2017年9月9日(土)、鉱石ラジオなどで知られるアーティスト小林健二さんの展示会に行ってきました。
ギャラリー椿へは、2015年の内林武史さんのAnother Planet以来2年ぶり。
【僕と小林健二】
鴨沢祐仁 展 – KITAHARA collection –でも書きましたが、以前、僕は宮沢賢治や稲垣足穂といった幻想文学作家が好きになったと同時に、いつしや同じような世界観を持つアーティストを追いかけるようになりました。
小林健二さんの存在を知ったのはもっとそれ以前で、97年に筑摩書房から出版されていた「ぼくらの鉱石ラジオ」という本を中野のタコシェで購入したのがきっかけでした。
宮沢賢治、稲垣足穂、鴨沢裕仁は、文章や絵でその不思議な魅惑の世界に僕を連れてってくれましたが、小林健二はご自身の作品を発表するだけでなく、自分で育てる鉱石や、自分で組み立てる鉱石ラジオといった製品(キット)を同氏が設計・監修をする銀河通信社から発売し、「体験」も僕に与えてくれたのです。
(体験といえば、内林武史さんも展示会で作品に触れさせてくれたり操作をさせていただきました。)
そして人生初の小林健二さんの展示会へ。
【Kenji KOBAYASHI Solo Exhibition】
小林健二さんの作品は鉱石ラジオだけではなく、絵画、造形、音楽、映像、装置!?など多岐にわたり発表しており、その作風はどれも不思議で幻想的な世界です。
今回、ギャラリー椿のサイトで告知されていた、青く発光している土星が中に入っている装置?みたいなものが当初のお目当てでしたが、全ての作品に魅了されました。
展示物は新旧の作品が展示されており、アートブックのAIONやMEEMに掲載されている作品、そして初お披露目の作品もありました。
ギャラリーのメインスペースの長編の壁には、おそらく新作と思われる立体感ある作品がずらり。
小林健二さんの作品というと、「土星」や「鉱石」が発光するオブジェというイメージが個人的に強かったのですが、まるで高度な古代文明の遺跡で発掘されたような神々しい作品群も待ちかまえていました。
幾何学的な紋章にはどんな意味があるのでしょうか。
↑UFO?
これらの作品を見ているうちに、00年代に活躍していたイタリアの実験音楽宇宙兄弟My Cat Is An AlienのRoberto Opalio(ロベルト・オパリオ)の作風を思い出しました。
もしかしたら、Roberto Opalioも小林健二さんに影響を受けていたのではないでしょうか。
ページ最上部の作品とともに、つなぎ合わせた板に描いた神秘的な絵画は圧巻でした。
ギャラリーのメインスペースを超え、GT2と呼ばれるスペースへ。
メインスペースで展示されていた新作たちが進化する前の作品群。
特殊な樹脂で製作されているらしいです。進化前も良すぎる。
紫色のダイヤ型の空間をのぞくと、奥行きがある小さな一つの世界が存在しているかのように思いました。
↑巨大な作品。氏が10代の頃に製作した作品も展示されていました。
最後にGT2をさらに奥に進んだ部屋は、今までとは違う空間。
9年前?以前にギャラリー椿で行われた展示会のDMに使われていた石膏?らしき大きな作品。↓
そして、青く発光している土星が住んでいる黒い箱。
わがままを言ってギャラリーのスタッフさんに部屋を暗くしてもらい撮影。土星は水平ではなく不思議な動きで自転していました。
ホログラムによって映し出されているのかと思ったら、明らかに物体として自転しています。どうやってランダムな回転をさせているのか僕の頭脳では想像がつきませんでした。
うまく撮影できませんでしたが、この丸い大きな窓をのぞくと、ここにも青く発光する土星が自転しながら住んでいます。左下の小さな窓には鉱石が入っており、気づくと色が変化していました。
しかもこの大きな装置、鉱石ラジオだったのです!
【感想】
様々な技法で生み出される小林健二さんの作品は、ひとつひとつが神秘的な空想の世界に連れていってくれるのですが、どこか現実味も感じるのが魅力です。
自然と化学の法則、鉱石と土星の距離、現在と過去と未来の時系列など、現実で想像され、創造された独自の世界観。
これらの作品、この世にありえない風景や物体は、実はどこかに実在していたのではないか?と思うと楽しくて仕方がありませんでした。
ギャラリー椿のスタッフさんがとても親切に作品や小林健二さんのことを説明してくれるので、最近小林健二さんに興味を持った方にもオススメの展示会です。
9月16日(土)PM5:00からは、小林健二さんのイブニングトークがあるそうです。行けたら行きたい。
Kenji KOBAYASHI Solo Exhibition
会期
2017年9月9日[土] – 9月30日[土]
9 September – 30 September 2017
11:00 AM – 6:30 PM
日・祝 休廊
*初日、作家在廊(PM5:00~)
http://www.gallery-tsubaki.net/tsubaki.html
http://www.gallery-tsubaki.net/2017/Kenji_Kobayashi/info.htm
ギャラリー椿:アクセス
http://www.gallery-tsubaki.net/access.html