【課外活動】マンモス集合住宅の活性化運動。




 

以前からパラレルキャリア、プロボノ、シビックテックといった課外活動に興味を持ってはいたけど、今までなかなか踏み込めずにいた。

 

しかし、思わぬところでそのチャンスが強制的に巡ってきた。

 

自分が住んでいる数千世帯、十数棟にも及ぶ都内の某マンモス集合住宅。そこの広報部会副部会長を任されることになった。

 

灯台元暗しというか、なぜ今までそこに着目しなかったのか・・・。

 

当初は単純に「棟役員になって欲しい」と前任の役員の方に言われ、たんなる係員的なものだろうと軽い気持ちで二つ返事をしてしまったのだが、全体の4分の1の棟が管轄の棟副委員長に任命され、そのまま自動的に全棟の理事会員に。

 

そして先日行われた全体役員会にて、デザイン、Web制作の経験が買われ、いきなり広報部会の副部会長になることに決まった。(しかも来季は部会長の椅子まで用意されている!)




 

資産価値が下がらない、戦後数十年の歴史ある集合住宅とはいえ、問題が山積みなのが現状で、やはり少子高齢化も一つの課題となっていた。

 

課外活動以外にも、以前から少子高齢化問題対策、いわゆるシルバー・イノベーションにも興味を持っていたので、この機会はまさに自分にとっておあつらえ向きだと思った。

 

新体制は4月からなので現状はまだ簡単な概要説明しか受けてなく、活動・役割の詳細内容は聞かされていない。

 

おそらく僕が所属する広報部会は、少なくとも広報誌の企画・編集・取材、Webサイトの改修、運用、PR活動などが想定される。

 

しかし、それら以外にも将来的には、この集合住宅の新たな価値観を創造する活動が必要になってくる予感がした。

 

セルフマネジメントも含め、プロジェクトの不安材料がすでに様々よぎっているが、何はともあれ今までの自分が経験してきたことを発揮し、逆に本業へのフィードバックが期待されるのは確実性があると思うので楽しみ。

 

週末は、まだチビなうちの子供と遊ぶのが楽しみだったので、時間が割かれることには心の葛藤はあるけど、ひとまず任期は全うしたい。




 

企業と顧客の暗黙知の前提を導き出すギャップファインディング




 

UXにおいてバイアスを払い、コンテキストを理解し、ユーザーのインサイトを知ることは主眼点となっています。

 

ユーザーの真の欲求を検出し、問題を解決するために活用するカスタマージャーニーマップ。それにくわえて、ギャップファインディングという手法がとても興味深かったです。

 

それは、ユーザーの潜在価値を見いだしマーケティングをしていくうえでも効果的な手法なのだと先日参加したワークで実感しました。

 

B2Bブランディングセミナー 活用できるカスタマージャーニーの作り方~ギャップファインディングというアプローチ~

主催:株式会社 大伸社コミュニケーションデザイン

 

ギャップファインディングとは

異なった分野と比較し、アイデアを得る。

 

このセミナーでわかりやすく例に出されていたのは、救急医療のシーンとF1のピットインのシーン。

救急医療

F1のピットイン

 

目的と対象が違うまったく別の分野でも、こうやって見ると、どこか相似していることに気づきます。

 

問題に直面している事柄と、共通・相似したすでに成功をおさめている事柄とを照らし合わせることにより、ピタリと前者に後者の成功法が当てはまる可能性があるのでは。

 

ギャップとは

ギャップファインディングを実施するうえで、「ギャップ」=「暗黙知の前提」を理解する。

 

企業も顧客も、商品やサービスの既存の「仕組み」「形状」「存在価値」が当たり前の現状だと思い込んでいることが多い。よって、その商品やサービスを利用しているユーザーの潜在的な不満や課題・期待がカモフラージュされてしまう。

 

その企業と顧客が持つ強力なバイアスこそが「ギャップ」=「暗黙知の前提」であり、そのギャップをカスタマージャーニマップや、先述の異なったカテゴリーとの比較から導き出すのがギャップファインディング。




セミナーの内容

レクチャー

ここではブランディングや、カスタマージャーニーマップ作成のコツ、ギャップファインディングについてのレクチャーを聞く。

本記事では、ブランディングや、カスタマージャーニーマップの説明は割愛します。

 

ミッション

ここから実際にワークショップに入ります。

ペルソナであるうつ病の患者さん(40代男性)自身が期待すらできなかったギャップを埋める問題を抽出し、うつ病患者さんが笑顔になれるアイデアを考える。

 

ペルソナの読み込み〜カスタマージャーニーマップ作成

5〜6人でチームを組み、すでに用意されているペルソナのストーリーを各メンバーが頭に入れ、各プロセス毎にペルソナの感情、ゴールを書き記した付箋やカードを時系列に並べ、カスタマージャーニーマップを完成させていく。

 

ギャップファインディングの実施

ジャーニーマップから汲み取れる感情や行動の情報から、ペルソナが本当は何を求めていたのかを分析。

 

さらに別カテゴリー(分野)のイノベーションサービスが集約されたアイデア集が各チームに一時配布され、それらを参考に比較し、アイデアのヒントをみつける。

 

分析結果

ペルソナが何を求めているか?

このペルソナは、症状が出はじめた初期の段階から自分がうつ病であることをひた隠す感情を持ち、それに伴った行動を各プロセスでとっていたせいで、全てが裏目に出る泥沼の行進を歩むことになっていた。

 

そこに着目し、うつ病の予防や治療といった病気自体の対策よりも、それらをも包括した、うつ病を肯定するある種の世界観が思い浮かんできました。

 

そもそも、世間のうつ病自体に対する印象がいけないのでは?

 

「風邪を引いたので今日は会社を休みます・・」
「昨日から風邪を引いちゃってさ、まいったよ・・」
「風邪引きそうな気がする・・」

 

同じ病気なのに誰もがここまで気軽に人に主張できる病気「風邪」。

 

うつ病も、風邪のように気軽に人に打ち明けられるようにならないものか?

 

別カテゴリー(分野)との比較

主催の大伸社さんが用意してくださった膨大なアイデア集を眺めてても、限られた時間内でマッチするものが見つけられなかった。むしろ、自分の知らないイノベーションがこんなにもあるのだなと、職業柄、感心してしまっていた。

 

前段で汲み取れたように、うつ病は人々に受け入れがたい分野なのかもしれない。

 

人々に受け入れがたい分野・・・。
その分野が人々に受け入れらた過去の実例・・・。

 

僕は「オタク」が思い浮かんだ。

 

80年代、タレントの宅八郎のキャラクター性や、当時実際に起った悪質で悲しい事件により、オタクは「気持ち悪いやつ」「危ないやつ」というレッテルが貼られていた。

 

00年代に入り、2ちゃんねるや、電車男というテレビドラマや映画を中心に、オタクと呼ばれる人たちに明るいスポットが当てられ、聖地となった秋葉原を中心に様々なカルチャーが生まれる。

 

オタクは「気持ち悪いやつ」から「キモカワイイ」存在となり、やがて市民権を得て、今や先端性すら感じるようになった。

 

アイデアの創出

うつ病に対する世間のネガティブな印象を、ポジティブな世界へと変遷させることに着想してからは、オタク文化への成り立ちに照らし合わせることに限らず、様々な奇抜なアイデアがチーム内から産声を上げた。

 

ここからのスピード感はすごかったし、一番盛り上がりました。

 

その中でも僕はやっぱり、オタク文化への変遷がマッチした。さらに前述の通り、今さら語るまでもない効果の威力を兼ね備えた映画やドラマの放映という、新鮮味に欠ける施策も有りだと思いはじめました。

 

「新鮮味に欠ける」ということはある意味「確立されている」ということ。

 

プロジェクトとして進行する際、未知のプロダクトやサービスは、プロトタイピング、素早いリリース、そして評価などを繰り返す試行錯誤の開発期間がかかる。

 

プロジェクトの予算の問題は置いといての話ですが、

 

その点、映画やドラマはありきたりとも言えるけど、幾年も大衆に親しまれている媒体であるがゆえ、今さらユーザーの学習理解度(ユーザービリティテスト)の心配はないし、PRのノウハウ、制作の専門家も充実しているので、時間という資源の消費の節約ができるという見解に至った。

 

このセミナーで得たこと

ギャップファインディングのレクチャーを受けているとき、経済学者で日本大学准教授の安藤至大氏の言葉を思い出した。

 

世の中のいろいろな現象を突き詰めて考えると、一見するとまったく別のことなのに背景にあるメカニズムがよく似ている現象が見つかることなんです。

 

別の畑を覗くことが有効なのはどこかで学んだつもりではいたけど、今回のワークを通して、ギャップファインディングという確立されたフレームとして学べたのは収穫でした。

 

そしてギャップファインディングを行うには精度の高いペルソナやカスタマージャーニーマップが必要だということも(本ワークショップでのカスタマージャーニーマップ作成方法は割愛します)。

 

最後の一つは、
テクノロジーを駆使したイノベーションを起こすことにこだわる自分を取り払うことができたこと。

 

画期的なイノベーションを起こすことが目的ではなく、あくまで問題を解決することが目的なのだと。

 

今所属している組織のWebサイト上で、「手段はなんでもいい」なんてカッコつけた自分のコメントは、ただ”騙っていただけ”だったと気づき、恥ずかしい気持ちにもなってきました・・・。

 

大伸社コミュニケーションデザインさんは、多くのエクスペリエンスデザイナー、エスノグラファー、ストラテジストを擁する会社で、今回のような有用なセミナーを惜しみなく開催されています。

 

僕がクライアントだったら依頼してみたい魅力的な会社だと思いました。

 




 

『オイコノミア ぼくらの希望の経済学』で楽しく経済学が学ぶ。




 

経済学は人生の役に立つ

大学生の頃に経済学部を専攻(中退)していた社内のWebデザイナーに「経済学の授業は楽しかった?」と聞いたら、「難しくてつまらなかった」という答えが返ってきました。

 

ぼくも学生時代は経済学に対し、敷居が高い学問という印象が強かったです。

 

今までWeb制作の仕事をやってきて、当初はビジュアルデザインやコーディングといった技術面を磨くことに必死でしたが、Webに限らず制作物・成果物のクオリテイを突き詰めていくと、人によっては心理学や行動経済学などに行き着くことがあります。

 

現在はぼくも経済学に興味を持つひとりですが、きっかけはWeb制作のスキルアップのプロセスで興味を持ったのではなく、意外にもお笑い芸人が出演しているこのテレビ番組でした。

 

経済学が好きになった番組

オイコノミア
http://www4.nhk.or.jp/oikonomia/

 

オイコノミアは、2018年現在、水曜の夜22:00〜22:43にNHK Eテレで放送されているテレビ番組で、吉本興業のお笑いコンビ、ピースの又吉直樹が毎回いろいろな経済学者とともに様々なテーマを経済学的視点の角度から考察しながらわかりやすく紹介しており、毎週水曜日を楽しみにしています。

 

オイコノミアの本

2012年から続くこの番組は本も出版されており、先日再読。


オイコノミア ぼくらの希望の経済学

 

この本に登場する経済学者の先生は大竹文雄氏、安田洋祐氏、川口大司氏、安藤至大氏の4名。

 

2012年から2013年までの放送の中から、番組同様に又吉直樹と各経済学者の先生とのかたっ苦しくない対談形式になっており、12章分の話が収録されています。

 

又吉直樹のゆるい自虐的ボケと、先生方の一歩引いた絡みが微笑ましくて読んでて楽しい。

 

幸福、就活、スポーツ、携帯電話、貯金、恋愛、結婚、給料、格差、保険、少子化、最後に人生設計といった12のテーマにおいて、それぞれの行動にあらゆる盲点・やるべきことが経済学を通じて気づくことができます。

 

例えば、就活。

経済学観点での就職活動

就活と婚活は似ている

結婚は、一般的には理想の女性を求める「男性」と、同じく理想の男性を求める「女性」という関係性。

 

就活も、採用する「企業」と、採用される「求職者」の二方向の関係です。

 

これから長い付き合いとなる結婚(入社)をするには、まずは就活というデートを重ね、お互いのことをよく知り合い、結婚(採用)というゴールにたどり着く。

 

デートは主に男性が二人で楽しく過ごせるよう、そしてお互いのことを知ろうといろいろな工夫をしますが、その工夫にこそ経済学が役に立つように思います。

 

情報の非対称性

「この企業は本当に残業がないのか?」

もしくは、

「この求職者は本当に真面目に働いてくれるのか?」

片方に正しい情報の共有がなければ、当然のごとく採用は成立しません。

このように双方の持つ情報に差があることを経済学用語で「情報の非対称性」と呼ばれています。

 

チープトーク

企業は自社採用サイトや求人サイトで、良い職場環境や将来的な方針をアピールし、逆に求職者は履歴書・職務経歴書や面接などで、自己の強みをアピールします。

 

しかし、情報の非対称性問題を解消できたわけではなく、まだこの状態ではお互いが「本当のことを言っているのかな?」と完全なる信用にはつながっていません。

 

これはゲーム理論(相手の手打ちを読んで自分の得点を高くし、いかに失点を少なくするにはどうするかという理論)の専門用語チープトークにあたります。

 

シグナリング

では、どうやったら少しは信じてもらえるのか。

 

例えばWeb制作会社を志望している求職者側を例にすると、「日頃からプライベート学習をしています!」というチープトークを裏付ける行動結果を示せばいいのだと思います。

  • 資格を持っている。
  • 独自ドメインの自サイトを運営している。
  • 読んだ本や勉強会のレビューをしている。

 

など、日頃、時間とお金を消費して自己投資している証拠を提示するといった、本気度を見せることでシグナリングという効果があります。

 

まとめ

上記はほんの一例ですが、このように経済学は働き方、ビジネス、私生活など日常や未来でのあらゆる人生の選択肢にも関わってくる役に立つ学術であることがわかります。

 

最後に、残念なことに2018年3月21日(水)をもって6年間続いたオイコノミアは最終回をむかえるそうです。

 

またいつか復活してほしいし、2014年から2018年にかけて放送された内容のオイコノミアの第二弾の本も出版してほしい。

 

なにはともあれ、又吉さんや出演した経済学者さん、番組スタッフさん、大変お疲れさまでした。




 

デザイナーファーストな組織デザイン方法。どのようにマネジメントをすべきか。

デザイナーファーストな組織デザイン方法。



 

2018年3月6日(火)、デザイナーファーストな組織デザイン方法。というセミナーに行ってきました。登壇者はこの業界では有名なチームに所属する方々ばかり。

 

デザイナーファーストという言葉自体はまだ馴染めないけど、今後デザイナーが日本に増え続けて欲しいと感じています。

 

理由の一つとして、少子高齢化問題におけるシルバー・イノベーション(高齢者向け技術革新)を起こす足がかりに、デザイナーの人口増加が好ましいと個人的に思っているからです。

 

デザイナーという肩書きではなくても、デザイナー的資質を持ち合わした人や、イノベーティブな人を評価するような価値観を備えた人が増えれば、日本企業の99.7%を占める中小企業にもデザイナーの価値が浸透し、楽観的な言い方をすれば「暮らしやすい世の中」になるのでは?と予測しています。

 

そして、僕が所属する組織にもデザイナーという肩書きの人が何人も在籍していますが、デザイナーの役割を活かしきれていない実情があります。その理由は下記の通り。

 

デザイナーを活かしきれていない3つの問題

  1. 経営層・組織全体がデザイナーの価値を理解していない。
  2. デザイナー自身がデザイナーの価値を理解していない。
  3. 価値を理解していると思っている人が組織に価値を浸透しきれていない。

 

3つ目の大罪を犯しているのが、僕と相棒のWebデザイナーです。

 

上記は自分が所属する組織の話であり、一口に企業といっても、そこには業種業態や職場環境、社内政治など組織によってケースは様々。

 

このセミナーでは、業種業態、職場環境などに左右されず、どの組織においても、組織改革やチームビルディングができる万能なフレーム!といったら都合が良すぎるので、共通して応用できる基本姿勢やマネジメントの話が聞けないかと思い参加しました。

 

組織特性の違いはあれどチームビルディングの基本は同じ

チームビルディングの5つの基本

  1. そのチームは何のためにあるのかの共通認識
  2. それに向かってそれぞれがやるべきことを認識
  3. メンバー全員がGIVERマインドを持ち共創
  4. ナレッジやノウハウなどを共有してスキルアップ
  5. チャレンジを後押ししてそれぞれが強みをさらに伸ばす

 

DONGURIの熊本氏は上記を挙げ、最初は結構常識的なことかな?と聞いてましたが、各施策で行なっている内容の徹底ぶりに耳を傾け続けました。

 

なかでも、合宿を行ってミッションとビジョンを策定したことに胸をつかれる。

 

大所帯ではなかなか難しいことかも知れませんが、「そのチームは何のためにあるのか」を、「その組織は何のためにあるのか」に置き換え、共通認識を高めるべき。

 

社内wiki作成、勉強会、Slackのニュースチャンネルの活用は自社のクリエイティブ部門でも行なってきましたが、組織特性は違えど、経営層も含め部門横断で行うのが理想。

 

「デザイナー」=「情報をいい感じに色や形にするのに長けた人、よくわかんないけど面白いアイデアを出す人」で止まっている経営層・組織全体を根本から改革するにはこれぐらいやらねばならないと感じました。




 

オペレーター型のデザイナーにクリエイティブを要求し失敗

Goodpatchの長岡氏のマネジメント失敗談や、同氏とFOLIOの橋本氏の採用視点のお話はためになったけど、自分の組織にとって絶望に近い感覚に陥りました。

 

自分の組織のデザイナー自身も、デザイナーの本質・価値に気づいてなく、ビジュアルの技術とセンスを兼ね備えていますが、クライアントや代理店、営業からの伝言ゲーム的な指示を淡々と消化するオペレーター型にあたる人なので、長岡氏がその型の人にチャレンジやトライの機会を作ってあげても結局退職してしまったという悲しい事例を聞く。

そこから学んだこと

  • 組織に合わない人を採用しない
  • そういった人のために適した仕事を与える

 

自分の組織でも、最近新卒採用で入社したWebデザイナーの子は近年のデザイナーの役割をある程度心がけている部分があり、育成に力を注ぐ余地は十分にあると思いますが、古くから在籍している上記のようなオペレーター型の人の意識改革は難しいと感じた。

 

こればかりは育成に力を入れてもお互いに時間を無駄にする可能性が高いので、もっとも根本的な採用の時点でフィルタリング、もしくは適した仕事を与えながら、まわりから徐々に文化的に意識改革していくしか手立てはないのではと思いました。

 

また、長岡氏も橋本氏も採用に関しては、自身の思考やカルチャーマッチングを大事にしたリファラルリクルーティングを強化しているとのこと。

 

これからのデザイナーのあるべき姿

  • マネージャーもデザインの対象が変わっただけでデザインすることに変わりはない。
  • マネージャーは人と組織をデザインする人。
  • デザイナーも上流工程から出席すべき。
  • ビジュアルだけではなく本質的にビジネスそのものを理解する。
  • ビジネス成果にコミットするために課題解決に向き合う姿勢。
  • 技術だけではない、狭まる視点を持たない。
  • ロジカルでエモーショナルなバランスが必要。
  • 個人の得意不得意領域は必ずある。まずは一つづつの完璧を。

 

昨今、ネットや本など様々な媒体でもささやかれているように、デザイナーであるべき姿は、手だけを動かすような色や形の具現化を作業的にするだけではないと言える。

 

上記だけではなく、担当領域によってはもっと多くのことを求められていると思けど、デザイナーに担当領域とそのスキルセットを等級的に段階を踏んでもらい、フォローアップしていくことでモチベーションが保たれるようにしていく。

 

セミナーの感想

今の自分の組織にピタリとハマるフレームは当然のごとくありませんでした。

 

しかし、マネジメント経験が豊富な登壇者の方々のお話は三者(社)三様でありながらも共通した部分も多く、それぞれの組織で取り組んでいる細いことや大まかな工夫・失敗談を掻い摘んでつなぎ合わすことで、自社でも改善できる希望が見えました。

 

皆が共通認識を持ち、楽しく成長していけるカルチャーを作ること。

 

さらに自分でも感じていたこと・実行していたことを再認識できたこと。

 

試行錯誤することを怠らず、トライアンドエラーを繰り返すことで、広範囲から組織をデザインし、デザイナーや経営層と引きも切らず接していくことで、デザイナーファーストな組織へと成長するのではとまとまった。




 

ユーザーに行動を促す『ザ・マイクロコピー Webコピーライティングの新常識』




 

昨年、SNS上でお世話になっているWebディレクターの方が紹介していたザ・マイクロコピーという本を読んでみて、サイト制作の参考になった。

 

文字伝達情報である「コピー」は、様々な広告やWebサイト上に見られるけど、「マイクロコピー」とはどの部分にあたるのか。

 

マイクロコピーは、主にアプリやWebサイト内のボタン上やボタン付近といったCTAまわり、入力フォーム内などにあるユーザーに重要な行動を促すための少ない文字。

 

この本は、サイトのコンバージョンに左右するそういった細部のコピーライティングのノウハウを、数々のマイクロコピーの実践・ABテストをおこなって結果を出してきた著者の株式会社オレコンの山本琢磨氏が、豊富な事例と多くの図版を使用し、やさしく専門的に紹介している。


Webコピーライティングの新常識 ザ・マイクロコピー

 

たった数文字にユーザーのコンテキストを考える。

一時期、ランディングページ制作においてコンバージョンポイント、コンバージョンエリアなどと呼ばれているエリアのデザインを研究していた時は、ボタンの大きさ、色や形、ボタンまわりの装飾や出現のタイミングといったことばかりに気をとられていました。

 

ユーザーの不安、懸念、疑問、迷いを払ってあげる、ちょっとした文章をCTAに添える、もしくはリライトすることでユーザーの行動は劇的に変わる。

 

コストがかかるデザイン変更や、HTML再構築といった改善実装の前に、ユーザーの前後関係、状況を見直した、たった数文字のリライトや文言追加で結果が変わるのがマイクロコピーの特徴だと思った。

 

マイクロコピーの力が発揮できるのはCTAまわりだけではない。

商品注文、問い合わせ、会員獲得といったところだけではなく、メニューやナビゲーション、ローディング画面、メール内などにも、その状況において適切な”思いやりの語りかけ”が有効。

 

わかりやすかったのが404ページのカスタム。404ページは、ユーザーが目的のページにたどり着けなかった際に「お探しのページは見つかりませんでした」と表示される、あの残念なイメージのページ。

 

ページが見つからないことを伝えるという常識的なことだけではなく、コンテンツにたどり着けなかったユーザーに対し、そこで行き止まりにさせないようにトップページリンク、サイト内検索、商品一覧といった道を作り、そしてモチベーションダウンさせない協力的な姿勢を示したコピーでインタラクションにつなげる。

 

上記のように、直帰率を下げるために404ページに工夫をこらすSEOテクニックが存在しますが、ここでの手法がマイクロコピーとの結びつきが強いことが証明されていた。

 

細部までこだわってナンボ。
何かしらの結果を出すUIとして機能しなければならないWebサイトの制作者に大変おすすめ。