していますが、デザイナーの役割を活かしきれていない実情があります。その理由は下記の通り。
デザイナーを活かしきれていない3つの問題
- 経営層・組織全体がデザイナーの価値を理解していない。
- デザイナー自身がデザイナーの価値を理解していない。
- 価値を理解していると思っている人が組織に価値を浸透しきれていない。
3つ目の大罪を犯しているのが、僕と相棒のWebデザイナーです。
上記は自分が所属する組織の話であり、一口に企業といっても、そこには業種業態や職場環境、社内政治など組織によってケースは様々。
このセミナーでは、業種業態、職場環境などに左右されず、どの組織においても、組織改革やチームビルディングができる万能なフレーム!といったら都合が良すぎるので、共通して応用できる基本姿勢やマネジメントの話が聞けないかと思い参加しました。
組織特性の違いはあれどチームビルディングの基本は同じ
チームビルディングの5つの基本
- そのチームは何のためにあるのかの共通認識
- それに向かってそれぞれがやるべきことを認識
- メンバー全員がGIVERマインドを持ち共創
- ナレッジやノウハウなどを共有してスキルアップ
- チャレンジを後押ししてそれぞれが強みをさらに伸ばす
DONGURIの熊本氏は上記を挙げ、最初は結構常識的なことかな?と聞いてましたが、各施策で行なっている内容の徹底ぶりに耳を傾け続けました。
なかでも、合宿を行ってミッションとビジョンを策定したことに胸をつかれる。
大所帯ではなかなか難しいことかも知れませんが、「そのチームは何のためにあるのか」を、「その組織は何のためにあるのか」に置き換え、共通認識を高めるべき。
社内wiki作成、勉強会、Slackのニュースチャンネルの活用は自社のクリエイティブ部門でも行なってきましたが、組織特性は違えど、経営層も含め部門横断で行うのが理想。
「デザイナー」=「情報をいい感じに色や形にするのに長けた人、よくわかんないけど面白いアイデアを出す人」で止まっている経営層・組織全体を根本から改革するにはこれぐらいやらねばならないと感じました。
オペレーター型のデザイナーにクリエイティブを要求し失敗
Goodpatchの長岡氏のマネジメント失敗談や、同氏とFOLIOの橋本氏の採用視点のお話はためになったけど、自分の組織にとって絶望に近い感覚に陥りました。
自分の組織のデザイナー自身も、デザイナーの本質・価値に気づいてなく、ビジュアルの技術とセンスを兼ね備えていますが、クライアントや代理店、営業からの伝言ゲーム的な指示を淡々と消化するオペレーター型にあたる人なので、長岡氏がその型の人にチャレンジやトライの機会を作ってあげても結局退職してしまったという悲しい事例を聞く。
そこから学んだこと
- 組織に合わない人を採用しない
- そういった人のために適した仕事を与える
自分の組織でも、最近新卒採用で入社したWebデザイナーの子は近年のデザイナーの役割をある程度心がけている部分があり、育成に力を注ぐ余地は十分にあると思いますが、古くから在籍している上記のようなオペレーター型の人の意識改革は難しいと感じた。
こればかりは育成に力を入れてもお互いに時間を無駄にする可能性が高いので、もっとも根本的な採用の時点でフィルタリング、もしくは適した仕事を与えながら、まわりから徐々に文化的に意識改革していくしか手立てはないのではと思いました。
また、長岡氏も橋本氏も採用に関しては、自身の思考やカルチャーマッチングを大事にしたリファラルリクルーティングを強化しているとのこと。
これからのデザイナーのあるべき姿
- マネージャーもデザインの対象が変わっただけでデザインすることに変わりはない。
- マネージャーは人と組織をデザインする人。
- デザイナーも上流工程から出席すべき。
- ビジュアルだけではなく本質的にビジネスそのものを理解する。
- ビジネス成果にコミットするために課題解決に向き合う姿勢。
- 技術だけではない、狭まる視点を持たない。
- ロジカルでエモーショナルなバランスが必要。
- 個人の得意不得意領域は必ずある。まずは一つづつの完璧を。
昨今、ネットや本など様々な媒体でもささやかれているように、デザイナーであるべき姿は、手だけを動かすような色や形の具現化を作業的にするだけではないと言える。
上記だけではなく、担当領域によってはもっと多くのことを求められていると思けど、デザイナーに担当領域とそのスキルセットを等級的に段階を踏んでもらい、フォローアップしていくことでモチベーションが保たれるようにしていく。
セミナーの感想
今の自分の組織にピタリとハマるフレームは当然のごとくありませんでした。
しかし、マネジメント経験が豊富な登壇者の方々のお話は三者(社)三様でありながらも共通した部分も多く、それぞれの組織で取り組んでいる細いことや大まかな工夫・失敗談を掻い摘んでつなぎ合わすことで、自社でも改善できる希望が見えました。
皆が共通認識を持ち、楽しく成長していけるカルチャーを作ること。
さらに自分でも感じていたこと・実行していたことを再認識できたこと。
試行錯誤することを怠らず、トライアンドエラーを繰り返すことで、広範囲から組織をデザインし、デザイナーや経営層と引きも切らず接していくことで、デザイナーファーストな組織へと成長するのではとまとまった。