「WordPressを守ろう!セキュリティの最新トレンドと対応事例」で得た対策と知見




 

Tokyo WordPress Meetup主催の「WordPress を守ろう!セキュリティの最新トレンドと対応事例」にWebデザイナーと一緒に参加してきました。

 

Tokyo WordPress Meetupのイベントへの参加は、去年の旧WordBench 東京「Webサイト制作プロジェクトマネジメント入門」以来久しぶり。

 

厄年のせいか、去年から今年にかけてリダイレクトスパムDoS攻撃の対応に追われたこともあり、今回のテーマは非常に楽しみにしていました。

 

WordPress 管理者がおさえておきたい Web アプリケーションセキュリティ

最初のセッションは表題の通り、WordPress ユーザー・管理者・開発者がおさえておきたいWebアプリケーションセキュリティのトレンドの解説を、OWASP Japan(オワスプ ジャパン)の松本悦宜氏がスピーカーをされていました。

 

僕はまず、OWASP(オワスプ)の存在を知りませんでした。

OWASPは、Open Web Spplication Security Projectの略で、Webセキュリティを取り巻く問題を解決するために各国の専門家が集結した国際的なコミュニティで、日本にも10の拠点があります。WordPressを愛するWordPress Meetupのようですね。

 

のちに、そのOWASPが発表している脆弱性と対処法に関するドキュメントなどを含め、WordPressにおけるリスクの確認と対策方法が紹介されました。

 

サイト改ざんなど、セキュリティリスクが多く報道されていますが、中でもWeb制作やWeb運用に携わっている人たちの間では、WordPressはセキュリティが弱いと思われがちですが、これは単にWordPressがCMSの中で圧倒的にシェア率が高いだけの話で、当然なにか脆弱性が発見されればそれに比例してしまい、他のCMSに比べれて名前が上がりやすいということで、決してWordPressが突出してセキュリティが弱いということではない冒頭のお話に納得しました。

 

リスクを確認するための3つのドキュメント

WordPressを安全に使うためにはどうすればいいのか。なにごとにもリスクヘッジができて越したことがないように、Webアプリケーションのセキュリティにおける最新の情報やトレンドを確認できる信頼性あるドキュメントが3つ紹介されました。

【1】OWASP TOP 10

前述のOWASPが発表している、最も注意すべき脆弱性と対処法が10件まとめられており、内容は3年おきに見直され更新。日本語版もあります。

OWASP TOP 10 – 1017(PDFドキュメント)

 

【2】WordPressセキュリティ白書

WordPress.orgで公開されている、まさにWordPressに特化したセキュリティ対策がまとめられています。日本語版もあります。

WordPressセキュリティ白書

 

【3】OWASP WordPress Security Implementation Guideline

OWASPのサイト内で提供されているWordOressに関連した情報のドキュメント。WordPressの様々な設定がまとめられているけど、現状は英語版のみです。

OWASP WordPress Security Implementation Guideline

 

3つのWordPressセキュリティ対策

【1】WordPressのログインを守る

ログイン画面のセキュリティ設計として、

  1. wp-login.phpのアクセス制限
  2. 2要素認証、アカウントロック
  3. パスワードポリシーの確認

 

上記3つが考えられますが、運営者への負担の許容など、ユーザーがどう使うかも考慮もしながら設定しなければならないとのこと。

 

しかしながら、3番目のパスワードポリシーは重要とのことです。映画(スターウォーズやスタートレック)のキャラクターやポケモンなどの名称を使用したパスワードは特にあぶないそうです。

 

僕の場合、クライアントの案件でもwp-login.phpのアクセス制限とパスワードポリシーだけは実施しております。

 

【2】脆弱性情報を確認する

WordPressの管理画面の更新情報に注目し、下記3つは最新のヴァージョンに保つ。

  • 本体
  • テーマ
  • プラグイン

 

注意すべきは、使用してないプラグインは削除する。停止では不十分だそうです。また、今回お話には出てきませんでしたが、使用していないテーマのバージョンアップや削除もしておいた方がいいという話を聞いたことがあり、例えば、WordPressをインストールするとデフォルトでバンドルされているテーマなどは不要の場合は僕は削除しています。

 

【3】WordPressの関数を使う

正しくWordPressの関数をしようしないと、SQLインジェクションやXSS(クロスサイトスクリプティング)といったデータベースへの漏洩や書き換えなどの攻撃にさらされる危険があるとのこと。

 

以前、固定ページでPHPをかけるようにするためのプラグインExec-PHPにてeval関数が使用されていて非推奨になった記憶がありますが、そういったことでしょうか。

 

とにかく、攻撃者が裏口を作り、PHPをアップし遠隔操作などを行うバックドアの話は恐ろしかったです。

 

 

セキュリティ診断ツール2点

最後に、推奨のセキュリティツールを紹介しておりました。

OWAAP ZAP

OWAAPが提供している診断ツールで、動的スキャンで擬似攻撃による検証ができるそうです。OWAAP ZAPの記事などのキータに一番まとまってるそうです。

検証といっても、結局は自分でサイトを攻撃していることになるので、自社で計画的に使用するなら問題ないですが、第三者のサイトに無断で使用するのは許可や計画が必要。

OWASP ZAP Hands-on In Osaka (2015-02-10)

 

WPScan

WordPressのセキュリティマニアの方々が集まる会社が提供している脆弱性スキャンツール。任意のパスワードリストからの総当たり攻撃もできるそうです。

WordPressの本体、プラグイン、テーマのバージョンが影響を受ける脆弱性を検証、また、不要なファイルが公開されてないか(readme.htmlなど)も確認できるそうです。

しかし、コマンドラインが必要なので、完全にエンジニアさん向けと思いました。

WPSCanによるWordPressの脆弱性スキャン

 

 

セッション1のまとめ

wp-login.phpのアクセス制限、パスワードの強化、本体・テーマ・プラグインの更新情報の注意と対処。これらは普段から行っていたことなので安心しました。

特に松本悦宜氏のお話の中では、OWASPの存在をはじめ、信頼性あるドキュメントや診断ツールを紹介していただいて、とてもためになりました。

また、今後「WordPressって大丈夫なの?」とクライアントに聞かれても、自信を持って説明できるようになれてよかったと思います。

 

今回の登壇で使用された松本悦宜氏のスライド

 

 

「WordPress セキュリティインシデントの対応事例」

セッション2は、主にサーバーサイドのプログラマーである神垣聡氏の豊富な経験の中から、実際に起きたインシデントとその対応事例について。

 

リダイレクトスパム編

あるURLを踏んだら、勝手にスパムサイトへ強制リダイレクトされるリダイレクトスパム。

 

リダイレクトスパムに関しては僕もやられた経験があり、その時のことを記事にしたことがあります。

 

WordPress マルウェアの確認と駆除作業(リダイレクトスパム)

 

リダイレクトスパムはリダイレクト用のプログラムがHTMLやPHPに埋め込まれてしまい、それが作用して強制的にリダイレクトされてしまう仕組みです。

 

WordPressの場合、主にplugin/index.phpが書き換わっている場合が多いらしいのですが、上記で紹介した以前の記事の時は、header.phpと、footer.phpが改ざんされていました。

 

しかも、コアファイル群の中にwp-login.phpに模した、w-login.phpというPHPファイルも仕込まれていたり。。

 

plugin/index.phpが書き換わっている場合、plugin/index.phpにファイルのアップロードを行うスクリプトが書かれ、他のファイルを呼び込むバックドアとなっているとにこと。

 

WorsFenceとSucuriScannerというプラグインで確認したそうです。

 

根本的な原因として、推測らしいのですが、メッセンジャーツールにてアカウント乗っ取りが多発時期だったらしく、フィッシングスパムメッセージを踏んで被害が拡大した可能性があるそうです。

 

 

スパム投稿記事編

この事例は知らなかったのですが、投稿一覧画面を確認してみると、記憶にない記事が大量に投稿されており、その記事にはスパム広告が貼られているそうです。

 

原因の推測として、パスワードが脆弱だったほかに驚いたことが、初期アカウントを調べるのは容易だということです。

 

「user id 1 wordpress」というキーワードでググってヒットした下記の記事でも詳しく書いてありますが、最初作ったアカウント「author=1」のログインユーザー名はダダ漏れということになります。

 

WordPressのログインユーザー名は丸見え!?

 

対処として、該当記事の削除、パスワードの一新、ロギングを行ったそうです。

 




 

サーバ屋さんから怒られた編

レンタルサーバー側がハッキングされているのを検知し、「ファイルが改ざんされてるので、おたくのサイトを停止します」という通達がきたお話です。

 

被害

  • サーチコンソールも検知しているので被害サイトとして認定されSEOランクダウン
  • 事例はECサイトであったため、即座に売上に直結し売上がダウン

 

「サーバ屋さんから怒られた編」というタイトルから、若干ほのぼのした話かと想定していましたが、このような被害状況に陥ったら生きた心地がしないかも知れません。

 

対処として、WordPressを移設しプラグインを入れ直したそうですが、この対処もなかなかの作業です。被害の進行と対処に掛かる機会費用は計り知れないので、松本悦宜氏が紹介されていたドキュメントなどを日頃からチェックするべきかなと思いました。

 

セッション2のまとめ

そのほかにも、古い事例の改ざん系として、header.phpに読み難いコードが埋め込まれていた「メール踏み台編」、サイトやサーバーにつながらない「DDoS攻撃 DNS攻撃編」といったインシデントと対応策も紹介されていて本当に豊富な事例はためになりました。

 

最後に、ディレクターにとって興味深い話として、思わぬ事態が起きてしまったときに当然Web制作事業者はクライアントに説明責任があり、ダウンタイムや復旧費用、また、毎月/年の保守やバックアップの金銭的根拠を明確に示さなければならないなど、今後心がける部分も勉強になりました。

 

今回の登壇で使用された神垣聡氏のスライド

 

 

セッション3「まとめ」

最後のセッションは、今回のTokyo WordPress Meetup 10月のモデレーター、ちくちゅう氏。

 

ちくちゅう氏は冒頭で、クライアントから「セキュリティ 対策はどうなっていますか?」と聞かれたときにどう答えるべきか?といったノウハウを紹介。

 

今後は、「暗号化はHTTPSのみ、SFTPのみ」「WAF」「インシデント発生時のルール化」「外部メモリ禁止」といったセキュリティ 項目リストを明文化して作っておくべきと思いました。

 

また、ちくちゅう氏、セッション1の松本悦宜氏、セッション2の神垣聡氏を交えて質疑応答となりました。
以下、メモれた限りです。

 

セキュリティ維持向上に普段利用しているおすすめのプラグインは?

「WP SiteGuard」と「Crazy Bone」。

監査ログをメールで通知してくれるプラグインもある。

との答え。

また、2年以上メンテ、アップグレードされていないプラグインは危ないとのこと。

 

user_id(初期アカウント)からアカウント名が簡単に取れるということでしたが防ぐ方法はあるか?

初期アカウント防げない。

とにかくパスワードを強化とのこと。

 

脆弱診断を実行できるツールはありますか?

Walti.ioがめっちゃ便利です。定期実行でログもずっと保管

JVNというサイトでWordPressの情報が出ると注意!

あと、JSACの注意喚起も注意!

 

本体をアップグレードしたら、プラグインの動作チェックはしてますか?

正直あまりしていないが、コピーサイトを作って調べるときはあります。

 

ほか、全てをメモれませんでしたが、とても有意義な質疑応答でした。

 

今回の登壇で使用されたちくちゅう氏のスライド

 

 

「WordPressを守ろう!セキュリティの最新トレンドと対応事例」まとめ

今回のイベントに参加して下記の認識と知見を得ました。

  • OWASP(オワスプ)の存在
  • WordPressが突出してセキュリティが弱いということではないこと
  • バックドアの恐ろしさと仕組み
  • 初期アカウントを調べるのは容易だということ
  • クライアントへの説明責任
  • ダウンタイムの復旧費用
  • 毎月/年の保守やバックアップの金銭的根拠の明示
  • セキュリティ項目リストを明文化
  • 様々な脆弱診断を実行できるツール

 

久しぶりのWordBench!じゃなかった、WordPress Meetupの参加でしたが今回も楽しませていただきました。

 

キャンセル待ちも出ていたみたいで人気のテーマだったのも納得するくらい、とても身になる良いイベントでした。

 

スライドの公開が早かった(その日のうち)のも嬉しかったです。

 

また、面白そうなテーマがあったら行きたい。

 

この記事も読まれています。

WordPress マルウェアの確認と駆除作業(リダイレクトスパム)

さくらレンタルサーバーで特定のIPアドレスからのアクセスをブロックする方法

 




UXデザインセミナー『UX Bridge vol.5』に行ってきました。

UXデザインセミナー『UX Bridge vol.5』



 

BtoB/BtoBtoCサービスにおけるUXをテーマにした勉強会『UX Bridge vol.5』に行ってきました。

 

去年の『UX Bridge vol.2』では、新人のデザイナーを連れて行くことが一番の目的でしたが、本人は補欠から繰り上がらず落選。叶わず。

 

しかし、今回は、去年連れて行けなかったデザイナーと、今年入社したばかりの新人デザイナーの2名を連れて参加することができました。

 

参加した動機

  • 前回同様、前線で活躍しているデザイナー、フロントエンジニア、プロダクトマネージャーといった様々な役割の方々の視点で、UXデザインの取り組みや考え方、ビジネス上でどのような価値をもたらしているか?といったお話が聞けること。
  • 自分が所属する組織・チームの各役割のメンバー達に、自分の立ち位置からUXデザインの価値を、僕の言葉ではなく、外部の方々からの言葉で知ってもらいたかった。

 

良いUXデザインをする為に必ず必要とされる事

良いUXデザインをする為に必ず必要とされる事

 

業務では主に自社サービスのUXとUIの改善業務を担当しているUI/UXデザイナーの大村真琴氏。

 

良いUXデザインをする為に必要とされる事とは、スタッフエクスペリエンスとのこと。

 

要は、ユーザーに対するUXを向上させるためには、まず自チームや組織に対してエクスペリエンスデザインを施してから、ユーザーに良いUXを提供する。

 

大村氏は、テモナ株式会社に参画した際に初めてそれに向き合ったそうで、組織、人、文化、業務フロー、思考というキーワードをあげ、スタッフエクスペリエンスを実施した例を紹介していました。

 

ディレクターとはUXにおける問題点・課題点をすり合わせ、双方に学びや意思疎通、共通認識を増やす話のほかに、エンジニアとのコミュニケーションをピックアップしていました。

 

以前のエンジニアさんは、改善指示に対し黙って従う傾向にあり、ここにUX/UIのことを知れる絶好の機会をエンジニアが逃していると危惧していたとのこと。

 

実案件の中で改善指示を出す際は(おそらく)プロジェクトの背景やゴール、UIを改善することの意図を説明し、勉強会などを行わなくとも意思疎通や共通認識を高めることができたそうです。

 

とても良いアイデアだと思ったのは、セルフユーザビリティテストの実施方法。

 

プロジェクトチーム以外の社内の人たちにセルフユーザビリティテストを実施する際、「バグコンテスト」という告知ポスターを作成。セルフユーザビリティテストを社内イベント化し、他部門の人たちには業務以外のタスクが増えるといった印象を払拭したアイデアはいつか真似したいと思いました。




エンジニアがUXをロジックで考えてみる

エンジニアがUXをロジックで考えてみる

 

株式会社サイバーエージェント AdTech Studioの折原レオナルド賢氏は、エンジニアらしいロジカルな視点で管理画面の改善にあたった話などをされていました。

 

A〜Eまでページを遷移するタスクがあった場合のタスク完了までのユーザーの迷い度を、

 

  • N:ユーザーがタスク実行中に閲覧した異なるページ数(ユニークビュー)
  • S:ユーザーがタスク実行中に閲覧したページ数(ページビュー)
  • R:ユーザーがタスクを完了するための最短ページ数
  • L:迷い度

 

として数式に表し、複数あるタスク完了までの各ルートの迷い度を導きだす話が印象的でした。

 

その他にも、カードソートの集計にクラスター・デンドログラム(たぶんクラスター分析)の説明など、個人的には折原氏の登壇が一番興味深く、もっと詳しく話を聞きたいと思いました。

 

UI/UX カイゼンチーム始めました

UI/UX カイゼンチーム始めました

 

株式会社SmartHRから、デザイナーの渡邉氏、フロントエンドエンジニアの渡邉氏の同じ苗字の2名が登壇。

 

UX/UIに強いメンバーでカイゼンチームを立ち上げた経緯に、

 

  • プロダクト専任のデザイナーがいない。
  • エンジニアがBootstrapでUIを決定していた。
  • 当時のリソース・フェーズだとそれが正解。

 

といったことをあげてて、同行したWebデザイナーと自チームでのあるある話すぎておもわず笑みがこぼれた。

 

様々な改善例を紹介していた中で、会員登録へのタスクが斜格的すぎて、会員登録までの道筋案内の問い合わせがユーザーから殺到した時の改善例がグッときました。

 

ドロップダウンメニューに隠れていた会員登録へのリンクをグロナビに置いただけでは問い合わせは減らなかったが、最終的に罫線で区切り、並列から分類したことにより問い合わせが激減した成功例。

 

マイクロコピーじゃないけど、こういった細部のちょっとした修正で改善される成功例はつくづく素晴らしいと思う。

 

もちろん両名とも試行錯誤の努力と情熱が前提にあるのですが、僕は色んな知識を蓄えすぎて難しく考えすぎるクセがあるのだと今回の話で認識できてよかった。

 

感想

今回もデザイナーとエンジニアの視点から色んな考え方や取り組みを聞けて面白かったのですが、UXというよりも比較的UIやユーザビリティの話が多いという印象を受けました。

 

しかし、ワークフローやチームビルディングにおいて、やはり自分たちの環境だけが恵まれていないというわけではなく、どの組織も様々な課題を抱えており、その問題解決への素晴らしい工夫を聞けて収穫になりました。

 

同行した新人デザイナー達にも、自チームの問題や、Webサイトの改善に対して意欲が湧いているのが帰り道に感じられた。

 

UX Bridge vol.5




 

心に響くイラストレーターの宝庫『クリエイターEXPO』




 

2018年4月4日、自チームのプロジェクトマネージャーとデザイナーの3人でコンテンツ東京2018に行ってきました。

 

クリエイターEXPOを含むコンテンツ東京とは。

東京ビッグサイトで定期的に開催されているリードエグジビションジャパン主宰の超巨大なイベント。

 

うちの会社に毎年招待券が届くので、仕事の合間を縫ってよく足を運ぶイベントのひとつ。

 

僕らも以前、自チームでWebやサイネージといったデジタルコンテンツソリューションを売りに出展した経験がありますが、ターゲット層とマッチすれば名刺交換は入れ食い状態になります。

 

コンテンツ東京内は『コンテンツマーケティングEXPO』『先端デジタルテクノロジー展』『グラフィックデザインEXPO』『AI・人工知能EXPO』などなど企業の宣伝・販促・業務効率化に貢献する多数の企業やフリーランサーが自社の製品やサービスを出展しており、また無料のセミナー講演なども行われているので、僕ら受託業社としては市場調査や情報収集の場にもなっています。

 

今回、個人的に期待していたブロックチェーンを生かしたビジネスを提供する企業が見受けられなかったのが残念。。。




 

様々なクリエイターが集結するクリエイターEXPO。

コンテンツ東京内はクリエイターEXPOという盛んなエリアもあり、主にフリーのイラストレーター、デザイナー、写真家、ゲームクリエイター、絵本作家さんなどが狭いスペースでブースを設けており、お祭りの露店通りのように密集しているストリートがある。

 

もう何年も行ってませんが、デザフェスよりもクリエイターEXPOは個人的にビジネス主体に感じます。

 

僕は写真よりもイラストを起用したWebデザインや企画が好きなので、市場調査や情報収集以外にパートナーとしてデザイナーさんやイラストレーターさんを探すのも目的としています。

 

ネット上でも素晴らしいイラストレーターさんを見つけるのは安易な時代になったけど、その場で直接イラストを目で見て、接してみて、商談までできることにクリエイターEXPOの魅力を感じます。

 

出展されている方々は基本的に技術が高い。

 

その中でどうしても自分好みのイラストに目が止まってしまいがちですが、あくまでプロジェクトのメンバー、ビジネスパートナーとして、近々で動きそうな企画や、今後想定される案件のブランディング戦略にマッチするかを判断基準としてマークしています。

 

当初、『クリエイターEXPOで気になったイラストレーター』として、今回気になったイラストレーターの方々を本投稿にまとめて紹介しようと書き進めていましたが、かなりの文字量となってしまったので、いずれ別々に紹介することにしました。

 

そういえば、クリエイターEXPOを含めコンテンツ東京は初日の午前中が空いているので、じっくりハンティングするならこの時間帯を狙うのがおすすめです。




 

企業と顧客の暗黙知の前提を導き出すギャップファインディング




 

UXにおいてバイアスを払い、コンテキストを理解し、ユーザーのインサイトを知ることは主眼点となっています。

 

ユーザーの真の欲求を検出し、問題を解決するために活用するカスタマージャーニーマップ。それにくわえて、ギャップファインディングという手法がとても興味深かったです。

 

それは、ユーザーの潜在価値を見いだしマーケティングをしていくうえでも効果的な手法なのだと先日参加したワークで実感しました。

 

B2Bブランディングセミナー 活用できるカスタマージャーニーの作り方~ギャップファインディングというアプローチ~

主催:株式会社 大伸社コミュニケーションデザイン

 

ギャップファインディングとは

異なった分野と比較し、アイデアを得る。

 

このセミナーでわかりやすく例に出されていたのは、救急医療のシーンとF1のピットインのシーン。

救急医療

F1のピットイン

 

目的と対象が違うまったく別の分野でも、こうやって見ると、どこか相似していることに気づきます。

 

問題に直面している事柄と、共通・相似したすでに成功をおさめている事柄とを照らし合わせることにより、ピタリと前者に後者の成功法が当てはまる可能性があるのでは。

 

ギャップとは

ギャップファインディングを実施するうえで、「ギャップ」=「暗黙知の前提」を理解する。

 

企業も顧客も、商品やサービスの既存の「仕組み」「形状」「存在価値」が当たり前の現状だと思い込んでいることが多い。よって、その商品やサービスを利用しているユーザーの潜在的な不満や課題・期待がカモフラージュされてしまう。

 

その企業と顧客が持つ強力なバイアスこそが「ギャップ」=「暗黙知の前提」であり、そのギャップをカスタマージャーニマップや、先述の異なったカテゴリーとの比較から導き出すのがギャップファインディング。




セミナーの内容

レクチャー

ここではブランディングや、カスタマージャーニーマップ作成のコツ、ギャップファインディングについてのレクチャーを聞く。

本記事では、ブランディングや、カスタマージャーニーマップの説明は割愛します。

 

ミッション

ここから実際にワークショップに入ります。

ペルソナであるうつ病の患者さん(40代男性)自身が期待すらできなかったギャップを埋める問題を抽出し、うつ病患者さんが笑顔になれるアイデアを考える。

 

ペルソナの読み込み〜カスタマージャーニーマップ作成

5〜6人でチームを組み、すでに用意されているペルソナのストーリーを各メンバーが頭に入れ、各プロセス毎にペルソナの感情、ゴールを書き記した付箋やカードを時系列に並べ、カスタマージャーニーマップを完成させていく。

 

ギャップファインディングの実施

ジャーニーマップから汲み取れる感情や行動の情報から、ペルソナが本当は何を求めていたのかを分析。

 

さらに別カテゴリー(分野)のイノベーションサービスが集約されたアイデア集が各チームに一時配布され、それらを参考に比較し、アイデアのヒントをみつける。

 

分析結果

ペルソナが何を求めているか?

このペルソナは、症状が出はじめた初期の段階から自分がうつ病であることをひた隠す感情を持ち、それに伴った行動を各プロセスでとっていたせいで、全てが裏目に出る泥沼の行進を歩むことになっていた。

 

そこに着目し、うつ病の予防や治療といった病気自体の対策よりも、それらをも包括した、うつ病を肯定するある種の世界観が思い浮かんできました。

 

そもそも、世間のうつ病自体に対する印象がいけないのでは?

 

「風邪を引いたので今日は会社を休みます・・」
「昨日から風邪を引いちゃってさ、まいったよ・・」
「風邪引きそうな気がする・・」

 

同じ病気なのに誰もがここまで気軽に人に主張できる病気「風邪」。

 

うつ病も、風邪のように気軽に人に打ち明けられるようにならないものか?

 

別カテゴリー(分野)との比較

主催の大伸社さんが用意してくださった膨大なアイデア集を眺めてても、限られた時間内でマッチするものが見つけられなかった。むしろ、自分の知らないイノベーションがこんなにもあるのだなと、職業柄、感心してしまっていた。

 

前段で汲み取れたように、うつ病は人々に受け入れがたい分野なのかもしれない。

 

人々に受け入れがたい分野・・・。
その分野が人々に受け入れらた過去の実例・・・。

 

僕は「オタク」が思い浮かんだ。

 

80年代、タレントの宅八郎のキャラクター性や、当時実際に起った悪質で悲しい事件により、オタクは「気持ち悪いやつ」「危ないやつ」というレッテルが貼られていた。

 

00年代に入り、2ちゃんねるや、電車男というテレビドラマや映画を中心に、オタクと呼ばれる人たちに明るいスポットが当てられ、聖地となった秋葉原を中心に様々なカルチャーが生まれる。

 

オタクは「気持ち悪いやつ」から「キモカワイイ」存在となり、やがて市民権を得て、今や先端性すら感じるようになった。

 

アイデアの創出

うつ病に対する世間のネガティブな印象を、ポジティブな世界へと変遷させることに着想してからは、オタク文化への成り立ちに照らし合わせることに限らず、様々な奇抜なアイデアがチーム内から産声を上げた。

 

ここからのスピード感はすごかったし、一番盛り上がりました。

 

その中でも僕はやっぱり、オタク文化への変遷がマッチした。さらに前述の通り、今さら語るまでもない効果の威力を兼ね備えた映画やドラマの放映という、新鮮味に欠ける施策も有りだと思いはじめました。

 

「新鮮味に欠ける」ということはある意味「確立されている」ということ。

 

プロジェクトとして進行する際、未知のプロダクトやサービスは、プロトタイピング、素早いリリース、そして評価などを繰り返す試行錯誤の開発期間がかかる。

 

プロジェクトの予算の問題は置いといての話ですが、

 

その点、映画やドラマはありきたりとも言えるけど、幾年も大衆に親しまれている媒体であるがゆえ、今さらユーザーの学習理解度(ユーザービリティテスト)の心配はないし、PRのノウハウ、制作の専門家も充実しているので、時間という資源の消費の節約ができるという見解に至った。

 

このセミナーで得たこと

ギャップファインディングのレクチャーを受けているとき、経済学者で日本大学准教授の安藤至大氏の言葉を思い出した。

 

世の中のいろいろな現象を突き詰めて考えると、一見するとまったく別のことなのに背景にあるメカニズムがよく似ている現象が見つかることなんです。

 

別の畑を覗くことが有効なのはどこかで学んだつもりではいたけど、今回のワークを通して、ギャップファインディングという確立されたフレームとして学べたのは収穫でした。

 

そしてギャップファインディングを行うには精度の高いペルソナやカスタマージャーニーマップが必要だということも(本ワークショップでのカスタマージャーニーマップ作成方法は割愛します)。

 

最後の一つは、
テクノロジーを駆使したイノベーションを起こすことにこだわる自分を取り払うことができたこと。

 

画期的なイノベーションを起こすことが目的ではなく、あくまで問題を解決することが目的なのだと。

 

今所属している組織のWebサイト上で、「手段はなんでもいい」なんてカッコつけた自分のコメントは、ただ”騙っていただけ”だったと気づき、恥ずかしい気持ちにもなってきました・・・。

 

大伸社コミュニケーションデザインさんは、多くのエクスペリエンスデザイナー、エスノグラファー、ストラテジストを擁する会社で、今回のような有用なセミナーを惜しみなく開催されています。

 

僕がクライアントだったら依頼してみたい魅力的な会社だと思いました。

 




 

デザイナーファーストな組織デザイン方法。どのようにマネジメントをすべきか。

デザイナーファーストな組織デザイン方法。



 

2018年3月6日(火)、デザイナーファーストな組織デザイン方法。というセミナーに行ってきました。登壇者はこの業界では有名なチームに所属する方々ばかり。

 

デザイナーファーストという言葉自体はまだ馴染めないけど、今後デザイナーが日本に増え続けて欲しいと感じています。

 

理由の一つとして、少子高齢化問題におけるシルバー・イノベーション(高齢者向け技術革新)を起こす足がかりに、デザイナーの人口増加が好ましいと個人的に思っているからです。

 

デザイナーという肩書きではなくても、デザイナー的資質を持ち合わした人や、イノベーティブな人を評価するような価値観を備えた人が増えれば、日本企業の99.7%を占める中小企業にもデザイナーの価値が浸透し、楽観的な言い方をすれば「暮らしやすい世の中」になるのでは?と予測しています。

 

そして、僕が所属する組織にもデザイナーという肩書きの人が何人も在籍していますが、デザイナーの役割を活かしきれていない実情があります。その理由は下記の通り。

 

デザイナーを活かしきれていない3つの問題

  1. 経営層・組織全体がデザイナーの価値を理解していない。
  2. デザイナー自身がデザイナーの価値を理解していない。
  3. 価値を理解していると思っている人が組織に価値を浸透しきれていない。

 

3つ目の大罪を犯しているのが、僕と相棒のWebデザイナーです。

 

上記は自分が所属する組織の話であり、一口に企業といっても、そこには業種業態や職場環境、社内政治など組織によってケースは様々。

 

このセミナーでは、業種業態、職場環境などに左右されず、どの組織においても、組織改革やチームビルディングができる万能なフレーム!といったら都合が良すぎるので、共通して応用できる基本姿勢やマネジメントの話が聞けないかと思い参加しました。

 

組織特性の違いはあれどチームビルディングの基本は同じ

チームビルディングの5つの基本

  1. そのチームは何のためにあるのかの共通認識
  2. それに向かってそれぞれがやるべきことを認識
  3. メンバー全員がGIVERマインドを持ち共創
  4. ナレッジやノウハウなどを共有してスキルアップ
  5. チャレンジを後押ししてそれぞれが強みをさらに伸ばす

 

DONGURIの熊本氏は上記を挙げ、最初は結構常識的なことかな?と聞いてましたが、各施策で行なっている内容の徹底ぶりに耳を傾け続けました。

 

なかでも、合宿を行ってミッションとビジョンを策定したことに胸をつかれる。

 

大所帯ではなかなか難しいことかも知れませんが、「そのチームは何のためにあるのか」を、「その組織は何のためにあるのか」に置き換え、共通認識を高めるべき。

 

社内wiki作成、勉強会、Slackのニュースチャンネルの活用は自社のクリエイティブ部門でも行なってきましたが、組織特性は違えど、経営層も含め部門横断で行うのが理想。

 

「デザイナー」=「情報をいい感じに色や形にするのに長けた人、よくわかんないけど面白いアイデアを出す人」で止まっている経営層・組織全体を根本から改革するにはこれぐらいやらねばならないと感じました。




 

オペレーター型のデザイナーにクリエイティブを要求し失敗

Goodpatchの長岡氏のマネジメント失敗談や、同氏とFOLIOの橋本氏の採用視点のお話はためになったけど、自分の組織にとって絶望に近い感覚に陥りました。

 

自分の組織のデザイナー自身も、デザイナーの本質・価値に気づいてなく、ビジュアルの技術とセンスを兼ね備えていますが、クライアントや代理店、営業からの伝言ゲーム的な指示を淡々と消化するオペレーター型にあたる人なので、長岡氏がその型の人にチャレンジやトライの機会を作ってあげても結局退職してしまったという悲しい事例を聞く。

そこから学んだこと

  • 組織に合わない人を採用しない
  • そういった人のために適した仕事を与える

 

自分の組織でも、最近新卒採用で入社したWebデザイナーの子は近年のデザイナーの役割をある程度心がけている部分があり、育成に力を注ぐ余地は十分にあると思いますが、古くから在籍している上記のようなオペレーター型の人の意識改革は難しいと感じた。

 

こればかりは育成に力を入れてもお互いに時間を無駄にする可能性が高いので、もっとも根本的な採用の時点でフィルタリング、もしくは適した仕事を与えながら、まわりから徐々に文化的に意識改革していくしか手立てはないのではと思いました。

 

また、長岡氏も橋本氏も採用に関しては、自身の思考やカルチャーマッチングを大事にしたリファラルリクルーティングを強化しているとのこと。

 

これからのデザイナーのあるべき姿

  • マネージャーもデザインの対象が変わっただけでデザインすることに変わりはない。
  • マネージャーは人と組織をデザインする人。
  • デザイナーも上流工程から出席すべき。
  • ビジュアルだけではなく本質的にビジネスそのものを理解する。
  • ビジネス成果にコミットするために課題解決に向き合う姿勢。
  • 技術だけではない、狭まる視点を持たない。
  • ロジカルでエモーショナルなバランスが必要。
  • 個人の得意不得意領域は必ずある。まずは一つづつの完璧を。

 

昨今、ネットや本など様々な媒体でもささやかれているように、デザイナーであるべき姿は、手だけを動かすような色や形の具現化を作業的にするだけではないと言える。

 

上記だけではなく、担当領域によってはもっと多くのことを求められていると思けど、デザイナーに担当領域とそのスキルセットを等級的に段階を踏んでもらい、フォローアップしていくことでモチベーションが保たれるようにしていく。

 

セミナーの感想

今の自分の組織にピタリとハマるフレームは当然のごとくありませんでした。

 

しかし、マネジメント経験が豊富な登壇者の方々のお話は三者(社)三様でありながらも共通した部分も多く、それぞれの組織で取り組んでいる細いことや大まかな工夫・失敗談を掻い摘んでつなぎ合わすことで、自社でも改善できる希望が見えました。

 

皆が共通認識を持ち、楽しく成長していけるカルチャーを作ること。

 

さらに自分でも感じていたこと・実行していたことを再認識できたこと。

 

試行錯誤することを怠らず、トライアンドエラーを繰り返すことで、広範囲から組織をデザインし、デザイナーや経営層と引きも切らず接していくことで、デザイナーファーストな組織へと成長するのではとまとまった。




 

デジタルマーケティングとエクスペリエンスの関係性と重要性




 

最近マーケティング戦略の分野に、UX/CXというワードが以前よりも目につくようになったと感じます。

 

さらに、Webマーケティングというワードよりも、デジタルマーケティングというワードの方が注目されている気もします。

 

「UX/CX」と「デジタルマーケティング」。それらの関係性はなんなのか?

 

例えばUXデザインとマーケティングは別ものと認識していますが、ビジネス、企業と消費者のより良い関係を築くために実施する手法としては共通していると思います。

 

ちょうど、それらを紐付けられそうなマーケティングセミナーを見つけたので行ってきました。

 

デジタルマーケティング時代を勝ち抜くためのマーケティング手法とICT活用とは

基調講演、講演1、講演2の全3部構成になっており、14:00〜17:30まで受講。

 

個人的にはこのイベントタイトルだけではあまり響かなかったのですが、基調講演のタイトルを見て申し込みました。

 

(僕みたいなのがターゲットじゃない講演なので、タイトルの批判をしている訳ではありません)

 

詳細ページ

 

講演項目

【基調講演】
~リアルの現場とデジタルのタッチポイントを融合せよ~デジタルマーケティング時代、顧客体験(CX)を提供できない企業は淘汰される
講演者:株式会社Nexal CEO & Bussiness Consultant 上島千鶴氏

 

【講演1】
デジタルマーケティングへの新たな視点』~ネットワークのチカラをフル活用~
講演者:シスコシステムズ合同会社 コーポレートビジネス事業統括 ビジネス開発本部 地方創生推進 担当部長 大野元嗣氏

 

【講演2】
デジタルマーケティング!!実現場ではこう使われている「Cisco Meraki」 の最新導入事例
講演者:ディーアイエスソリューション株式会社 第2事業部 パートナーソリューション2課 係長 藤重雄喜氏




デジタルマーケティングとエクスペリエンスの関係性と重要性

なにかにつけて「デジタル」という言葉に支配されがちな昨今ですが、実際は消費者と企業のコミュニケーション・チャネルでは、デジタルやインターネットとリアルが入り混じっている状態であり、もはや「デジタル」だけでは成り立っていないのが現状。

 

僕らWeb屋にWeb制作の依頼が来ても、Webサイトという成果物を作りあげることだけが求められているわけではないし、SEO対策、Webマーケティング以上の戦略を求められる時もあるので、その辺は特に実感しています。

 

俯瞰的に見つめると、ユーザーとデジタルデバイスのタッチポイントばかりに気を配っていたのでは顧客の満足度向上は難しい。

 

そこにはやはりUX、CXといった「体験」が重要視される。

 

上島千鶴氏は、詩人のマヤ・アンジェロウの

人は最後に記憶に残るのは言葉ではなく感じたこと、体験で得られた感情である。

という言葉を挙げ、体験の重要性を述べていました。

 

そして、体験で消費するのは何より時間。「今はお客さんの時間の奪い合いであり、そういった意味では違う異業種でも競合」という上島千鶴氏の言葉に納得しました。

 

藤重雄喜氏も、旅館での事例と体験談を元に体験と時間の重要性を言及。

 

スタートアップを見ても、10数年前に比べると大幅に時間の短縮ができるようなイノベーションを起こしていますし、ユーザー、顧客にとって素晴らしい体験(時間)を用意することはマストと言える。

 

上島千鶴氏や大野元嗣氏は、建設中の橋桁同士が繋がっていないイメージ画像を例に、組織の各部門の連携が取れていないことを懸念しており、これからはIT部門とマーケティング部門などがガッチリと統合し、組織全体が協働することが大切だと述べていました。

 

今回、上島千鶴氏の基調講演が一番の楽しみだったのですが、全講演を通して色々な知見を得られ、とても勉強になりました。

 

これがユーザーの事前体験期待値を超えるCustomer Delightというやつですね。

 




 

資格も取得できるUXDT:【第5回】セルフユーザビリティテスト検定講座

セルフユーザビリティテスト検定講座:UXDT

ユーザーが自身の目標を認識し、その目標を達成するまでの長いノープランの旅の途中で立ち寄る可能性があるWebサイト。

 

そのWebサイトにて、ユーザーの理解・操作をスムーズにしてあげるためのユーザビリティ。

 

2017年11月17日、UX DAYS TOKYO主催の【第5回】セルフユーザビリティテスト検定講座に行ってきました。




 

参加した動機

  • セルフユーザビリティテストの知識が学べる。
  • ワークショップでセルフユーザビリティテストを体験できる。
  • 試験が受けられ合格すると資格を取得できる。
  • 内容の割に安い(と、あとで思った)。

 

ユーザビリティテストは、ローンチする前や改修前に、対象となる被験者(ユーザー)を呼んできて、画面操作を行ってもらい課題を洗い出す重要な工程なのですが、プロジェクトによっては予算とスケジュールの関係で、実際に行えることが難しい実情があります。

 

とはいえ、どんな規模感であれ、Webサイトは人に利用してもらうプロダクトには間違いないので、最低限は自分たち(制作サイド)で、導線確認・操作テストを行い課題を見つけなければなりません。

 

自チームで行うユーザビリティの評価、それが”セルフ”ユーザビリティテスト。

 

イベントの大まかな流れ

  1. 座学(スライドを用い講師によるレクチャー)
  2. テスト(オンラインによる選択式・筆記テスト)
  3. 実践(チームでセルフユーザビリティテストの実査)
  4. 発表(実査で発見した課題の発表)
  5. 余談(講師による事例など)
  6. 懇親会(お酒、オードブル、名刺交換)

 

セルフユーザビリティテスト検定講座

座学

講師によるスライドを交えながら、ユーザビリティテストの必要性、有効性、種類、基本概念の知識を学ぶ。

 

ここでは、ユーザーを呼んできて被験者になってもらうユーザビリティテストを行えなくても、自チームでセルフユーザビリティテストを実施するだけでもWebサイトの品質に大きく差が出ることを認識しました。

 

テスト

座学のあと、Google Forms上で全10問のテストが受けられます。

  • 選択式9問
  • 筆記1問
  • 制限時間10分程度

 

基本的に座学の内容から出題されます。選択式とはいえ、引っ掛けが潜むので落ち着いて回答。

 

このテストに合格すると、UXDT公認ライセンス(民間資格)が取得できます。

 

合否発表通知は1ヶ月以内とのこと。

 

実践と発表

国内の有名な某運送会社と某酒類販売店のサイトを用い、近くにいる人と3人でチームを組み、被験者、モデレーター、記録係りに分かれてセルフユーザビリティテストの実査。

 

某運送会社では、僕は記録係りを担当しましたが、被験者とモデレーターの対面の位置に座ってしまったため、実際画面上で何が起きているのか解らず、被験者の思考発話を頼りにただの書記と化してしまいました。

 

某酒類販売店の時は、僕は被験者となり、当日の20時に冷えたビールを1ケース注文するタスクをこなすことに。いざ。

 

ユーザビリティテストのタスク

 

商品をカートに入れるところまでは進めましたが、フォーム入力でつまづく。

 

全体的に進めにくく、理解しにくい非常に非効率的なサイトの作に、同じチームのモデレーター役と記録係り役の方々と失笑。

 

そのあと、課題・問題の発表を行うのですが、それぞれのチームから様々なテスト結果が発表されました。

 

ツッコミどころ満載な両サイトだっただけに、笑いも起きながらの発表でしたが、これはプロジェクト完遂を目指す制作者側の立場だったら身も凍る結果だと思いました。

 

懇親会

イベント詳細ページには記載されていなかったけど、受講のあと懇親会が始まります。

 

ビール、焼きそば、オードブルなどを出していただき大満足。

 

今回、ディレクター、マーケターの方は10名ほど参加されており、僕はアプリエンジニア、フロントエンドエンジニア、Webデザイナー、プロデューサー、プロダクトオーナーの方々とお話ができ、ユーザビリティは様々な役割の人にとって重要視されていることを感じました。

 

感想

参加前から人気のイベントだと感じていましたが、セルフユーザビリティテストの実施体験や知識を得ることができ、試験を受けて合格すれば資格も取得できる充実した内容。

 

懇親会費、資格の受講費込みの参加費3,000円でかなりお得な時間が過ごせました。

 

UX DAYS TOKYOは、UX関連のイベントを開催しているので、UXデザインのお話も交えつつ、セルフユーザビリティテストの正しい心持ちとスキル、配慮すべきノウハウを学べます。




 

UXデザインセミナー『UX Bridge vol.2』に行ってきました。

『UX Bridge vol.2』に行ってきました。



 

追記:2017年11月18日
スピーカーをされた伊東氏、布目氏のスライドを追加しました。

 

追記:2017年11月1日
スピーカーをされた右田氏、宮下氏、佐伯氏のスライドを追加しました。

 

2017年も終わりに近いですが、ようやく今年初のUXデザイン系のセミナーに行けました。

 

BtoB/BtoBtoCサービスにおけるUX勉強会『UX Bridge vol.2』

 

UXデザインに対して価値観が高くない新入社員のひよっこWebデザイナーを連れて行くのが最大の目的でしたが、人気のイベントだけあって自分だけが抽選に当選。

 

最近UXデザイン系のセミナーは盛んに行われているので、日程が合えば今度こそ連れて行こう。

 

参加した動機

前線でご活躍されているデザイナー、フロントエンジニア、プロダクトマネージャーの方々の視点で、取り組みや考え方、UXデザインがビジネス上でどのような価値をもたらしているか?といったお話が聞けるとのことで興味が湧きました。

 

自分自身のためでもあるのですが、やはり自分が所属する組織・チームの各役割のメンバー達に、自分の立ち位置からUXデザインの価値を知ってもらいたかった。

 

残念ながら結果的に行けたのは僕だけでした。しかも天候も体調も最悪な2017年10月25日に。

 

サービスの転換期とUX改善

プレイド 右田氏:サービスの転換期とUX改善

右田氏は、自社サービスの大規模UX改善の失敗談と軌道修正の経験を具体的に紹介されていました。

 

(余談ですが、個人的に、失敗〜軌道修正にプロジェクトの美学を感じます)

 

機能もクライアントも多様になりUIが散見したので、UIのサマリー要素を強化したものの、「社内に改善の意図がしっかりと伝達されていなかった」「大幅な画面構成の変更」「ユーザビリティテストの未実施」などにより、改修後に混乱を招いたそうです。

 

組織・チームが行動の目標に対し共通認識を持ち、ドッグフーディング、メンバー間でズレをすり合わせ、ユーザーテストをしっかり試みて現在も改善中とのこと。

 

セルフユーザビリティテストは、自チームでも実施していますが、当初は「デザイン思考はチームみんなで仲良くやる」という個人的な印象のもと、みんなで和気あいあいと代わる代わるデバイスを操作しながら進めてザルになってしまい失敗した経験があります。

 

右田氏も提言していましたが、声が大きい人の固定観念で左右が決まってしまい、声の小さい人の貴重な意見や考えが埋もれていくことを注意喚起していました。

 

それにしても失敗談はとても価値があると改めて思いました。

 

右田氏のスライド

 

これまでとこれからの広告UX

Repro 宮下氏:これまでとこれからの広告UX

宮下氏は、YouTubeがスキップできない30秒動画広告を2018年に廃止することや、Chromeが広告ブロック機能の追加をすることを取り上げ、広告においてのUXでは、ユーザー体験を妨害されるような広告はマイナスなることを指摘。

 

また、これからの広告UXの特徴として、ネイティブ広告、広告内でゲームができるプレイアブル広告、ダイナミックリターゲティングなどを挙げていました。

 

ユーザーの目的遂行に「待った」をかける広告が排除される。
アドテクノロジーの進化に注目。

 

以前に読んだことがある「子どものUXデザイン ―遊びと学びのデジタルエクスペリエンス」という本にも、8〜10歳くらいの年齢から広告を嫌い、信用しなくなり、子どもはエクスペリエンスを見捨てる可能性があると指摘されていました。

 

子どものUXデザイン ―遊びと学びのデジタルエクスペリエンス

 

自分もスキップできない動画広告やポップアップするような強制的に足止めを食らうインタースティシャル広告が死ぬほど嫌いですが、適度に目的の邪魔にならない広告ならばいいのかなと思います。

 

結局はユーザーのその時の気分。

 

単純な行動理論では予測できない感情の起伏も考えられるので、広告のUXは難しそうなイメージが残りました。

 

宮下氏のスライド

 

UXとCS(カスタマーサクセス)

弁護士ドットコム 佐伯氏:UXとCS(カスタマーサクセス)

佐伯氏は、デザイナーの立ち位置から見たUXについての心境の変化から説明されていて、UIを通した狭義的なUXにフォーカスしがちだったとのこと。うちのWebデザイナーもその傾向にありました。

 

UXの考え方について、IDEOのティム・ブラウン著:「デザイン思考が世界を変える」に記されている、ボストン→ニューヨーク→ワシントン間を走る高速列車サービスの交通改善のCX、カスタマージャーニーの重要性を例として挙げていました。

 

デザイン思考が世界を変える
著:ティム・ブラウン
(ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

 

僭越ながら、僕もこの本で色々なことに気づかされ、かなり影響を受けました(3冊買って人に配るくらい)。

 

そのCXやカスタマージャーニーと話が繋がりますが、本題にあるCSとはカスタマーサポートではなく、カスタマーサクセスのこと。

 

カスタマーサポート

ユーザーから問い合わせが来た時に対応する受動的な「リアクティブ」

カスタマーサクセス

調査やデータ分析をして、問題が起きそうなところに能動的に働きかける「プロアクティブ」

 

上記でどちらがUXの考え方に近いかといったら後者。

 

たしかに、CS(カスタマーサクセス)は、UXと同意義に感じました。

 

CS(カスタマーサクセス)のことを詳しく知りたいという方に、馬田隆明氏のスライドを読むことを勧めておりました。

Takaaki Umada presentations | SlideShare

 

セミナーでは紹介されていませんでしたが、馬田隆明氏の著作物で、「逆説のスタートアップ思考」という本もおすすめです。

 

逆説のスタートアップ思考
著:馬田 隆明
(中公新書ラクレ 578)

 

「サービスのUXに課題を感じたらCSを思い出す!」

 

なるほど納得しました。

 

佐伯氏のスライド

 

コンセプト設計におけるUXデザイン

ProfitMakers 布目氏、伊東氏:コンセプト設計におけるUXデザイン

何年か前に、Schoo(だったか)でWebディレクターの田口真行氏もおっしゃっていたのを思い出しましたが、

 

「UX」は、バズワードになるずっと以前から、当たり前のように行われてきたこと。布目氏もこのように述べていました。

 

そして以下、業務の緊急やりとりが発生し、講義に集中できなくなる・・・。

 

さらに体調が悪化。

 

なんとかメモれたのがこれ。

 

よくあるWEB系事業の設計

模倣するサービスの調査→UX設計→UI設計

本来あるべき事業の設計

CI設計→コンセプト設計→UX設計→UI設計

 

製品自体にも、パッケージにも、什器POPにも、販路にも、コンセプトは最後まで付いてくるもの。それは、WEB系のサービスにも言えるでしょう。

 

 

感想・まとめ

登壇者の話は各々20分程度ですが、無料でここまで具体的で様々な内容を聞けてお得だなと思いました。

 

UXデザインの概念に関しては登壇者の方々は共通認識を持たれていましたが、各々のUXデザインにおける取り組み、失敗談、改善方法、専門的なフィールドに絞った知見を得ることができ、とても勉強になりました。

 

【先着枠追加】UX Bridge vol.2