心に響くイラストレーターの宝庫『クリエイターEXPO』




 

2018年4月4日、自チームのプロジェクトマネージャーとデザイナーの3人でコンテンツ東京2018に行ってきました。

 

クリエイターEXPOを含むコンテンツ東京とは。

東京ビッグサイトで定期的に開催されているリードエグジビションジャパン主宰の超巨大なイベント。

 

うちの会社に毎年招待券が届くので、仕事の合間を縫ってよく足を運ぶイベントのひとつ。

 

僕らも以前、自チームでWebやサイネージといったデジタルコンテンツソリューションを売りに出展した経験がありますが、ターゲット層とマッチすれば名刺交換は入れ食い状態になります。

 

コンテンツ東京内は『コンテンツマーケティングEXPO』『先端デジタルテクノロジー展』『グラフィックデザインEXPO』『AI・人工知能EXPO』などなど企業の宣伝・販促・業務効率化に貢献する多数の企業やフリーランサーが自社の製品やサービスを出展しており、また無料のセミナー講演なども行われているので、僕ら受託業社としては市場調査や情報収集の場にもなっています。

 

今回、個人的に期待していたブロックチェーンを生かしたビジネスを提供する企業が見受けられなかったのが残念。。。




 

様々なクリエイターが集結するクリエイターEXPO。

コンテンツ東京内はクリエイターEXPOという盛んなエリアもあり、主にフリーのイラストレーター、デザイナー、写真家、ゲームクリエイター、絵本作家さんなどが狭いスペースでブースを設けており、お祭りの露店通りのように密集しているストリートがある。

 

もう何年も行ってませんが、デザフェスよりもクリエイターEXPOは個人的にビジネス主体に感じます。

 

僕は写真よりもイラストを起用したWebデザインや企画が好きなので、市場調査や情報収集以外にパートナーとしてデザイナーさんやイラストレーターさんを探すのも目的としています。

 

ネット上でも素晴らしいイラストレーターさんを見つけるのは安易な時代になったけど、その場で直接イラストを目で見て、接してみて、商談までできることにクリエイターEXPOの魅力を感じます。

 

出展されている方々は基本的に技術が高い。

 

その中でどうしても自分好みのイラストに目が止まってしまいがちですが、あくまでプロジェクトのメンバー、ビジネスパートナーとして、近々で動きそうな企画や、今後想定される案件のブランディング戦略にマッチするかを判断基準としてマークしています。

 

当初、『クリエイターEXPOで気になったイラストレーター』として、今回気になったイラストレーターの方々を本投稿にまとめて紹介しようと書き進めていましたが、かなりの文字量となってしまったので、いずれ別々に紹介することにしました。

 

そういえば、クリエイターEXPOを含めコンテンツ東京は初日の午前中が空いているので、じっくりハンティングするならこの時間帯を狙うのがおすすめです。




 

企業と顧客の暗黙知の前提を導き出すギャップファインディング




 

UXにおいてバイアスを払い、コンテキストを理解し、ユーザーのインサイトを知ることは主眼点となっています。

 

ユーザーの真の欲求を検出し、問題を解決するために活用するカスタマージャーニーマップ。それにくわえて、ギャップファインディングという手法がとても興味深かったです。

 

それは、ユーザーの潜在価値を見いだしマーケティングをしていくうえでも効果的な手法なのだと先日参加したワークで実感しました。

 

B2Bブランディングセミナー 活用できるカスタマージャーニーの作り方~ギャップファインディングというアプローチ~

主催:株式会社 大伸社コミュニケーションデザイン

 

ギャップファインディングとは

異なった分野と比較し、アイデアを得る。

 

このセミナーでわかりやすく例に出されていたのは、救急医療のシーンとF1のピットインのシーン。

救急医療

F1のピットイン

 

目的と対象が違うまったく別の分野でも、こうやって見ると、どこか相似していることに気づきます。

 

問題に直面している事柄と、共通・相似したすでに成功をおさめている事柄とを照らし合わせることにより、ピタリと前者に後者の成功法が当てはまる可能性があるのでは。

 

ギャップとは

ギャップファインディングを実施するうえで、「ギャップ」=「暗黙知の前提」を理解する。

 

企業も顧客も、商品やサービスの既存の「仕組み」「形状」「存在価値」が当たり前の現状だと思い込んでいることが多い。よって、その商品やサービスを利用しているユーザーの潜在的な不満や課題・期待がカモフラージュされてしまう。

 

その企業と顧客が持つ強力なバイアスこそが「ギャップ」=「暗黙知の前提」であり、そのギャップをカスタマージャーニマップや、先述の異なったカテゴリーとの比較から導き出すのがギャップファインディング。




セミナーの内容

レクチャー

ここではブランディングや、カスタマージャーニーマップ作成のコツ、ギャップファインディングについてのレクチャーを聞く。

本記事では、ブランディングや、カスタマージャーニーマップの説明は割愛します。

 

ミッション

ここから実際にワークショップに入ります。

ペルソナであるうつ病の患者さん(40代男性)自身が期待すらできなかったギャップを埋める問題を抽出し、うつ病患者さんが笑顔になれるアイデアを考える。

 

ペルソナの読み込み〜カスタマージャーニーマップ作成

5〜6人でチームを組み、すでに用意されているペルソナのストーリーを各メンバーが頭に入れ、各プロセス毎にペルソナの感情、ゴールを書き記した付箋やカードを時系列に並べ、カスタマージャーニーマップを完成させていく。

 

ギャップファインディングの実施

ジャーニーマップから汲み取れる感情や行動の情報から、ペルソナが本当は何を求めていたのかを分析。

 

さらに別カテゴリー(分野)のイノベーションサービスが集約されたアイデア集が各チームに一時配布され、それらを参考に比較し、アイデアのヒントをみつける。

 

分析結果

ペルソナが何を求めているか?

このペルソナは、症状が出はじめた初期の段階から自分がうつ病であることをひた隠す感情を持ち、それに伴った行動を各プロセスでとっていたせいで、全てが裏目に出る泥沼の行進を歩むことになっていた。

 

そこに着目し、うつ病の予防や治療といった病気自体の対策よりも、それらをも包括した、うつ病を肯定するある種の世界観が思い浮かんできました。

 

そもそも、世間のうつ病自体に対する印象がいけないのでは?

 

「風邪を引いたので今日は会社を休みます・・」
「昨日から風邪を引いちゃってさ、まいったよ・・」
「風邪引きそうな気がする・・」

 

同じ病気なのに誰もがここまで気軽に人に主張できる病気「風邪」。

 

うつ病も、風邪のように気軽に人に打ち明けられるようにならないものか?

 

別カテゴリー(分野)との比較

主催の大伸社さんが用意してくださった膨大なアイデア集を眺めてても、限られた時間内でマッチするものが見つけられなかった。むしろ、自分の知らないイノベーションがこんなにもあるのだなと、職業柄、感心してしまっていた。

 

前段で汲み取れたように、うつ病は人々に受け入れがたい分野なのかもしれない。

 

人々に受け入れがたい分野・・・。
その分野が人々に受け入れらた過去の実例・・・。

 

僕は「オタク」が思い浮かんだ。

 

80年代、タレントの宅八郎のキャラクター性や、当時実際に起った悪質で悲しい事件により、オタクは「気持ち悪いやつ」「危ないやつ」というレッテルが貼られていた。

 

00年代に入り、2ちゃんねるや、電車男というテレビドラマや映画を中心に、オタクと呼ばれる人たちに明るいスポットが当てられ、聖地となった秋葉原を中心に様々なカルチャーが生まれる。

 

オタクは「気持ち悪いやつ」から「キモカワイイ」存在となり、やがて市民権を得て、今や先端性すら感じるようになった。

 

アイデアの創出

うつ病に対する世間のネガティブな印象を、ポジティブな世界へと変遷させることに着想してからは、オタク文化への成り立ちに照らし合わせることに限らず、様々な奇抜なアイデアがチーム内から産声を上げた。

 

ここからのスピード感はすごかったし、一番盛り上がりました。

 

その中でも僕はやっぱり、オタク文化への変遷がマッチした。さらに前述の通り、今さら語るまでもない効果の威力を兼ね備えた映画やドラマの放映という、新鮮味に欠ける施策も有りだと思いはじめました。

 

「新鮮味に欠ける」ということはある意味「確立されている」ということ。

 

プロジェクトとして進行する際、未知のプロダクトやサービスは、プロトタイピング、素早いリリース、そして評価などを繰り返す試行錯誤の開発期間がかかる。

 

プロジェクトの予算の問題は置いといての話ですが、

 

その点、映画やドラマはありきたりとも言えるけど、幾年も大衆に親しまれている媒体であるがゆえ、今さらユーザーの学習理解度(ユーザービリティテスト)の心配はないし、PRのノウハウ、制作の専門家も充実しているので、時間という資源の消費の節約ができるという見解に至った。

 

このセミナーで得たこと

ギャップファインディングのレクチャーを受けているとき、経済学者で日本大学准教授の安藤至大氏の言葉を思い出した。

 

世の中のいろいろな現象を突き詰めて考えると、一見するとまったく別のことなのに背景にあるメカニズムがよく似ている現象が見つかることなんです。

 

別の畑を覗くことが有効なのはどこかで学んだつもりではいたけど、今回のワークを通して、ギャップファインディングという確立されたフレームとして学べたのは収穫でした。

 

そしてギャップファインディングを行うには精度の高いペルソナやカスタマージャーニーマップが必要だということも(本ワークショップでのカスタマージャーニーマップ作成方法は割愛します)。

 

最後の一つは、
テクノロジーを駆使したイノベーションを起こすことにこだわる自分を取り払うことができたこと。

 

画期的なイノベーションを起こすことが目的ではなく、あくまで問題を解決することが目的なのだと。

 

今所属している組織のWebサイト上で、「手段はなんでもいい」なんてカッコつけた自分のコメントは、ただ”騙っていただけ”だったと気づき、恥ずかしい気持ちにもなってきました・・・。

 

大伸社コミュニケーションデザインさんは、多くのエクスペリエンスデザイナー、エスノグラファー、ストラテジストを擁する会社で、今回のような有用なセミナーを惜しみなく開催されています。

 

僕がクライアントだったら依頼してみたい魅力的な会社だと思いました。

 




 

『オイコノミア ぼくらの希望の経済学』で楽しく経済学が学ぶ。




 

経済学は人生の役に立つ

大学生の頃に経済学部を専攻(中退)していた社内のWebデザイナーに「経済学の授業は楽しかった?」と聞いたら、「難しくてつまらなかった」という答えが返ってきました。

 

ぼくも学生時代は経済学に対し、敷居が高い学問という印象が強かったです。

 

今までWeb制作の仕事をやってきて、当初はビジュアルデザインやコーディングといった技術面を磨くことに必死でしたが、Webに限らず制作物・成果物のクオリテイを突き詰めていくと、人によっては心理学や行動経済学などに行き着くことがあります。

 

現在はぼくも経済学に興味を持つひとりですが、きっかけはWeb制作のスキルアップのプロセスで興味を持ったのではなく、意外にもお笑い芸人が出演しているこのテレビ番組でした。

 

経済学が好きになった番組

オイコノミア
http://www4.nhk.or.jp/oikonomia/

 

オイコノミアは、2018年現在、水曜の夜22:00〜22:43にNHK Eテレで放送されているテレビ番組で、吉本興業のお笑いコンビ、ピースの又吉直樹が毎回いろいろな経済学者とともに様々なテーマを経済学的視点の角度から考察しながらわかりやすく紹介しており、毎週水曜日を楽しみにしています。

 

オイコノミアの本

2012年から続くこの番組は本も出版されており、先日再読。


オイコノミア ぼくらの希望の経済学

 

この本に登場する経済学者の先生は大竹文雄氏、安田洋祐氏、川口大司氏、安藤至大氏の4名。

 

2012年から2013年までの放送の中から、番組同様に又吉直樹と各経済学者の先生とのかたっ苦しくない対談形式になっており、12章分の話が収録されています。

 

又吉直樹のゆるい自虐的ボケと、先生方の一歩引いた絡みが微笑ましくて読んでて楽しい。

 

幸福、就活、スポーツ、携帯電話、貯金、恋愛、結婚、給料、格差、保険、少子化、最後に人生設計といった12のテーマにおいて、それぞれの行動にあらゆる盲点・やるべきことが経済学を通じて気づくことができます。

 

例えば、就活。

経済学観点での就職活動

就活と婚活は似ている

結婚は、一般的には理想の女性を求める「男性」と、同じく理想の男性を求める「女性」という関係性。

 

就活も、採用する「企業」と、採用される「求職者」の二方向の関係です。

 

これから長い付き合いとなる結婚(入社)をするには、まずは就活というデートを重ね、お互いのことをよく知り合い、結婚(採用)というゴールにたどり着く。

 

デートは主に男性が二人で楽しく過ごせるよう、そしてお互いのことを知ろうといろいろな工夫をしますが、その工夫にこそ経済学が役に立つように思います。

 

情報の非対称性

「この企業は本当に残業がないのか?」

もしくは、

「この求職者は本当に真面目に働いてくれるのか?」

片方に正しい情報の共有がなければ、当然のごとく採用は成立しません。

このように双方の持つ情報に差があることを経済学用語で「情報の非対称性」と呼ばれています。

 

チープトーク

企業は自社採用サイトや求人サイトで、良い職場環境や将来的な方針をアピールし、逆に求職者は履歴書・職務経歴書や面接などで、自己の強みをアピールします。

 

しかし、情報の非対称性問題を解消できたわけではなく、まだこの状態ではお互いが「本当のことを言っているのかな?」と完全なる信用にはつながっていません。

 

これはゲーム理論(相手の手打ちを読んで自分の得点を高くし、いかに失点を少なくするにはどうするかという理論)の専門用語チープトークにあたります。

 

シグナリング

では、どうやったら少しは信じてもらえるのか。

 

例えばWeb制作会社を志望している求職者側を例にすると、「日頃からプライベート学習をしています!」というチープトークを裏付ける行動結果を示せばいいのだと思います。

  • 資格を持っている。
  • 独自ドメインの自サイトを運営している。
  • 読んだ本や勉強会のレビューをしている。

 

など、日頃、時間とお金を消費して自己投資している証拠を提示するといった、本気度を見せることでシグナリングという効果があります。

 

まとめ

上記はほんの一例ですが、このように経済学は働き方、ビジネス、私生活など日常や未来でのあらゆる人生の選択肢にも関わってくる役に立つ学術であることがわかります。

 

最後に、残念なことに2018年3月21日(水)をもって6年間続いたオイコノミアは最終回をむかえるそうです。

 

またいつか復活してほしいし、2014年から2018年にかけて放送された内容のオイコノミアの第二弾の本も出版してほしい。

 

なにはともあれ、又吉さんや出演した経済学者さん、番組スタッフさん、大変お疲れさまでした。




 

デザイナーファーストな組織デザイン方法。どのようにマネジメントをすべきか。

デザイナーファーストな組織デザイン方法。



 

2018年3月6日(火)、デザイナーファーストな組織デザイン方法。というセミナーに行ってきました。登壇者はこの業界では有名なチームに所属する方々ばかり。

 

デザイナーファーストという言葉自体はまだ馴染めないけど、今後デザイナーが日本に増え続けて欲しいと感じています。

 

理由の一つとして、少子高齢化問題におけるシルバー・イノベーション(高齢者向け技術革新)を起こす足がかりに、デザイナーの人口増加が好ましいと個人的に思っているからです。

 

デザイナーという肩書きではなくても、デザイナー的資質を持ち合わした人や、イノベーティブな人を評価するような価値観を備えた人が増えれば、日本企業の99.7%を占める中小企業にもデザイナーの価値が浸透し、楽観的な言い方をすれば「暮らしやすい世の中」になるのでは?と予測しています。

 

そして、僕が所属する組織にもデザイナーという肩書きの人が何人も在籍していますが、デザイナーの役割を活かしきれていない実情があります。その理由は下記の通り。

 

デザイナーを活かしきれていない3つの問題

  1. 経営層・組織全体がデザイナーの価値を理解していない。
  2. デザイナー自身がデザイナーの価値を理解していない。
  3. 価値を理解していると思っている人が組織に価値を浸透しきれていない。

 

3つ目の大罪を犯しているのが、僕と相棒のWebデザイナーです。

 

上記は自分が所属する組織の話であり、一口に企業といっても、そこには業種業態や職場環境、社内政治など組織によってケースは様々。

 

このセミナーでは、業種業態、職場環境などに左右されず、どの組織においても、組織改革やチームビルディングができる万能なフレーム!といったら都合が良すぎるので、共通して応用できる基本姿勢やマネジメントの話が聞けないかと思い参加しました。

 

組織特性の違いはあれどチームビルディングの基本は同じ

チームビルディングの5つの基本

  1. そのチームは何のためにあるのかの共通認識
  2. それに向かってそれぞれがやるべきことを認識
  3. メンバー全員がGIVERマインドを持ち共創
  4. ナレッジやノウハウなどを共有してスキルアップ
  5. チャレンジを後押ししてそれぞれが強みをさらに伸ばす

 

DONGURIの熊本氏は上記を挙げ、最初は結構常識的なことかな?と聞いてましたが、各施策で行なっている内容の徹底ぶりに耳を傾け続けました。

 

なかでも、合宿を行ってミッションとビジョンを策定したことに胸をつかれる。

 

大所帯ではなかなか難しいことかも知れませんが、「そのチームは何のためにあるのか」を、「その組織は何のためにあるのか」に置き換え、共通認識を高めるべき。

 

社内wiki作成、勉強会、Slackのニュースチャンネルの活用は自社のクリエイティブ部門でも行なってきましたが、組織特性は違えど、経営層も含め部門横断で行うのが理想。

 

「デザイナー」=「情報をいい感じに色や形にするのに長けた人、よくわかんないけど面白いアイデアを出す人」で止まっている経営層・組織全体を根本から改革するにはこれぐらいやらねばならないと感じました。




 

オペレーター型のデザイナーにクリエイティブを要求し失敗

Goodpatchの長岡氏のマネジメント失敗談や、同氏とFOLIOの橋本氏の採用視点のお話はためになったけど、自分の組織にとって絶望に近い感覚に陥りました。

 

自分の組織のデザイナー自身も、デザイナーの本質・価値に気づいてなく、ビジュアルの技術とセンスを兼ね備えていますが、クライアントや代理店、営業からの伝言ゲーム的な指示を淡々と消化するオペレーター型にあたる人なので、長岡氏がその型の人にチャレンジやトライの機会を作ってあげても結局退職してしまったという悲しい事例を聞く。

そこから学んだこと

  • 組織に合わない人を採用しない
  • そういった人のために適した仕事を与える

 

自分の組織でも、最近新卒採用で入社したWebデザイナーの子は近年のデザイナーの役割をある程度心がけている部分があり、育成に力を注ぐ余地は十分にあると思いますが、古くから在籍している上記のようなオペレーター型の人の意識改革は難しいと感じた。

 

こればかりは育成に力を入れてもお互いに時間を無駄にする可能性が高いので、もっとも根本的な採用の時点でフィルタリング、もしくは適した仕事を与えながら、まわりから徐々に文化的に意識改革していくしか手立てはないのではと思いました。

 

また、長岡氏も橋本氏も採用に関しては、自身の思考やカルチャーマッチングを大事にしたリファラルリクルーティングを強化しているとのこと。

 

これからのデザイナーのあるべき姿

  • マネージャーもデザインの対象が変わっただけでデザインすることに変わりはない。
  • マネージャーは人と組織をデザインする人。
  • デザイナーも上流工程から出席すべき。
  • ビジュアルだけではなく本質的にビジネスそのものを理解する。
  • ビジネス成果にコミットするために課題解決に向き合う姿勢。
  • 技術だけではない、狭まる視点を持たない。
  • ロジカルでエモーショナルなバランスが必要。
  • 個人の得意不得意領域は必ずある。まずは一つづつの完璧を。

 

昨今、ネットや本など様々な媒体でもささやかれているように、デザイナーであるべき姿は、手だけを動かすような色や形の具現化を作業的にするだけではないと言える。

 

上記だけではなく、担当領域によってはもっと多くのことを求められていると思けど、デザイナーに担当領域とそのスキルセットを等級的に段階を踏んでもらい、フォローアップしていくことでモチベーションが保たれるようにしていく。

 

セミナーの感想

今の自分の組織にピタリとハマるフレームは当然のごとくありませんでした。

 

しかし、マネジメント経験が豊富な登壇者の方々のお話は三者(社)三様でありながらも共通した部分も多く、それぞれの組織で取り組んでいる細いことや大まかな工夫・失敗談を掻い摘んでつなぎ合わすことで、自社でも改善できる希望が見えました。

 

皆が共通認識を持ち、楽しく成長していけるカルチャーを作ること。

 

さらに自分でも感じていたこと・実行していたことを再認識できたこと。

 

試行錯誤することを怠らず、トライアンドエラーを繰り返すことで、広範囲から組織をデザインし、デザイナーや経営層と引きも切らず接していくことで、デザイナーファーストな組織へと成長するのではとまとまった。




 

ユーザーに行動を促す『ザ・マイクロコピー Webコピーライティングの新常識』




 

昨年、SNS上でお世話になっているWebディレクターの方が紹介していたザ・マイクロコピーという本を読んでみて、サイト制作の参考になった。

 

文字伝達情報である「コピー」は、様々な広告やWebサイト上に見られるけど、「マイクロコピー」とはどの部分にあたるのか。

 

マイクロコピーは、主にアプリやWebサイト内のボタン上やボタン付近といったCTAまわり、入力フォーム内などにあるユーザーに重要な行動を促すための少ない文字。

 

この本は、サイトのコンバージョンに左右するそういった細部のコピーライティングのノウハウを、数々のマイクロコピーの実践・ABテストをおこなって結果を出してきた著者の株式会社オレコンの山本琢磨氏が、豊富な事例と多くの図版を使用し、やさしく専門的に紹介している。


Webコピーライティングの新常識 ザ・マイクロコピー

 

たった数文字にユーザーのコンテキストを考える。

一時期、ランディングページ制作においてコンバージョンポイント、コンバージョンエリアなどと呼ばれているエリアのデザインを研究していた時は、ボタンの大きさ、色や形、ボタンまわりの装飾や出現のタイミングといったことばかりに気をとられていました。

 

ユーザーの不安、懸念、疑問、迷いを払ってあげる、ちょっとした文章をCTAに添える、もしくはリライトすることでユーザーの行動は劇的に変わる。

 

コストがかかるデザイン変更や、HTML再構築といった改善実装の前に、ユーザーの前後関係、状況を見直した、たった数文字のリライトや文言追加で結果が変わるのがマイクロコピーの特徴だと思った。

 

マイクロコピーの力が発揮できるのはCTAまわりだけではない。

商品注文、問い合わせ、会員獲得といったところだけではなく、メニューやナビゲーション、ローディング画面、メール内などにも、その状況において適切な”思いやりの語りかけ”が有効。

 

わかりやすかったのが404ページのカスタム。404ページは、ユーザーが目的のページにたどり着けなかった際に「お探しのページは見つかりませんでした」と表示される、あの残念なイメージのページ。

 

ページが見つからないことを伝えるという常識的なことだけではなく、コンテンツにたどり着けなかったユーザーに対し、そこで行き止まりにさせないようにトップページリンク、サイト内検索、商品一覧といった道を作り、そしてモチベーションダウンさせない協力的な姿勢を示したコピーでインタラクションにつなげる。

 

上記のように、直帰率を下げるために404ページに工夫をこらすSEOテクニックが存在しますが、ここでの手法がマイクロコピーとの結びつきが強いことが証明されていた。

 

細部までこだわってナンボ。
何かしらの結果を出すUIとして機能しなければならないWebサイトの制作者に大変おすすめ。




 

仕組みがわかりやすい『入門 ビットコインとブロックチェーン』




 

仮想通貨、ビットコイン、そしてブロックチェーン。

 

数年前からこれらのワードを目にして折々ネットで調べてはいたけど、この分野の書籍はちゃんと読んだことがなかった。

 

入門書として、広く・わかりやすく・素早く知識が得られる本書を読んでみました。

 

入門 ビットコインとブロックチェーン (PHPビジネス新書)

 

  • ビットコインとは?
  • ビットコインはどうやって持つ?
  • どのように運営されている?
  • 電子マネーと何が違う?
  • 仮想通貨は安全なのか?
  • 仮想通貨とセットでよく聞くブロックチェーンとは?
  • ブロックチェーンはなぜ改ざんされないのか?

 

以上のような、最近この分野に関心を持った人が気になるテーマが、各事項Q&A方式でやさしくわかりやすく端的にまとめられており、この分野の基本を明快に押さえることができます。

 

ビットコインを代表的な事例に、仮想通貨やブロックチェーンの基本的な概念・仕組みが体系的に学べるだけでなく、今後それらが作り出す新しい世の中への課題と希望も解説されています。

 

仮想通貨、ブロックチェーンの基礎知識、後半はフィンテック、シェアリングエコノミー、予測市場、さらにスマートコントラクトやDAOといった未来の社会についても触れており、やさしくわかりやすくまとめられているとはいえ、新たな経済、働き方、生活の世界へ、すでに突入していることに気づかされます。

 

当初は仮想通貨に一番の関心があって読みやすそうな本書を手に取りましたが、着目すべきは仮想通貨の投資・投機ではなく、画期的な送金手段である仮想通貨の基幹技術そのもの「ブロックチェーン」なのだと、読了後に認識できたことが大の収穫でした。

 

読了後、とても良い意味で物足りなさを感じたので、入門書としてぴったりでした。

 

もう少しこの分野の知見を広げ、まずは仮想通貨を体験してみて、ブロックチェーンの内部まで触ってみたいと思いはじめました。




 

未経験Webデザイナーが教えてくれた『図解 モチベーション大百科』




 

去年入社したばかりの新卒Webデザイナーの女の子から借りてきた本。

 

約一年前の入社当初は、業務向上のために率先して本を読む子ではなかったのだが、彼女が未経験からWebデザイナーになって自主的に自分で選んで買って読んだ記念すべき一冊目。

 

タイトルを見せてもらった時に、

「まさか、僕のせいでモチベーションが下がっているのか!?」

と焦ったのだが、モロな自己啓発系の本というよりは、行動経済学と認知心理学の観点からあらゆるビジネスシーンをモチベーションというテーマに沿ってフォーカスした実用書でした。

 

とにかく読みやすい

本文は黄と紺の二色刷りで、堅苦しくない文章表現。

 

Web制作業界でも人気があるダン・アリエリー、ダニエル・カーネマン、ダニエル・ピンクといった学者・研究者の著書に書かれている実験結果を抜粋し、図解と、端的な結論と、編著者の説得色のある解釈が要約されている構成。

 

他人や自分に関聯する感情のメカニズムを1〜2ページづつ断片的に簡略にまとめてあるので、読み進めていく上でモチベーションが下がらぬままスラスラ読めてしまう。

 

てっとり早く理解しやすい内容なので、ハンドブックとして持ち歩きたいと思いました。

 

いろいろな場面で役に立つ

モチベーションというと、やる気や動機といった、人が行動を起こすために必要な原動力みたいなことが思い浮かびますが、もっと深く解釈すると、そこには大小様々な問題解決のための予防策やスムーズな対処にも発揮するのだと思いました。

 

そして、ビジネスシーンにおいての自分が関わる様々なこと。

「上司や部下とのコミュニケーション」、「顧客との交渉」、「捗らない会議の場面」、「チームビルディング」、「リーダーシップ」、「アイデア・発想法」、そして「自己管理」。

さらに、Webデザイナーにとって強みとなるであろう人間の行動パターンの知見も得られます。

 

本書の章立て

【CAPTER1】
動機づけのモデルケース

【CAPTER2】
人材育成のモデルケース

【CAPTER3】
目標設定のモデルケース

【CAPTER4】
意思決定のモデルケース

【CAPTER5】
人脈作りのモデルケース

【CAPTER6】
自己管理のモデルケース

【CAPTER7】
発想転換のモデルケース

 

図解 モチベーション大百科

 

感想・まとめ

Web制作、Webデザインの仕事をしていると、人によっては行動経済学や認知化学、認知心理学などに行き着きます。

 

今期、彼女にはコーディングやデザインなどの技術面やセンスを磨いてもらいつつ、Web制作のエッセンス、マーケティングやUXデザインの必要性、プロジェクト意識、チーム行動の重要性などを経験してきた中で選んだ一冊として納得しました。

 

行動経済学や心理学系の専門書は難しかったりするけど(もちろん読みやすい本もある)、巻末で紹介している有用な参考文献も多いし、この分野への興味をより高め、深掘りしていく入門書としての役割も持ちます。

 

僕は前述の行動経済学者の著書は大体読んでいますが、だいぶ昔にインプットしたきり記憶が薄れていることに気づき、今一度再読して、今後はアレンジとアウトプットをしていこうと思いました。




 

Webディレクターが読んだ2017年に出版された本




 

本は年間に何十冊も何百冊も読んではいませんが、Webディレクターという職業柄のせいか、ディレクション、UX関連、デザイン、ライティング、チューニング、コミュニケーション、思考法など、気づいたら多岐にわたるジャンルの本に手をとりました。

 

その中から、今年2017年に出版され、読んでみた本をまとめてみました(順不同)。

 

Webディレクターが読んだ2017年出版された本

 


Webディレクションの新・標準ルール 現場の効率をアップする最新ワークフローとマネジメント

デザイナ同様、数年前に比べてWebディレクターの守備範囲が広がったように思えます。

しかし、もっとも心がけるエッセンスは昔から依然変わっていないようです。

重要なのはマネジメントとコミュニケーション。

この本ではWebディレクターが担うべき最新の標準ルールを知ることができ、もちろん基本的なことを知ることができます。

これからWebディレクターを志す人や、最近の動向を確かめる理由ですでにWebディレクターをやっている人が読んでも有用。

 

 


デザインの次に来るもの

日本でも話題になった「デザイン思考」以外の考え「意味のイノベーション」の価値が紹介されています。

また、デザインの黎明期から、ヨーロッパを中心に近年のデザイン・デザイナーの定義についても触れており、ビジネスにおいてデザイン・デザイナーの重要性を知ることができます。

 

 


Webフロントエンド ハイパフォーマンス チューニング

ディレクターになってから技術書を購入することはめっきり減りましたが、それでもWeb制作に携わる人間としてはWebサイトのパフォーマンス向上の知識を持ち合わすことは大事。

計測ツールの使用方法、JS、CSSのチューニングテクニックなど、Webサイトを幅広く網羅されている。

 

 


逆説のスタートアップ思考 (中公新書ラクレ 578)

スタートアップの正しい解説に始まり、その本質が「逆説」や「反直観的」という言葉の中に隠されています。

ベンチャーと混同している人にとっても、スタートアップの正しい解説から始まるので、起業家でない人でも、著者が主張する素晴らしいスタートアップ思考への理解が深まると思います。

また、UXの考え方に近い、CS(カスタマーサクセス)の重要性についても言及されています。

 

 


発想法 改版 – 創造性開発のために (中公新書)

ブレストなどによって導き出された多くの発想を整序して、問題解決に結びつけていくための手法、KJ法の本。

KJ法は、文化人類学者であり、著者の川喜田二郎のイニシャルから取られた世界中で活用されている。

新版ではないが、続・発想法にも続く。

 

 


未来の年表 人口減少日本でこれから起きること (講談社現代新書)

今、世界中が注目している日本の少子高齢化問題。

仕事上での提案やアイデア発想のネタ探しとして購入して読んだものの、あまりの深刻な状況に絶句した。

「自分も日本のためになにかをしなければならない」という気持ちのさせられた。

 

 


大人の語彙力ノート 誰からも「できる! 」と思われる

 

 


仕事で必要な「本当のコミュニケーション能力」はどう身につければいいのか?

 

 


スタンフォード式 最高の睡眠

 

 


MBA100の基本

 

 


MBA生産性をあげる100の基本

 

番外編:Webディレクターが読んだ2016年後半〜に出版された本

今年2017年に読んだ本で、よく見たら2016年に出版されていた本です。

 

 


デザインの伝え方

 

 


ストーリーマッピングをはじめよう

 

 


人工知能―――機械といかに向き合うか (Harvard Business Review)