先月の小林健二さんの展示会に続き、10月18日にギャラリー椿へ内林武史さんの展示会に行ってきました。
内林武史さんの展示は、同じくギャラリー椿GT2で2年前の2015年に開催された「Another Planet*」以来。
その「Another Planet*」では、初めてご本人とお会いし、不思議なオブジェ(装置)を丁寧に紹介してくださって、オブジェ(装置)のスイッチが切り替えるたびに現実から夢の世界へと切り替わる体験をさせていただきました。
残念ながら今回はご本人にお会いすることができず。
しかし、今回も普段の生活では味わえない世界が用意されていました。
Takeshi UCHIBAYASHI exhibition [alu]

GT2の一部屋目。さっそく所々に何かが発光しているのが目に飛び込み、外の京橋の喧騒を一瞬で忘れる。
『alu』は「在る」、「或る」などの”ある”
光、音、色、匂い…脳裏に刻み込まれた記憶。
初めてみる光景に懐かしさを憶える、
そんな感覚で楽しみ頂けたらと思います。
-内林武史さんの説明文より引用-
説明文を読んでGT2のメインルームを一周。

裸同然で閉じ込められたシステムと空気は、この菅の中でともに永遠の存在となった。

やっぱ発光する鉱石を見ると落ち着く。「ここに来た」と実感する。

今回、僕が見入ってしまった作品の一つ。遠い記憶の断片が額装された空間の中で今でも時が流れているよう。

右上の丸い窓の中では鉱石が緩やかに点滅していました。


鉱石の研究にひたすら没頭できそうな空間。お気に入りの鉱石を持ち出しノクターンビュリズムを決め込みたくなる。

幻想っぷりがさらに増した、薄暗いGT2の奥の小部屋に移動。

「引き出しに流れる時間」なんて素敵な作品名だろうと立ち止まった。
普段、いつも目の前に見えている風景には無意識に時の流れを感じていますが、当然引き出しの中でも時間は流れている。

「生物の標本」と考えると薄気味悪いけど(笑)、昔出会ったキノコとこうして今も一緒に過ごせたら素敵だと思いました。


菅や額に収められていることにより、現実とは切り離されているけど過去の曖昧な記憶はこれから大切に保管されていく感じがしました。

幼少の頃、寂しさを感じる夜に窓を開けると灯りがついている建物を見て安心した気持ちになったことがあります。
バックに映る建物の光と影がきれいなランドスケープ。

GT2の奥の小部屋との境界線にあるスイッチ。
これを押すと・・・

大きな星(恒星?)の鉄塔に灯りが!

鉄塔の脇にクレーンで吊るされている土星。

幻想的な現象。
団地やクレーンや鉄塔といった風景は、内林武史さんのアトリエがある東雲の風景にリンクしているようにも感じました。
遠い記憶をこういった形でアウトプットできるなんて素敵すぎる。
幼少の頃、母と行った広い原っぱのあの公園は一体どこだったのだろう?
夜中に目を覚ました時に台所にいたあの怪人はなんだったのだろう?
僕にはそういった子供の頃の曖昧な記憶がいくつもあります。
夢だったのか?
現実だったのか?
空想だったのか?
どうしても思い出せません。
普段、仕事で必要な知識をインプットし、忘れないように言葉に出したり、文章にしたり、議論を交わしてみたりして記憶を少しでも持続させようとしています。
当然それらは今仕事で必要なことばかり。
だけど、今回の内林武史さんの展示で思ったことは、現在の記憶も忘れたくないだけど、幼少の頃の遠い曖昧な記憶もこれ以上忘れたくない。それも今の自分には必要なのだと。
内林武史さんが具現化した「風景」に訪れて、僕はそう思いました。
内林武史 展 Takeshi UCHIBAYASHI exhibition [alu]
http://www.gallery-tsubaki.net/2017/takeshi_uchibayashi/info.htm
2017年10月7日(土)〜10月21日(土)
11:00 AM〜6:30 PM
日・祝 休廊