去年入社したばかりの新卒Webデザイナーの女の子から借りてきた本。
約一年前の入社当初は、業務向上のために率先して本を読む子ではなかったのだが、彼女が未経験からWebデザイナーになって自主的に自分で選んで買って読んだ記念すべき一冊目。
タイトルを見せてもらった時に、
「まさか、僕のせいでモチベーションが下がっているのか!?」
と焦ったのだが、モロな自己啓発系の本というよりは、行動経済学と認知心理学の観点からあらゆるビジネスシーンをモチベーションというテーマに沿ってフォーカスした実用書でした。
とにかく読みやすい
本文は黄と紺の二色刷りで、堅苦しくない文章表現。
Web制作業界でも人気があるダン・アリエリー、ダニエル・カーネマン、ダニエル・ピンクといった学者・研究者の著書に書かれている実験結果を抜粋し、図解と、端的な結論と、編著者の説得色のある解釈が要約されている構成。
他人や自分に関聯する感情のメカニズムを1〜2ページづつ断片的に簡略にまとめてあるので、読み進めていく上でモチベーションが下がらぬままスラスラ読めてしまう。
てっとり早く理解しやすい内容なので、ハンドブックとして持ち歩きたいと思いました。
いろいろな場面で役に立つ
モチベーションというと、やる気や動機といった、人が行動を起こすために必要な原動力みたいなことが思い浮かびますが、もっと深く解釈すると、そこには大小様々な問題解決のための予防策やスムーズな対処にも発揮するのだと思いました。
そして、ビジネスシーンにおいての自分が関わる様々なこと。
「上司や部下とのコミュニケーション」、「顧客との交渉」、「捗らない会議の場面」、「チームビルディング」、「リーダーシップ」、「アイデア・発想法」、そして「自己管理」。
さらに、Webデザイナーにとって強みとなるであろう人間の行動パターンの知見も得られます。
本書の章立て
【CAPTER1】
動機づけのモデルケース
【CAPTER2】
人材育成のモデルケース
【CAPTER3】
目標設定のモデルケース
【CAPTER4】
意思決定のモデルケース
【CAPTER5】
人脈作りのモデルケース
【CAPTER6】
自己管理のモデルケース
【CAPTER7】
発想転換のモデルケース
感想・まとめ
Web制作、Webデザインの仕事をしていると、人によっては行動経済学や認知化学、認知心理学などに行き着きます。
今期、彼女にはコーディングやデザインなどの技術面やセンスを磨いてもらいつつ、Web制作のエッセンス、マーケティングやUXデザインの必要性、プロジェクト意識、チーム行動の重要性などを経験してきた中で選んだ一冊として納得しました。
行動経済学や心理学系の専門書は難しかったりするけど(もちろん読みやすい本もある)、巻末で紹介している有用な参考文献も多いし、この分野への興味をより高め、深掘りしていく入門書としての役割も持ちます。
僕は前述の行動経済学者の著書は大体読んでいますが、だいぶ昔にインプットしたきり記憶が薄れていることに気づき、今一度再読して、今後はアレンジとアウトプットをしていこうと思いました。