鴨沢祐仁 展 – KITAHARA collection –

鴨沢祐仁展、奥の原画

 

2017年8月4日、横浜市にあるMERRY ART GALLERYへ「鴨沢祐仁展 – KITAHARA collection -」に行ってきました。クシー君やレプス君の原画はもちろん、銀河鉄道の夜の原画や生前最後の作品、氏の愛用品などが展示されていた鴨沢祐仁の不思議な世界観を体験してきました。

【僕にとっての鴨沢祐仁】

鴨沢祐仁の展示会が開催されると知って、まず最初に「やっとこの日が来たか」と思いました。

 

鴨沢祐仁さんは、漫画家/イラストレーター/グラフィックデザイナーとして活躍された方で、70年代の漫画雑誌ガロで漫画家としてデビュー。その後、様々なメーカーの広告などのデザイン、CDジャケットのイラストなどを手掛け、多くの人にそのファンタジックな世界観が広まったのだと思います。

 

僕はいつしか宮沢賢治、稲垣足穂の世界観が本格的に好きになり、同じ世界観を持つ小林健二、たむらしげる、内林武史といった現在もご活躍されている作家を追いかけるようになりました。その中の一人として、鴨沢祐仁さんも必然的に好きになったのです。

 

当時の僕はWebデザイナーとして働いていましたが、職場環境が最悪な時期で、いわゆるデスマーチという納期はあるけど作業の終わりが見えないような残業まみれの日々を送っていました。心が病みかけたちょうどその時期、鴨沢祐仁さんの漫画やイラストと出会って、救われた気がしたのです。

 

クシー君の漫画

 

タバコをくわえた少年と兎、ロボット、頭が土星の紳士、寂しさを感じさせない夜の風景、どこかファンタジックな街角の風景。

 

それは、現実と非現実のはざまのような世界。まさに「夢の中」のような世界。平和で暖かさを感じる世界。僕は熱中しました。

 

現実逃避だったのかも知れません。ですが、確かに救われた気がしたのです。

 

そして、僕が鴨沢祐仁さんのファンになったのは2008年の他界後。ネットで調べると他界後も氏のイベントは何度か行われており、いつか鴨沢祐仁のイベントが開催されたら絶対に行こうと思っていたのです。

 

【素敵なMERRY ART GALLERY】

横浜市にあるMERRY ART GALLERYへは初めて行きました。

 

みなとみらい線の元町・中華街駅6番出口から地上に出た瞬間、いきなり視界に広がるアメリカ山公園の庭園風景にビックリしました。

 

アメリカ山公園

 

アメリカ山公園を抜けて、右手に外人墓地を眺めながら山手のハイソな街なみを歩き、MERRY ART GALLERYに到着。

 

横浜MERRY ART GALLERY

 

東京の場末に住んでて、毎日都心で仕事をしている僕にとって、MERRY ART GALLERYに到着するまでの普段とは違う風景は、これから体感する不思議な鴨沢ワールドと現実世界の境のように思えました。

 

ギャラリーの中に入ってすぐに受付があり、そこで入場料500円を払い、靴を脱いでいざ。

 

平日の早い時間だったので、独占状態。そして、畳一畳分幅の奥に長いギャラリースペースに息を飲みました。もうまるで銀河鉄道の車中。

 

MERRY ART GALLERYの内観

 

この空間演出はヤヴァい…。

 

「千と千尋の神隠し」のような気分というか…、とにかく現実から完全に遮断されたことを確信しました。

 

【そして鴨沢ワールドへ】

左側から奥へと進み、往復しながら展示物を見てまわりました。

 

ガラスのショーケースを覗くと、氏が愛用していた品々や、写真がありました。奥さんの写真?かと思ったら、若き日の長髪時代の鴨沢祐仁さんでした。実は美男子だったのです。

 

鴨沢祐仁展ショーケース

 

鴨沢祐仁さんの作品にはたまにロボットが登場しますが、ショーケース内に展示されていたASIMOのフィギュアを見て、現代盛んなロボット開発にも注目していたのかなと思いました。他界してからもうすぐ10年になりますが、現在のAI技術の発達を知ったら、きっと興奮されるのではないでしょうか。

 

僕の大好きなビックリ水族館の原画もありました。
(下の写真左)

 

ビックリ水族館の原画

 

銀河鉄道の夜も、もちろんありました。

 

銀河鉄道の夜

 

北原照久氏の事務所で描いた、生前最後の作品であり、本展示会で一番サイズが大きい作品。このシンメトリーの不思議な技法で描かれた絵で一番足を止めました。

 

鴨沢祐仁生前最後の作品。

 

折り返すと、購入可能なジークレーがずらっと並んでいます。

 

鴨沢祐仁ジークレー

 

展示名にもなっていますが、これらの展示物は全て北原照久氏のコレクション。今回の展示会が開催されたことに感謝いたします。

 

【鴨沢祐仁展の戦利品】

残念ながら、図録やグッズの販売はありませんでした。

 

唯一の販売物はジークレーのみで、僕にとっては高価だったため手に入れることはできず、DMを記念に持って帰りました。

 

鴨沢祐仁 展 - KITAHARA collection - DM

 

スタッフさんにグッズのことを尋ねたら、「ここから近くにある「ブリキのおもちゃ博物館」の物販コーナーに鴨沢さんのポストカードがあるかも」という情報をいただき、早速足を運びました。

 

ブリキのおもちゃ博物館

 

館内は旅行客でごった返し。北原照久さんがいらしたので、握手したかったのですが、お忙しそうだったので断念。

 

鴨沢祐仁さんのポストカードありました!しかも108円!5〜6種類ありましたが、あえてこの1枚にしました。何故かと言うと、

 

鴨沢祐仁ポストカード

 

久しぶりに訪れた今日の横浜山手は、時おり雨がパラついたり晴れ間が現れたりの曇り空。不安定な天気、横浜山手の街並み、そしてウキウキした気持ちにフィットしたのがまさにこの絵だったので。

 

鴨沢祐仁 展 – KITAHARA collection –
http://merry-art.jp/category/now/

MERRY ART GALLERY本館
2017年7月22日(土)~8月27日(日)
※会期中 月曜日 休館日 11:00~19:00

アクセス
http://merry-art.jp/access/

 

【追記:2018.4.5】

没後10年を追悼して、鴨沢祐仁さん初イラスト集『Xie’s Club Book 〜鴨沢祐仁イラスト集〜』が、2018年5月23日にP-VINE ブックスから発売するようです。


XIE’S CLUB BOOK ~鴨沢祐二イラスト集~

楽しみすぎますね。