「アドルフ・ヴェルフリ 二萬五千頁の王国」展

「アドルフ・ヴェルフリ 二萬五千頁の王国」展

1月の兵庫県立美術館から始まり、名古屋、そしてついに東京へ!
この日をどんなに待ちわびたことか。

 

ヘンリー・ダーガー以来のアウトサイダーアート界の巨匠の展覧会へ、初日である2017年4月29日に東京ステーションギャラリーへ行って参りました。

 

東京ステーションギャラリーへは、2015年の「『月映(つくはえ)』田中恭吉・藤森静雄・恩地孝四郎」ぶり。

 

開館は午前10時から。
11時から12時半くらいまで館内に居ましたが、意外と混んでなく、ゆっくりじっくりと楽しめました。




 

アドルフ・ヴェルフリ-Adolf Wölfli(1864-1930)は、スイス出身のアウトサイダーアート・アールブリュットのアーティスト。
アウトサイダーアートだけに、やはりヴェルフリも精神を患いながら、新奇で独特な素晴らしい世界を多く生み出しています。

 

ヴェルフリの作風は、一見トライバルで宗教画的な模様に見え、同じアウトサイダーアートのオーギュスタン・ルサージュのような緻密な仕事をこなしています。

 

予想外な色彩。曖昧な遠近法。規則正しいけど自由な描画。

 

不遇な人生を送ってきたアウトサイダーアートの芸術家だからこそ作り上げられる悲しみや辛さ、そして希望で構築されたパラレルワールド。

 

普段、Webデザインもやる僕ですが、あの設計思想と色彩感覚とレイヤーは、とても自分には表現できる自信がありません。

 

「残業だー」「給料少ねー」「デザイン浮かばねー」「設計が決まらねー」等と日頃ぼやいている自分が愚者だったんだと『グシャっ』とヴェルフリの世界に潰された感覚を味わいました。

 

今回、ヴェルフリの作品を初めてまじまじと見ていて新たに気づいた事が2点ありました。

 

ぎっしりと詰め込まれた描画の中に、「ぐでたま」の様な可愛いキャラクターや、「逆柱いみり」の作品に登場する憎めない軟体獣のような生き物がたまに潜んでいる事(それらはカタツムリや小鳥だと後に判明)。

 

そいつらがとにかく可愛い。ヴェルフリの生涯をある程度知っての上で閲覧に臨んでいたので、勝手に感じていた緊張感がちょっと解けて顔がほころびました。

 

もう1点は、今回一緒に同行したデザイナーがとても興味深い事に気付く。
作品の中には、たまに時計が描かれているのですが、どの作品の時計も針が「1時半過ぎ」を指しているのです。

 

これは何の意味があるのか?無意味なのか?ヴェルフリにとって、この「1時半過ぎ」とはどんな時だったのでしょうか?

 

最後に図録とポストカードを一枚購入。

 

アドルフ・ヴェルフリ図録ポストカード

 

アートやグラフィックデザインが好きな方は絶対に行っておいた方がいいです。
滅多に拝めるものではありませんので。

 

あと、自分の今の環境に不満があるクリエイターにもおすすめ。

 

『アドルフ・ヴェルフリ 二萬五千頁の王国』
東京ステーションギャラリー
会期:2017年4月29日(土)―6月18日(日)
http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/201704_adolfwolfli.html